山形で学生してるけど、何をしたらいいのかわからない
将来もそろそろ考えなきゃ…という
学生諸君!
人生の先輩から学ぶことで、学生生活を華やかにしよう。
今回は、この春社会人となる学生記者が、ヤマガタ未来ラボでの活動を振り返る「卒業日記」です。
筆者はこの方
石沢 成美(いしざわ なるみ)
山形県山形市出身。大学進学を機に上京。大学では地球科学を専攻し、学生新聞の活動にも力を注いだ。就職前の約1年間、ヤマガタ未来ラボで学生記者やイベント運営を行ってきた。
私がヤマガタ未来ラボで学生記者を始めたきっかけ
「大学を出たら、山形に戻ってくるから」。
大学進学が決まった高校3年の3月、私は周囲にそう宣言して上京しました。
小さい頃から都会の人混みや人工音のあふれる世界が苦手だった私は、仕事をして暮らしていくなら山形、少なくとも東北だろうなと考えていたのです。
実際に東京に住み始め大都会の生活をそこそこ楽しむようになっても、昔からの思いは変わらず。ニュースサイトに「山形」「東北」をキーワード登録して日々地元の情報を得ながら学生生活を送っていました。
大学生活も半ばを過ぎると”どこで働くか”という問いに答えなければならない時期がやってきました。そんなときに私の大切な情報源となり、支えともなっていたのがこの「ヤマガタ未来ラボ」です。
未来ラボの記事には自分の手で自分らしく楽しみを作り上げ、迷い悩みながらも前に進もうとしている山形の社会人の姿がたくさん映し出されていました。
▼こんな記事を読んでいました
生き方研究員ナナコの人生研究コラムvol.1「人の多さと暮らしやすさの関係」
東京生活9年目「もう少し自分の身体を大切にしたい」と思った私のUターン物語 山形仕事図鑑 #70
業界や福利厚生という要素同様、「地域」が若者の進路選択に大きな影響を与える時代です。”新卒で働くなら東京の方がいい”と語る先輩たちもいましたが、私は「私が一番好きな場所で働こう」と考え、未来ラボの記事やイベントをヒントにしながら最終的に就活の範囲を東北に絞りました。
そんな経緯があり、今年1年間山形で過ごすと決めたときには自然と「ヤマガタ未来ラボ編集部メンバー募集」のページに目を向けていました。
▲カフェ取材にて、クレープの撮影会
私が未来ラボに後押ししてもらったように、山形で暮らしたいと願う人がここでの生き方を前向きに考えられる情報発信をしたい。そのために私自身が山形のたくさんの人と出会い、地元のことをもっと知り、山形を好きな気持ちも課題も自分の言葉で語れるようになりたい。
地元への思いを胸に編集部メンバーに応募し、学生インターンとして携わることになったのが2018年の12月でした。
人とのつながり方を学んだ、インターン生としての1年
この1年の活動の大きな柱は以下の二つです。
①学生記者
②イベント「やまらぼトーク」の運営
学生記者活動については「他の学生も、私も、やりたいことが見つかる記事を」を目標として掲げ、山形の気になる場所や人を取材してきました。
ネタ探しや取材を進める中で、山形の日々を楽しもうと奮闘する人々がたくさんいることを知りました。取材した飲食店にはその後継続して足を運んでおり、自分自身のお気に入りスポットになった場所もあります。
閲覧数の伸びはもちろん、身近な人たちから「カフェ記事よく参考にしてるよ」「この前のインタビュー面白かったね!」と声を掛けてもらえるのもとても嬉しいことでした。
▲street shuffleマスターと学生記者のAkika、Minatoと
ワッフルが絶品!山形・七日町の穴場カフェ【学生記者のおすすめ店紹介 vol.04 シャンソン物語】
SNSでも話題!「たぶん日本一のげそ天」って? 【学生記者のおすすめ店紹介 vol.07 エンドー】
【Uターン×キャリアウーマン】山形で仕事も子育ても楽しむ! Y-biz事務長にインタビュー
話題の山形県公式Twitter「中の者」さんに直撃!ツイート現場のリアルに迫る
「やまらぼトーク」は、学生と社会人が一堂に会し山形で働くことについて語り合うイベントです。私にとってはほぼ初のイベント運営、全てが試行錯誤でしたが、学生スタッフ6人で協力しながらイベントの基礎を作り上げてきました。
何より平日にも関わらず、学生の呼び掛けに協力してくださる社会人の方々の温かさに助けられました。頑張る若者を応援するという山形の雰囲気を存分に味わった時間となりました。
▲やまらぼトーク初開催。八文字屋本店2階にて
「やまらぼトーク」ができるまで。山形の学生が試行錯誤した半年間の記録
これらの活動を通して得たものはたくさんありますが、最も大きなものを挙げれば「人とのつながり」と「つながり方」だと思います。
▲第4回やまらぼトークは、イベントスペースguraを貸し切って過去最大規模で開催
私は元来「おしゃべり」が得意な人間ではありませんが、山形のことを知ろうと考えたとき、ここに住む人たちがどんなことを感じ考えながら暮らしているのかじっくり話してみたいという気持ちを持っていました。その手段として、記者・トークイベントという活動は私に大きなチャンスをもたらしてくれたと思います。
まずはたくさんの人と出会える環境に強制的に身を置いたことでネットワークが広がりました。次第に自分を受け入れてくれる環境への安心感が深まり、出会いを一度きりにすることなく仕事を依頼したりイベントに呼んでみたりなど人と関わり「続ける」ということができるようになってきました。
さらに誰かと出会い議論を重ねるにつれ、たとえ相手が自分と違う価値観を持っていたとしても…むしろ違う価値観だからこそ、自分になかった視点を知りながら心が豊かになっていく感覚があり、人との縁を大切にしたいという思いがより強くなりました。
