山形で学生してるけど、何をしたらいいのかわからない……将来もそろそろ考えなきゃ……
という学生諸君!
人生の先輩から学ぶことで、学生生活を華やかにしよう。
山形のアツい大人に、日々将来の自分を模索した学生時代や仕事観、山形観を語っていただくこちらの連載。
今回は特別編!学生記者Narumiが、最近SNSで話題のあの人に、情報発信の現場についてインタビューしました。
今回のゲストは、こちらの方!
最近、「山形県」の公式Twitterアカウントが話題になっていることを知っていますか?
以前は自治体としてのお知らせを淡々とつぶやく真面目そうなアカウントだったのですが、
【before】
【県政テレビ】2月14日(日)午後5時15分からのYBC「やまがたサンデー5」は「もっと知りたい!冬の省エネ術」と題して放送します。家庭での省エネ術や継続して取り組むコツ、また、企業での取組みを紹介します。ぜひご覧ください!#山形県 pic.twitter.com/YvtwNRtzkl
— 山形県 (@pref_yamagata) February 12, 2016
あるときを境に一気にツイートの雰囲気が変わり、「いいね」数3桁〜4桁を連発するアカウントとなったのです…!
【after】
ここに、山形が国内養殖発祥の地の1つと言われる「ニジマス」と県の魚「サクラマス」があるじゃろ?
これを
( ^ω^)
⊃🐟・🐟⊂こうして
( ^ω^)
≡⊃⊂≡こうじゃ…
( ^ω^)
⊃〔✨ニジ🐟サクラ✨〕⊂山形のご当地サーモン
「 ニ ジ サ ク ラ 」
デビュー!! pic.twitter.com/Tt6s7i2lza
— 山形県 (@pref_yamagata) February 12, 2020
一体山形県Twitterに何があったのか?その秘密を探るべく、山形県Twitterを運営する「中の者」さんに話を聞いてきました。
▲山形県庁にお伺いしてきました。
「中の者」さんに突撃インタビュー!
(学生記者)こんにちは。山形県Twitterさんのツイート、いつも楽しく拝見しています!
今日はよろしくお願いします。
(山形県Twitter「中の者」さん)はい、よろしくお願いします。
えっ……その格好は……。
あ、このTシャツ作ったんですよ。「中の者」Tシャツ。自費で。
本気度が…すごいですね……。(圧倒される記者)
しかし思った以上に若い方で驚いています!年はおいくつなんですか?
若手職員、ということでよろしくお願いします(笑)。
承知しました(笑)。※年齢については過去ツイート内にヒントがあるそうです。
「中の者」さんは山形県職員の方ということですが、普段はどういうお仕事をしているのですか?
広報広聴推進課というところで仕事をしています。メインの仕事としては、県政広報が作るテレビ番組「やまがたサンデー5」「いき☆いき やまがた」を企画したり、新聞広告「県庁だより」を作成したり。これらに加えて山形県のSNS、FacebookやTwitterなどの運営をしています。自治体というのも人手不足で、なかなかSNS専任の担当者を置く余裕はないんですよ…。
なるほど、いろんな業務の合間にツイートされていたんですね。
山形県の公式Twitterはいつから始まっていたんでしょうか。
実はもともと、2011年3月の東日本大震災で山形県の情報をツイートするために作られたアカウントなんです。震災から時間が経つにつれ発信することも減っていって、もっと活用したいということでいろんな情報をツイートをするようになりましたが、最近まではただ140字に県の情報を詰め込んで慎重に発信するという感じでした。
山形県広報室です。地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。本県のホームページから支援情報等をご覧いただきたく、開設しました。微力ながら皆様のお力になれるようがんばります。http//www.pref.yamagata.jp/ #0311jisin #yamagata
— 山形県 (@pref_yamagata) March 22, 2011
▲2011年3月22日の投稿
私も昔から見ていましたが、真面目な情報発信のアカウントというイメージが強かったです。でも昨年11月頃から一気にツイートの雰囲気が変わりましたよね。何かきっかけがあったんでしょうか?
きっかけは、11月に開催した情報発信についての山形県職員向けトークセッションです。Twitter運営が上手なことで有名なタカラトミーTwitterの「中の人」(山形出身)や、JALのFacebookを運営している方などをお呼びしてSNS発信について話を聞いて。そのときに、140字で気軽につぶやけるし拡散力もあるTwitterを県としてもっと使っていきたい、と思いました。山形のことアピールしないとって。
以前もこうしたトークセッションはあって、SNSの運用の仕方を変えようと試みたこともあったんです。でも奥ゆかしい県民性もあって、なかなかその意識が浸透しないしあんまり変えられなくて… 。なんとかさんなね、なんて思っていたとき、僕が酒田出張でたまたま見たのがこの景色。
こんにちは、中の者です。
今朝、山形市から庄内へと向かっていたのですが、月山道の脇道にはがっつり積雪が… pic.twitter.com/Uk1TcldMIw— 山形県 (@pref_yamagata) November 15, 2019
▲いいね数が3500を超えた、11/15のツイート
出張の時間ギリギリなのに、車降りて写真撮って、すぐ上司に電話して。「これ、ツイートのネタになるんじゃないですか!?」って(笑)。11月なのにこんなに雪積もるなんてなかなかない。この地域に住んでる人にとっては当たり前のことだけど、県外の人が知ったらびっくりするんじゃないかなと思いました。
これ、すごい反響でしたね!「中の者」さん初登場の瞬間でした。
いやー、こんなに反応あると思わなくて。かなりびっくりです。その日はしばらく広報広聴推進課が浮き足立ってたそうです(笑)。
あと、他の公式Twitterはよく「中の人」と名乗っているので、うちは「中の者」ということにしています。検索しても「中の者」ってほとんどいないんですよ!
