やまらぼトーク学生スタッフ/ヤマガタ未来ラボ学生記者のNarumiです。
私たちはこれまでの約半年で4回、「やまらぼトーク」という山形の学生と社会人のトークイベントを開催してきました。
実はスタッフ一同、このような交流イベントの運営経験はほぼゼロという状態で始めたイベント。
ようやく軌道に乗り始めてきたやまらぼトークの”これまで”と、”これから”を、やまらぼチームに活動初期より関わってきた私の視点からお伝えします。
山形で働くことを、もっと気軽に話せる場がないだろうか?
2019年5月。就活中の学生2人が顔を合わせたところから、やまらぼトークは始まりました。
2人は県内外さまざまな企業・社会人との出会いを通して、”世の中には自分たちが知らなかった働き方がたくさんある”ということを実感していました。
学校の中にいるだけでは得られなかった考え方や、人とのつながり。そんな新しい世界を楽しむ一方で、
「もっと早くから働き方の選択肢を知っておけばよかった」
という不満や後悔も心に抱えていました。特に山形で働くことに関しては、大手就活サイトでもなかなか満足できる情報が得られないのが現状です。
「自分自身がもっともっと山形のこと、山形で働くことを知りたい」
「山形で暮らす後輩たちの選択肢を増やしたい」
就活情報を発信するサイトや社会人と学生の交流イベントはいくつかあるけれど、就活前の段階から「山形で働くこと」についてもっと気軽に考えられる場所があったらいいのにな。何より自分たちで楽しめる場を自分たちの手で増やすことが、山形で楽しく働くことにつながっていくんじゃないかな……
そんな仮説をもとに、山形の仕事や暮らしに関する情報発信をしている本サイト「ヤマガタ未来ラボ」、その運営を担う株式会社キャリアクリエイトによる”サクラマスプロジェクト®️”の下、学生による学生のためのイベントを計画することになりました。
自分たちの手で、山形の未来を語る場をつくりたい
イベントを企画する上で、一番の具体的なゴールとなる部分はここだと考えていました。
学生の選択肢を広げ、「山形で働く」を前向きに考える人を増やすこと
なぜ増やしたいのか。それは、私たち自身が、山形が好きだから。ワクワクする山形の未来をつくりたいからです。
山形県内の4年制大学卒業者の約7割は県外に就職しています。
全国的に人口減少と東京圏一極集中の傾向がほとんど変わらないままで、これまで通り居心地のよい、そしてより楽しい山形での生活を維持するためには、未来を担う若者の存在が欠かせません。
実際には山形の良さを認識し、地域でイベントを開催したり会社を起こしたりと自ら行動を起こしている若者はたくさんいます。県外に就職しても、学んだことを地元で生かそう、また住む場所を大切にしようという思いで山形へのUターンを希望する人だっています。
前向きに挑戦する人たちのいる場所であるということを、私たち自身が、そして山形の学生たちがもっと知るために。この地域にどこか蔓延している「山形はもうだめだ」というネガティブな雰囲気ではなく、山形で働くという選択肢を楽しみながら語り合い、考えられる場をつくるために。
私たちが選んだ形は、中心市街地での「高校生・大学生と社会人による座談会形式のトークイベント」でした。
山形で自ら新たなチャレンジを仕掛けている社会人の方々をゲストとしてお呼びし、仕事のことや山形のことを、放課後にふらっと立ち寄った学生とじっくりお話しする。偶然に出会った人同士がお互いに考えを共有し合いながら、これからの山形について新たなアイデアが生まれるような、そんな「何かが生まれる期待感」のある場を目指して、「やまらぼトーク」のアイデアの具現化がスタートしました。
やまらぼトークが大切にしていたこと
やまらぼトークの企画と運営において私たちが大切にしていたことは3つに集約されます。
①親しみやすく、ワクワクするデザイン
②一人一人が主体的に参加できる環境づくり
③つながりを大切にすること
これらは初めから全て意図して設計していたわけではありません。どうすればより居心地のいい場所になるか、よりスムーズに進むのか試行錯誤しながら工夫するうちに、私たちの方向性が定まってきました。
①親しみやすく、ワクワクするデザイン
イベントの名称とロゴ・チラシデザインは、親しみやすさを一番に考えてつくられました。
「山形で働く」というちょっと堅そうなテーマだからこそ、就活や山形に対してどんな意識を持つ学生でも、ふらっと集える場になるように。
「ワクワクする感じ」「ポップ」「気軽に行けそう」「山形っぽい」「オシャレすぎない」「放課後の遊び場的な雰囲気」……そんなイベントを象徴するワードを出し合う中で生まれた名称が、「やまらぼトーク」です。
「やま」は「山形」のやま。
「らぼ」は「働く(labor)」と「実験室(labratory)」の初めの文字をかけています。
