学生生活の中で、何をしたら良いのか分からない…
将来もそろそろ考えなきゃ
…という学生諸君!
人生の先輩から学ぶことで、学生生活を華やかにしよう。
この春社会人となった筆者が大学生活を振り返る「卒業日記」です。
筆者はこの方
柴崎桃香(しばさきももか)
山形県尾花沢市出身。東北芸術工科大学にてデザイン工学(コミュニティデザイン)を専攻。学外では、就職前の約1年間、ヤマガタ未来ラボで学生記者を務めた。
大学の授業で地域に関わり始める
皆さんは「コミュニティデザイン」を知っていますか?
私は、大学の授業で「住民自身が地域の課題を解決できるように支援するためのデザイン手法」を学んでいました。地域の課題を解決していくためのプロセスを学びながら、このプロセスを実際に地域で実践してきました。
このプロセスは、「スタジオ活動」と「卒業研究」の2つの授業で実践しました。スタジオ活動とは、大学2年生前期から大学3年生前期の約1年半、地域にお邪魔させていただき、地域の皆様と共に地域の課題を解決することを目指して活動するゼミ形式の授業です。私はこの授業で、山形県山形市の社会教育施設を拠点に「山形市の活動人口を増やすこと」を目標に活動していました。
▲共に「スタジオ活動」をしてきた学生と教員
活動の中で、山形市内にある公民館とコミュニティセンターに聞き取り調査を行い、社会教育施設の課題やニーズを分析したり、山形市の西山形地域で若者転出の原因を調査・分析したりしました。
▲3チームに分かれて行った聞き取り調査
この活動では、課題を解決する方法の提案まで行いましたが、提案した方法で課題解決ができるか検証できませんでした。しかし、社会教育施設を拠点に市民活動を広げるための土台を作ることができました。
▲西山形コミュニティセンターにて活動報告会を開催
卒業研究では、山形県尾花沢市にある徳良湖を拠点に、「徳良湖を拠点に活動している団体と徳良湖の利用者が相互に関わる仕組みづくり」をテーマに研究を進めてきました。徳良湖を拠点に活動している団体(以下、活動団体)の調査を進める中で、活動団体は徳良湖を「尾花沢市内外問わず様々な方が常日頃から立ち寄り、楽しむことができる場にしたい」と考えていることが分かりました。
この目標を達成するため、まずは徳良湖を普段から利用している尾花沢市民が徳良湖や活動団体に関する情報を入手し、徳良湖や活動団体と接点を増やすために行動するきっかけを作る必要があると考えました。そこで、徳良湖温泉花笠の湯にて「徳良湖のいいとこだより」という企画を実行し、活動団体視点で徳良湖の魅力を写した写真を展示しました。リアルな空間で写真を展示することで、偶発的なコミュニケーションが起こりました。
▲徳良湖温泉花笠の湯の一部スペースをお借りして「徳良湖のいいとこだより」を企画
卒業研究では、課題を見出すための調査や分析に時間をかけてしまい、課題解決に向けた仮説の検証は不十分のまま、終了してしまいました。しかし、徳良湖がより良い場所になるための土台を作ることができました。
私は、山形が暮らしやすい地域になるには、まずは山形で暮らす人自身が地域に対する考えや思いを持つことが大事だと学びました。私は、地域の課題解決に向けた活動を通じて、地域の課題を見出すには、住民の多様な声が必要だと実感しました。山形に対する考えや思いを持ち、発信することは、山形の課題を適切な方法で解決するための1歩になると考えています。
地域とのつながりやサードプレイスを求めて…
これまで、私は他者との関わり方に悩むことが多く、私自身の人間関係の現状に不満を感じていたため、私の身近な方以外の生き方や考え方を知りたいと思うようになりました。そこで、大学生活では授業以外でも地域に関わったり、家族や学校以外の居場所やつながりを求めたりするようになりました。
▲尾花沢雪まつり&徳良湖WINTER JAMでボランティアとして参加する
▲コミュニティデザインを学ぶ学生として「まちを知る」ため、山形花笠祭りに参加
▲1人で銀山温泉に遊びに行くことも…
山形県内の様々な企画にボランティアスタッフや参加者として参加することで、学校関係者や家族以外の方の話を伺ったりつながったりすることの楽しさに気づきました。
ヤマガタ未来ラボとの出会い・学生記者としての活動
私がヤマガタ未来ラボと関わるようになったきっかけは、2020年2月まで学生記者として活動していた石沢成美さんとの出会いです。石沢さんとの出会いから、ヤマガタ未来ラボのイベントに参加するようになりました。山形で活躍する方々と出会う機会が増え、山形の「人」に対する関心が大きくなりました。
この春社会人になる学生記者の卒業日記。山形の大学生へ『学生のうちにこれやっとけ!』(石沢成美編)
▲第4回やまらぼトークに参加
【イベントレポート】第4回やまらぼトーク年末スペシャルを開催しました!