そこ、こだわりがあったんですね……。
ツイートづくりは「トライアンドエラー」
ツイートのネタはどうやって考えてるんですか?
僕だけでは回らないところもあるので、いろんな人からネタを提供してもらってます。全然関係ない課のTwitter好きな人からネタだけ送られてくることもあるんですよ。
それで山形のあらゆる情報が集まってくるんですね。
一つツイートするのにも、ちゃんと上司の了承を得るんです。やっぱり行政として内容も表現も慎重に考えてつぶやかなきゃいけないので、投稿するまでにどうしても時間がかかります。Twitterは秒単位で動いていく世界なので、本当は他のTwitterの「中の人」みたいに気軽に返信できるとかいいんですけどね…。
あくまでも行政なので、これはこれで「中の者」のやり方です。
(ちらっと本音が…)ちょっともどかしいですね。
いつ何を投稿するかのスケジュールは、みんなが見えるように課のホワイトボードで管理しています。イベントに合わせて広報をしたり、つぶやく順番を並べ替えたり……せっかくSNS活用してるのに管理はアナログ(笑)。
まあ、アナログの方が使いやすい時もありますよね!
でもツイートの運営って、大変じゃないですか?心労が大きそうで、私にはできる気がしません。
今回山形県Twitterの「中の者」さんへ取材するにあたって、未来ラボ学生記者のTwitterで事前に質問を募集したところ、フォロワーの方からもこんな質問が届きました。
じゅん(@junshida)さん
ツイートが変わって私は親しみやすく楽しくなったなぁ、と感じているのですが、中の方も前よりも楽しくツイートできていると感じているのでしょうか?(…無理されてないですよね??)
▲事前質問募集では心配の声も
いや、全然大変という感じはないですよ。やっぱり見てくれている人からのリアクションが面白いです。自分でいろいろ考えて初めてやってみたことに、反応がもらえると嬉しい。でもまだまだどんなツイートが良いのか分からないんですよね。トライアンドエラーで、反応に一喜一憂してます。
ツイートの内容や書き方は、どんなことに気を付けて考えているのですか?
前までは「ぜひご覧ください」「イベントにお越しください」とか一方的なツイートがほとんどだったんです。今はそうではなく、見てくれている人の反応を引き出すことを心掛けています。「中の者」が会話形式で登場したり、投票システムを使ってみたり。ツッコミどころ、参加してもらえるような隙を作るのが大切かなと思います。これからももっと他の自治体とからんでみたり、みんなに返信したりしていきたいと思っています。
ここの自治体はTwitter使いが上手いな、と思うアカウントはありますか?
沼澤英明@山形(庄内)×〇〇で世界へ(@hideakinumazawa)さん
SNSを活用して情報発信している自治体は多数あると思うのですが、ベンチマークしている自治体はありますか? 「ここの自治体は情報発信がうまい!」とか「ここのツイートはバズっている!」とかの理由で。
▲事前募集した質問より
まだ余裕がなくつぶやくのが精一杯で、他自治体の分析までできていないのが現状です。
でも岩手県@pref_iwate さんはすごいですね。勝手にライバル視してます。つぶやきに工夫や人間味が感じられるし、フォロワー数がうちの約3倍だし、昨年9月にバズってて、駅前が山形より都会だし、おいしいご当地パンもあるし……ええ、嫉妬です。
…岩手、いいところですよね。わんこそばとか楽しいですね。
ここだけの話、「頑張って考えたのにこれは伸びなかったな~」なんていうツイートはありますか?
うーん、写真を見て山を当てるクイズを出したこのツイートは、プレゼントもあるから盛り上がるかなって思ったんだけど……。あまり反応がなくて悲しかったな。
実は #中の者 🗻を少々たしなみます
そこで、全国大会実行委員会設立を記念して #中の者 が激写📷した#やまがた百名山 蔵出し画像4作品を公開!
4座全ての山を当てた先着3名様に #やまがた百名山 グッズをプレゼントしちゃいます!