みんなで「山形で働く」について考えるという企画の趣旨と、何かが生まれる期待感というイメージにぴったりの名前となりました。
今となっては、丸みのあってどこかかわいらしいこの名前が、ゆるやかな語り場である”やまらぼ”らしさを作り上げてくれているような気がします。
②一人一人が主体的に参加できる環境づくり
「山形で働くことがいいことだ」という価値観の押し付けの場になってはいけない。これはずっと気に掛けていたことでした。
私たちができることはあくまで自分たちや仲間の選択肢を増やすことであって、その上で一人ひとりが考えて選び取る……という流れが大切になると考えていました。
参加者が「すごい人」の話を聞いて「すごい人がいる!面白かった!」という受け身の感想だけで終わってしまっては、私たちの目標にはたどり着けません。
そのために、参加者一人一人がゲストの話を”自分ごと”として考えられるようなお手伝い…というと少しおこがましいのですが、学生の運営スタッフも参加者も語り合い、じっくり考える場となるようなイベント設計を心掛けました。
- トークは5-6人の少人数で。
- ゲストプレゼン10分に対し、フリートーク時間を20分と長めに設定する。
- 各テーブルにファシリテーターを配置し、参加者の聞きたいことや心のモヤモヤをできるだけ言葉にして共有してもらうようにする。
- 自分で話を整理できるよう、自由に使えるメモ用紙とペンを会場に準備する。
- アンケートを紙媒体でじっくり記入してもらう。イベントとしての満足度だけでなく、心に残ったゲストの言葉や山形で働くイメージについても調査。
- ルールやトークテーマを決めすぎず、できるだけ参加者に委ねる。
実際に参加者の空気感に気を配ることや適度な余白を残すことはとても難しく、スタッフからは毎度のように「ファシリテーションがうまくできなかった……」という反省が出ていました(笑)。
それでもイベントの工夫とゲスト・参加者の協力もあり、トークは毎回時間をオーバーする盛り上がりを見せました。アンケートにも多くの人から長文で書き込みをしていただき、「社長にも気軽に質問できて驚いた」「話しやすい雰囲気がとても良かった」「心の中のモヤモヤが解決された」という感想をもらえるようになりました。
③つながりを大切にすること
一回たった2時間のイベントの中でできることは限られています。
やまらぼトークでは、イベントの後に会場を30分〜1時間程度解放し、ゲスト・参加者同士でイベント中に聞けなかったことを聞いたり、連絡先を交換したりできる自由な空間を設けました。
また、やまらぼトーク参加者のLINEコミュニティーを作成し、継続的に連絡を取り合えるようにしました。
その結果、自然と運営スタッフと参加者、ゲストの距離感の近さがやまらぼの魅力となりました。
スタッフの熱心な勧誘により、第1回の参加者から運営スタッフ側に回ったメンバーもいます。参加者の学生が、ゲストとして参加いただいた社長さんと別の機会に会った際に「やまらぼに来てた子だよね!」と声をかけられたこともあったそうです。
やまらぼでのつながりが、またどこか別の場所で何かを生み出すきっかけになっていたら嬉しいです。
やまらぼトークを通して生まれた、「山形で働く」ことへの前向きな視点
これまで計4回の開催で、参加してくれた高校生や大学生は、のべ64人。
参加者からは「山形で働く」ことについてさまざまな意見が出されました。
◇参加申込時の事前アンケートより
Q.山形で働くことについてのイメージを教えてください。
- 「イメージが湧かない」
- 「正直あまり希望は持てていません。人口減少で町から活気が減りつつある中、地域を盛り上げることは相当難しいことだろうと思ってしまっています」
- 「あまり職種が選べなさそう」
- 「賃金が低いイメージがある」
- 「何もないからこそやれることがいっぱいあるなというイメージを持っています」
- 「伸びしろがある」
- 「働くことで地元に貢献できる良いイメージがあります」
- 「地域で働くことでよりディープな経験ができる」
◇開催後アンケートより
Q.山形で働くことについて、新たな発見があれば教えてください。
- 「人同士の距離感の近さが魅力」
- 「ネットワークが広げやすい」
- 「山形には挑戦できる環境がある」
- 「都会よりも制限があるような気がしていましたが、むしろ山形でしかできないことというのがあることに気づかされました」
- 「山形にもクリエイティブな方、アクティブな方はたくさんいる」
- 「参加前よりもっと山形で働く人の声を聞きたいと思った」
- 「場所ベースで働くことを考えるのではなく、自分が何を望んでいるかをベースにして仕事を考えることが大切だと思いました」
参加者の中には、山形で働くことを以前から前向きに捉えている学生も半分以上いたようです。しかし、働き口の選択肢の少なさや労働条件を不安視する声も少なからずありました。
