山形で学生してるけど、何をしたらいいのかわからない……将来もそろそろ考えなきゃ……

という学生諸君!

人生の先輩から学ぶことで、学生生活を華やかにしよう。

 

山形のアツい大人に、日々将来の自分を模索した学生時代や仕事観、山形観を語っていただくこちらの連載。

今回は学生記者Narumiが、子育てをしながら仕事も楽しむキャリアウーマンにインタビューしました。

 

今回のゲストは、こちらの方!

山形市売上増進支援センターY-biz 事務長 堀野 水希さん
Y-biz 堀野さん正面

出身:山形県山形市

経歴:山形東高から東京大学教育学部へ進学。卒業後、山形の金融機関にUターン就職。出産を機に退職し、税理士事務所でのパートタイム勤務などを経て、2018年よりY-biz事務長。

 

山形で楽しく働く大人の「今」

堀野さんは、お二人のお子さんを育てながら、山形市の文翔館そばにある「山形市売上増進支援センターY-biz」で事務長を務めています。

Y-bizとは、山形市が設立した、個人事業主や中小企業の経営相談の場。公募によって選ばれたアドバイザーやITの専門家が、売り上げアップのためのアイデアについてなんと無料で相談に乗ってくれるんです。

2018年10月のセンター始動以降、Y-bizが支援したという商品やサービスを目にする機会が増えてきています。

堀野さんが務める事務長とはどんなお仕事なのでしょうか。

堀野さん1

「私自身は直接相談を受ける立場ではないんですが、アドバイザーが相談業務に集中できるように、アドバイス以外の”全て”の業務を担当しています」

例えば、相談情報の集計と分析。どんな分野の事業者が、どんな相談に、どのくらい来ているのか。堀野さんが分析した結果が、こんな業種の人にも利用してもらいたい・こんな相談への対応をもっとスムーズにしたい、などセンターの課題や方針を考える材料になるといいます。

「センターの在り方は山形市役所を含めてメンバーみんなで考えます。私はリーダー(センター長)とはまた違った視点から全体を見るように心掛けています」

 

このほか、会社の運営に不可欠な経理や労務管理など堀野さんの仕事は多岐に渡ります。

Y-bizセンター長の富松希さんによると、センターでは相談者のほか、さまざまな関係機関との調整作業も多いとのこと。「事業者さんお一人お一人とY-bizメンバーの一人一人の状況に気を配りながら、驚くほど多くの調整をまとめてくれる堀野さんがいることで、私たちアドバイザーは安心して業務に集中できます(富松さん)」と、堀野さんに信頼を寄せているそうです。

 

堀野さんは、「仕事は面白い」と言い切ります。「事業者さんのためになる仕事をしているという実感を持てることが、仕事の面白さにつながっていますね。『相談して成果が出た!』『これまでこんなに話せる場はなかった』という相談者さんの声もやりがいです」

 

 生徒会に部長に、リーダー気質だった学生時代

大学進学まで山形で育った堀野さん。幼い頃から「長女気質、前に出ることが嫌いじゃない」タイプで、積極的にいろんなことにチャレンジしていました。

中学では生徒会長に立候補したり、高校でもバトミントン部の部長を担ったりなど、リーダーを目指すことが少なくなかったといいます。

「中学の生徒会長は代々野球部の男子だったし、女子は副会長という雰囲気もあったんですが、やるなら一番トップの会長だろうと。結局落ちちゃったんですけど……(笑)」

しかしこの落選の経験が「副リーダー」への見方を変えるきっかけになり、さらに大学時代には実際に組織をサポートする立場での経験ができたそう。

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「大学生活は、中学から始めたバトミントンに相当の時間とエネルギーをかけていました。自分の弱みは何か、勝つために何をするか、考え抜いて、本気で取り組みました。

ここで副リーダーになって、『副』にしかできない貴重な仕事があるということに気付きました。それまではリーダーに次ぐ『2番目』みたいな意識が強かったけれど、リーダーとは別の視点で、組織全体を見てサポートする大切な役目があるんだなと。こういう立場があると知れたことが今の仕事にも関わっている気がします」

部活に打ち込んだ大学生活を振り返ると、「もうちょっと勉強も頑張ればよかったなぁ、という思いもあります」。

「勉強することは楽しかったし、大学に学びに来ている人や、先生たちともっとじっくり関わって話してみたかったなと思っていて。でも私は一つのことに本気で打ち込んだからこそ、得られたものも多く自信になったという面もありますね」

 

就活、結婚、再就職。その道で自分を生かせるかどうかは、自分次第

部活漬けの大学生活を終えた後は、アルバイトをしながら大学院浪人をしていた堀野さん。しかし途中で就活に切り替え、卒業の1年半後に山形の金融機関にUターン。それは必ずしも思い通りの進路だったわけではありませんでした。