このツイートを引用する形で回答を呟いてください! pic.twitter.com/WfcWpoPNoB
— 山形県 (@pref_yamagata) January 24, 2020
いやー、これは問題が結構難しかった…。良い勉強にはなりました。
次は月山とかもっと分かりやすい写真問題でやろうかな…。
「ふるさとのため」なら頑張れる
せっかくなので「中の者」さんの学生時代についてもお伺いしたいと思います。
最近気軽で楽しいツイートが増えて話題を呼んだ山形県公式twitter、あなたの気になることは…
— ヤマガタ仕事ラボ|山形に興味がある学生向け就活支援|自分に合う働く環境に山形で出会う (@yamagatagakusei) February 10, 2020
▲「中の者」さんの人となりを知りたい!という人がたくさんいるようです
「中の者」さんは、どこで大学生活を過ごしていたんですか?
高校までは県内にいて、大学は県外に行きました。
もともと将来は山形で働くつもりでした。仕事で大変なことがあっても、自分が住んだところ、育ったところならふるさとのために働けると思ったんです。でも、そうなったときに山形から一度も出ないというのはなんとなくもったいないなと。少し外から山形を見てみたいと思ったんです。
その頃からふるさとへの思いがあったんですね!県外での大学生活はどうでしたか?
うーん、あんまり何も頑張れなかった(笑)。
えっ、そうなんですか?
これを学びたい!って強い思いがあったわけじゃなくて。結局なんとなく学校行って、サークル行くみたいな日々でした。ソフトボールサークルに入って、そんなにソフトボールはしなかったんですけど社交性を身に付けて……(笑)。あとは新宿とか池袋、大宮、浦和に行って遊んでました。
やりたいことはぽつぽつ浮かぶんだけど、なかなか行動に移せなかった。今思えばもったいないし、ちょっと悔しいですね。
あと、「都会人多すぎ」って思いました。楽しかったけれど、ここで暮らすイメージは湧かなかった。大学の4年間いる場所っていう印象でしかなかったんですよね。数年暮らしてこの場所に愛着がわかなかったってことは、やっぱり山形に戻るべきなのかなと考えていました。
なるほど。就活のときも、山形の企業に絞っていたのですか?
そうですね。そもそも職の選択肢もあまり知らなかったんですが、山形に戻るなら公務員かなと思っていました。公務員なら全ての仕事が地域のためになるから、「ふるさとのために」という思いで頑張れる気がしていて。…なんか教科書的な答えになっちゃってますけど、心からそう思ってるんですよ(笑)。
大丈夫です、疑ってないです!
実際に働き始めてみて、地域のためになっているなと実感されていますか?今のご自身は、大学時代に想像していた「大人」になっていますか?
やはり全ての仕事がどこかで「地域のため」につながっていますね。大変なときももちろんあるけれど、テレビの企画を作るにしてもSNSの運営にしても、山形の人に楽しんでもらうことにつながっているから頑張れるなと実感しています。
大学時代の想像通りの部分と、そうではない部分両方あります。まさか、こんな風にTwitterをすることになるとは想像もしなかったけれど(笑)、自分のつぶやきがフォロワーと直結しているし、これこそ地域のための仕事だなと思います。
(就活のときには、まさかこんなTシャツを着て取材を受ける日が来るとは思わないですよね…)
社会に出ると思わぬ仕事もたくさんあると思いますが、「中の者」さんのようにそれも含めて楽しめたらきっと前向きに働いていけるんだろうなと希望を感じます。
では最後にもう一つ、Twitterで事前にいただいた質問から。「中の者」さんが考える山形の魅力についてお伺いしたいと思います。
MASA(@SUGAR_ONAIR)さん
個人的に推していきたい山形の名所はどこですか?
▲事前募集した質問より
ガイドブックなどでよく見かけるところ以外で、美しい、面白い風景を県内4地域から選んでみました。
- 村山:垂水遺跡(山形市)
- 最上:雪ばなな(戸沢村)
- 置賜:旧高畠駅と瓜割石庭公園(高畠町)
- 庄内:松ヶ岡開墾場(特に桜の時期)(鶴岡市)
SNSのハッシュタグ #やまがた景観物語 でも、県内おすすめビュースポットを紹介しています!
ありがとうございます!山形ならではの風景、ぜひ見に行きたいです。
学生へのメッセージ
「山形県Twitterが変わることができた理由として、トークセッションというキッカケがありました。
自分を変えるキッカケはいろんなところに転がっています。何にでも挑戦できる学生の今だからこそ、ためらわずにいろんな世界へ飛び込んでみてください!!」
Narumi’s comment
謎に包まれていた山形県Twitter「中の者」さんへの取材。どんな方なのかと若干不安でしたが、どの質問にも気さくに応じてくださり、ツイートと同じように楽しいお話に笑いの絶えない取材となりました。仕事には成功も失敗もあるからこそ試行錯誤を楽しんでいるという様子が伝わってきました。
きっと山形県Twitterの盛り上がりは、山形のみならず全国、全世界にさらなる山形ファンを増やすことにつながると思います。ヤマガタ未来ラボ学生記者も、自ら山形を楽しみつつ山形ファンのつながりを広げられるように頑張っていきます!