イベント開催後に感じたこととして多く挙げられたのは、「山形ならではの人と人とのつながり深さ」、そして「山形をフィールドにするからこその可能性」。そして山形だから、都会だからという理由で自分を制限する必要はないという感想でした。
山形で働くことへの不安や課題はすぐに変えることはできませんが、「新たな視点が得られてよかった」という声を多数いただきました。活躍するゲストの皆さんたちの前向きなチャレンジ精神に触れたことで、「もっと自分なりに行動して考えていきたい」という声が上がったのも、運営側としてはとても嬉しいことでした。
学生自身が場を作る良さが、ここにある
運営を継続していく中で、このようなイベントを学生自身が運営するメリットも強く感じるようになりました。
一つは、運営側が「人生の先輩として教える」という立場ではなく、参加者と同様の目線で「一緒に知りたい!学びたい!」という気持ちの下で運営できること。
運営スタッフが自ら楽しみながらイベントの進行に当たっていたことが雰囲気の良さにつながり、そのおかげか、山形を代表する会社の社長に対しても学生ならではの率直な質問や意見が飛び交っていました。
高校生や大学生には、企業や大学が作った周到に用意されたイベントとも異なり、知人や友人が運営しているイベントとしてより気軽に参加してもらえたのではないでしょうか。
そしてもう一つは、私たち運営スタッフ自身に与えてくれる好影響。
今のスタッフ6人は「何か楽しそう」「社会人と話してみたい」という気持ちでさまざまな大学からここに集い、最初は何をすればいいかもわからない状態でした。しかし継続するうちに自然と、より良いイベントにするにはどうすればいいのか・どうすればより多くの人に情報を届けられるのか、ミーティングでさまざまな議論が交わされるようになりました。
司会や広報、ファシリテーション、いろんな役割に挑戦する中で「もっとファシリテーションの勉強をしたい」「この前知ったアイスブレイクが楽しかったから取り入れてみたい」「インスタグラム広報のコツをもっと知りたい」そんな前向きな言葉もたくさん出ていました。
やまらぼチームには、交流会の運営に慣れている強いリーダーがいるわけではありません。チームとして大きなミッションを掲げているわけではなく、大学も参加動機も趣味も将来の目標もさまざまで、共通する”目指す姿”のようなものがあるわけでもありません。
だからこそ一人一人が知恵を持ち寄って学びを実践する挑戦の場として、自信を付けていく場として、やまらぼトークが機能していたように思います。
そしてこれから、バトンをつないでいくために
ここまで「やまらぼトークができるまで」のタイトルで書き進めてきましたが、やまらぼトークはまだまだ成長過程にあると言えます。これからもスタッフや参加者の興味によってどんどん変わっていくのが、きっと「やまらぼらしさ」です。
今年度いっぱいで運営スタッフ6人中3人は大学を卒業、やまらぼトークを離れることになります。他の2人も一時的に大学を離れてそれぞれの興味を追求していく予定です。
運営体制が整うまで、一旦休止するという道も考えましたが、話し合いの結果、自分たちが作り上げてきた価値を再認識し「何らかの形で、やまらぼのバトンをつないでいきたい」という結論になりました。
そのためにはともにやまらぼを作っていく仲間が必要です。
私たちと一緒に、楽しみながら山形の未来を考えていきませんか?
あなたの参加をお待ちしています。
やまらぼメンバーと会える場は、こちら!
2月12日、やまらぼメンバーによるお話会”コーヒートーク”を開催します。
今回のスピーカーは学生自身。半年間「やまらぼトーク」の運営に関わってきた学生たちと、山形での学生生活についてお話ししながら素敵なカフェでのひとときを過ごしてみませんか。
・やまらぼトークの運営に興味がある
・日々を彩る”何か”を探している
・おいしいコーヒーを飲みたい!
そんな学生のみなさん、遊びに来てくださいね!
やまらぼコーヒートーク@BOTA coffee
◆日時
2月12日(水)16時〜17時半ごろ
◆対象
大学生、大学院生、専門学校生 数名程度
◆参加費
各自ドリンクの1オーダーをお願いします。
◆内容
半年間やまらぼトークの運営に関わってきた学生スタッフが、自身のこれまで/これからの大学生活のこと、やまらぼトークのことを紹介します。
みなさんのそれぞれの学生生活についても、聞かせてください!
◆申し込み
こちらのアドレスまで「コーヒートーク参加申し込み」として所属大学・学年・お名前をご連絡ください。
yamalab.talk☆gmail.com ←☆を@に変えてください。
当日参加、一部のみ参加もOKです。
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