▲共に「やまらぼトーク」を作ってきた学生運営メンバー
最終的には、個人的な学生とのつながりなどを合わせると約400人との新しい出会いが生まれています。
何か成果物を作って誰かに発信する活動そのものが自分の学びにもなる、本当に楽しい活動でした。
やっぱり山形が好き。県外暮らしを経てあらためて気付いた魅力
たくさんの人との出会いを通して私の山形への思いも言語化されていきました。先日開催されたオガールカフェでは「山形の好きなところ」として以下の3つを紹介しました。
1.飽きのこない景色
山形に戻ってきてまず一番に感じたのが、自然の美しさでした。
初夏になると四方が鮮やかな緑に包まれ、紅葉の時期をあっという間に通り過ぎるとあたり一面の銀世界の季節に。私にとっては何年見ていても飽きない景色でありほっとできる景色です。
仕事や遊びは自分の手でいくらでも作ることができますが、何万年、何億年の時がかかってできたこの地形や風景は自分の手で作れるものではありません。だからこそ、私は住む場所を選ぶなら好きな景色がある場所にしたいと感じています。
2.自分で楽しみを作り出せる余白
取材を進める中で、休日になるとソリやカヌーなど自ら遊ぶ道具を作って大自然に繰り出す社会人や、街中でイベントを立ち上げて若者を呼び込む同世代に会いました。
山形県の人口密度は全国42番目。物理的に遊べる空間がたくさんあるということはもちろん、競争相手が少なく穏やかな時間が流れる山形だからこそ、自分たちでいくらでも新しい楽しみを創造することができる余白が都会以上にあるように思います。
▲同世代の仲間と「新庄雪まつり」に遊びに行ったことも
ただ、「自分で作り出す/見つけ出すよりもいろんな最先端のサービスを享受できる方が嬉しい」という人にとっては、地方という場所は退屈な面があるのかもしれません。
3.多様な世代、趣味、価値観の街中での交わり
人口の多い街では、同じような趣味または価値観の人が集まるだけでかなりの大集団を作ることができます。
一方人口の少ない地方ではそれだけでは集団が成り立たないということもあるのでしょうか、山形にはいろんな人がゆるやかにつながるイベント、サークルが多く、どんな分野の集まりにも気楽に参入できる上、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちと次々につながることができるような気がしています。
山形の市街地には何十年も続く喫茶店もあればここ数年増えたおしゃれなカフェもあり、文翔館をはじめとした歴史的建築がそびえ、芸術大学や30年続く国際映画祭などを中心にアートの空気も根付いています。コンパクトな街にさまざまなものが混じり合っているからこそ、とても面白い場所だと思います。
この1年山形で過ごしてやはり山形はとても居心地のいい場所だと実感していますが、ちょっと驚いたのは「東京が恋しい」という気持ちも生まれてきたことです。ちなみに最近は都心の多様なエスニック料理が恋しいです(笑)。
どの地であれ何年も暮らしていたら大切な友人もいれば好きな場所もあり、少なからず愛着が生まれるものなのでしょう。私にとっての大切な場所はこれからもこうやってどんどん増えていくものなのかもしれません。
今は国内外を簡単に移動できるようになったこともあり、一つの土地に囚われない生き方をする人がたくさんいます。私は今のところ東北という場所を選びましたが、それぞれがそれぞれの価値観を大事にして好きなように選択できる社会であってほしいなと思っています。
学生へのメッセージ
たまに「大学時代にやっておいた方がいいことって何ですか?」と聞かれることがありますが、大学進学の目的は人によって違うので、私から何かを勧めることはとても難しいなと思います。
目的が学ぶことなら思いっきり学問をやればいいし、目標とする仕事につくためなら必要な資格を取ったり練習となるアルバイトをしたりすればいい。やりたいことが浮かばないなら、大学の掲示板に貼ってある学生向けプログラムに片っ端から応募してみるのもあり。
ただ、私の大学生活において大きな意味を持っていたことを一つ挙げるとするならば、「自己表現の手段を持つこと」かもしれません。
高校までの私に比べると今の私は、だいぶ自信を持って何かを主張できる人間になりました。それはおそらく、大学時代を通して「自分の考えを表現し、人の批評を受け議論する」というプロセスを何度も繰り返してきた結果だと思います。
私の場合、好きな表現手段は「文章を書く」ということでした。論文、プレゼンテーション、歌、絵、俳句、演劇、SNS……なんでも良いと思いますが、頭の中にあるもやもやをどうにかこねくり回して伝わる形で外に出していくことで、私たちはようやく他人からの評価を得てさらなるアイデアの洗練につなげることができます。もやもやを外に吐き出すことは心の安定にもつながります。
知識を自分にインプットできていればなんとかなる学生時代から何かアウトプットを出していかなければいけない社会人に変わっていくこの期間、何らかの表現手段を武器として持っておくことで拓ける道があるのかもしれません。
最後になりますが、大学という所属を離れた今年は”いろんな人の支えがあるからこそ自分が生きている”ということを実感した1年となりました。今年出会った方々にも、昔からの友人にも、心から感謝を伝えたいと思います。
そして突然会社にメールした私を快く受け入れてくださり、さまざまな助言とともに活動の場を提供してくださった『ヤマガタ未来ラボ』編集部の方々、本当にお世話になりました。
またきっと東北のどこかにふと現れると思いますので、見かけたら応援していただけると嬉しいです!