学生記者の活動では、「山形で活躍する『人』を知りたい!伝えたい!」という軸を持ち、山形で活躍する方の暮らし方や働き方を発信するため、取材してきました。私の「できること」を活かした活動ができたため、やりがいを感じました。
▲学生記者のメンバーとミーティング
▲天童温泉屋台村「と横丁」を取材している様子
私は下記の記事を執筆いたしましたので、ぜひご覧ください。
【工芸をナリワイにしながら地域と関わる。民泊工房を営む七宝焼作家】学生のうちにこれやっとけvol.7
山形県内で就職活動を行った大学生による就職活動体験談| 山形大学4年 尾崎 丈さん
山形県内で就職活動を行った大学生による就職活動体験談 | 山形大学4年 竹田 菜々さん
また、「多様な考え方を知ること」「人と繋がること」の面白さを知ることができました。私は、学生記者として活動するだけではなく、ヤマガタ未来ラボやヤマガタ仕事ラボで開催されるイベントにも参加させていただきました。山形で活躍する方や山形の就活生と対話する中で、山形での多様な暮らし方や山形で暮らす方々の考え方を知り、私の視野を広げる良い経験となりました。
生きづらさから、やりたいことに気づく
私は、山形で暮らす中で、他者の言動に違和感を抱き、生きづらさを感じるようになりました。人間関係で傷ついたりイライラしたりすることが多々あり、時には泣いてしまうことも少なくありませんでした。「この生きづらさを誰かに分かって欲しい」と思う一方で、私が感じている生きづらさに対し、良く思わない方もいました。
そして、社会人になった今、このまま「生きづらい」という思いを我慢して暮らし続けても良いのか?と考えるようになりました。仕事やプライベートなど様々な場面で、コミュニケーションが不十分なまま事が運び、違和感が積み重なり、今後も現在の環境で暮らし続けても良いのか疑問を持つようになりました。
私はこの経験から、「人」にフォーカスした暮らしをしたいと考えるようになりました。誰もが1人の人間として認められ、より良い関係性のつくり方を模索したいと思っています。1人1人考え方や経験等違うため、他者の全てを受け入れることは難しいかもしれません。しかし、お互いの考え方を理解した上で、現在必要な考え方を取捨選択し、連携することはできると考えました。
そのために、まずは私自身がより良い関係性を作ることができる場を探そうと考えています。常日頃からコミュニケーションに時間をかけ、お互い納得のいく答えを導き出し、暮らしていくことができるような関係性や環境を探していきます。
読者の皆様へのメッセージ
読者の皆様には「小さくても自分の考えや思いを持ち、忘れないうちに可視化すること」を大切にして欲しいです。日頃抱いている考えや思いが、自分の「やりたいこと」など暮らしの軸に繋がるからです。
常日頃から抱いた考えや思いをメモしておくと同時に、「なぜそのように考えたのか?/思ったのか?」理由を考えてみてください。メモを後日見直した時に、あなたがよく考えている/悩んでいるジャンルが見えてくるかもしれません。
早期に「やりたいこと」に気づいていれば、「やりたいこと」に向けて大学在学中に何をすべきか、「やりたいこと」をするために自分は何が足りないのか考え、行動できます。私は今でも今後の山形での暮らし方を模索していますので、皆様も一緒に模索していきましょう。
私は学生生活の中で、山形で暮らす上で一番大切にしたいことは「人」だと気づきました。一緒に住む「人」、一緒に活動する「人」、一緒に仕事をする「人」、プライベートを共にする「人」など、共に歩んでいく「人」をしっかり選びたいと思うようになりました。
これまで他者の言動に違和感を抱いた経験のある私だからこそ、「人」に向き合い、その「人」に合った対応をしていくと同時に、共に歩んでいく「人」を厳密に選んでいきたいと考えています。そのために、これまで以上に主体的に「人」と出会い、関わる機会を作りたいと考えています。
最後になりますが、大学生活の中で関わってくださった皆様、ありがとうございました。私は未熟な点が多く、ご迷惑をおかけしてしまうことがありましたが、皆様のご協力のおかげで今の私があると思っています。私は4月以降も山形で暮らしています。今後ともよろしくお願いいたします。