「東京でも就活をしていたのですが、なかなか内定をもらえなくて……どちらかといえば、消極的なUターンでした(笑)。

大学院浪人だけじゃなくて、実は大学入学のときも、最初の1年は別の大学に通って受験し直しているので、新卒の同期とは3歳離れていたんです。そもそもが数年遅れている上に、希望していた分野になかなか関われない焦りもありましたね。

でも結果的には、山形で仕事をやっていてよかったなぁと思うようになりました。東京の大手では仕事が縦割りで完全に分かれていることもあるけど、地方の企業だと組織全体を見渡せたり、一連の仕事を経験できたりする。ここでしかできないことをできたと思っています

Y-bizに通じる中小企業支援への興味が強まったのもこの頃でした。

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「仕事で県内の経済調査をしていたので、いろんな企業の人と会うことができて。国内シェアNo.1の製品があったり、ユニークな社長の下で実績を上げていたりと、面白い中小企業が山形にたくさんあることを初めて知りました。そういった会社を若い人たちが知らないのは、もったいないなあ、一緒に盛り上げる仕事ができないかなあと思いました」

中小企業を応援できる仕事に面白さを感じていた堀野さん。その後出産を機に退職し、ちょうど再就職しようという時期に、Y-biz事務長の公募を見つけたそうです。やりたいこととタイミングがぴったり合致した、偶然の巡り合わせでした。

思い通りになるとは限らない進路選択には迷いや悩みがつきものですが、堀野さんは学生にこうエールを送ります。

「迷ったり自信を失ったりすることがあっても、それまでの自分を生かすかどうかは”今の自分”にかかってると思う。失敗も成功も、全てその人だけの体験。大学生のみなさんには、自分にしかできない道を歩んでいるはずだと信じて突き進んでほしい

キャリアも子育ても追い求めて

堀野さんは現在、2児の母でもあります。気になるのは、子育てと仕事の両立のこと。近年は女性の専業主婦願望が高まっているとも言われ「仕事は頑張りたいけど、同時に育児もやっていく自信がない」という同世代の声もしばしば聞かれますが、働く女性の実感はどうなのでしょうか。

「元々は子どもを産んだら、子どもとの時間をしっかり持ちたいと思っていたんです。それで出産を機に退職を選びました」

ただし堀野さんはフルタイムの仕事から離れても、子どもを連れて実家の業務を手伝ったりママと子どものためのコミュニティーづくりをしたりと、家の外との関わりをずっと保っていました。

「いろんなことをやる中で、何かするなら『仕事』としてやる方がいいのだろうかと考え始めました。あのタイミングでやめたことに後悔はないけれど、やっぱり私は仕事をした方が収入の面でも気持ちの面でも自立できるなぁと

子育てに余裕が出てきた頃からパートタイムでの勤務を始め、少しずつ仕事を本格化させていき、現在は週5日間フルタイムで働きながら3歳と5歳のお子さんを育てているそうです。

こどもぐみメンバー

▲ママ・プレママや子どもたちによる企画チーム「こどもぐみ」の活動も行っています

今は仕事が面白いからこそ「もっと仕事したい」という気持ちもあり、家族のこととの優先順位を考えてバランスを取るのが大変だそう。働く女性を支援する制度の整備や男性の理解も進んできたとはいえ、地域ではまだまだ「子どもに何かあったら母親が面倒をみるもの」という雰囲気もあるといいます。

若い頃は、キャリアを積むという道と、出産・子育てという道を考える機会が別々になりがちだと思う。でも、どちらも同じ自分の人生の上に置いて、自分らしい生き方・働き方を考えてみるということが必要じゃないかな。今すぐ将来のことを全てを決められるわけじゃないし、そのときどきで考えが変わってもいいから、まず少し想像してみることが大事だと思います」

 

学生へのメッセージ

堀野さんメッセージ

「今、必死になれるものがないとしたら、目の前の生活を精一杯に生きてみる。何か1つを、機械的にでもいいから決めて、それに必死になってみる、そんなことでもいいと思う。自分のことだけに必死になれるのが学生時代の特権だと思います!」(堀野さん)

 

Narumi’s Comment

堀野さんは、家族のことを大切にしながらも仕事に邁進されています。お仕事の様子を聞きながら、やりたいことを全て頑張るにはきっと1日24時間では足りないだろうな、と思いつつ、家族に対して仕事が楽しいと自信を持って言える大人になりたいと感じました。

今後、社会に出て道に迷うこともうずくまってしまうこともあるかもしれませんが、私も過去を振り返ったときに「やってよかった」と思えるよう、目の前のことに精一杯取り組んでいきたいです。

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▲記者と一緒に写真を撮っていただきました

 

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