日本海に面した、山形県庄内地方。日本海と聞くと、荒れ狂う白波、冷たい海風、灰色の雲…と、太平洋側と比べてどんよりとしたイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

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そこで”日本海側=日本の西海岸”と呼び改め、庄内地方をアメリカ西海岸のシリコンバレー・シリコンビーチのような革新的な産業都市にしようとする動きが、いま広がりを見せています。

いきなりシリコンバレーと言われても、なかなかイメージが出来ない感じもしますが、どんな事を行っているのでしょうか?「日本西海岸計画」プロジェクトを進めるリーダーである、株式会社CHANGE THE WORLDの池田友喜さんにお話を伺いました。

 

庄内から新しい産業エリアを作り出す

編集部:池田さん、こんにちは。早速ですが、西海岸計画ってどんなプロジェクトなんですか!?

池田さん:「日本西海岸計画とは、山形県庄内が中心となって、国内のみならず世界から注目される新しい産業エリアを創り出すプロジェクトのことです。人口減少が進みマーケットが縮小していくいまの時代、ICTを活用して新しい産業を創り、都会からも人が移住できる環境を整備することが必須です。10年後、20年後の未来を総合的にイメージして、それを実現するためのプランを考え、今から実行していきます。私たちは、庄内はもちろん、多くの地方が抱える課題を解決していき、未来都市のロールモデルを創りたいと考えています。

西海岸というブランドをつくり、シリコンビーチというベンチャー・スタートアップの聖地にしたい。それだけではなくICTを活用して既存産業の再構築も行ない、近い未来「新事業を立ち上げるなら西海岸、日本版シリコンビーチで」という起業家が移住してくるような環境作りを行います。

チャレンジすることを恐れない、失敗を恥とせず糧とするような文化を形成することが、私たちのビジョンです。

「新事業を立ち上げるなら西海岸で」という文化をつくっていきたいですね。」

日本西海岸計画で行っているプロジェクト

編集部:な、なんか、すごい壮大ですね!!!(とはいえ、写真のホワイトボードに”大人の悪ノリ”ってさりげなく書いてるのが気になる…ww)  具体的には、どんな事をやってるんですが?

池田さん:「たとえば、元外資系投資銀行に務めていたメンバーが、週末3日間でおこなう起業体感イベント「StartupWeekendYamagata」を開催しました。県内各地で5回行ない、のべ100人超の参加者が起業マインドを養成。各回ごとに「農業」や「少子・高齢化問題」といった地方特有のテーマを掲げ、チームごとにビジネスアイディアを構築し、ベンチャー事業を手がけるプロの起業家が審査していきます。なかには実際に動き出したプロジェクトもあるほど。山形県における起業文化を創り出しています。」

(2015年4月に行われた第5回StartupWeekendYamagataの様子)

 webクリエイターのメンバーは、自ら講師となって地元でのIT教育をおこなう「ウエストコーストアカデミー・WEB制作人材育成コース」を開校。1年間かけてHTMLやPHPといった言語、デザイン、さらにはプロモーションの習得も目指す本格的なプログラム。参加者の意気込みも感じられる授業が、毎週展開されています。 

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また、地元のライブハウスでは、知的好奇心・人生向上欲求を喚起するトークライブイベント「酒田モシエノ大學」を月2回開催。庄内で活躍する大人たちを講師として招き、「なぜ山形で暮らすのか」「どのようにして今の職業に辿り着いたのか」「仕事とは何か」といった切り口で、それぞれの生き方を語り明かしていきます。就職活動中の大学生や、進路について悩む高校生を中心に、地域に住む人が仕事や人生の視野を広げるきっかけになってほしいと思っています。(参考記事:ライブハウスが大学に!?~進路や仕事に悩む若者に対し無限の可能性を提供するライブハウスのおはなし~

 

編集部:かなり精力的ですね!企画も若い人たちの勢いを感じる企ばかりですね。いろんな分野の人たちがいて、人材も厚そうです。

池田さん:「そうですね。 昨年8月から始まった日本西海岸計画ですが、現在の参画メンバーは国内外に住む人を含め80人ほど。それぞれの専門分野を活かして、環境づくりのプロジェクトを立ち上げています。」

 

行政とも協働

編集部:庄内がシリコンバレーのようになるために、土壌が着々とつくられていますね。認知度は広まってきましたか?

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池田さん: 「庄内地方における影響はまだ少ないものですが、山形新聞などの地元メディアに取材して頂いたり、行政と一体で取り組んだりすることで、だんだんと地元での認知度が上がってきているように感じます。先日、会合で初めて会った地元の方に「西海岸の方ですよね」と声をかけられました(笑)。

嬉しかったのは、地元の酒田市役所に講演イベントの開催を提案した際、即その場で開催が決定したこと。プロジェクトに協力してくれている行政職員の方が頑張ってくれたおかげもあって、スムーズに動いてもらいました。それに、もしこの計画がなかったら、いま庄内から離れてしまっている人もいるかもしれません。そういった意味で、志を持ったコミュニティの求心力の強さも感じています。」

 

日本西海岸計画の今後の計画

編集部:行政の方も、本気度を感じていらっしゃるのでしょうね。今後の計画を教えてください!

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池田さん: 「今後も若者が定着するようなエリアにするべく、総合的に考え実現しています。ICTのディベロッパーやデザイナーを移住させることを目標に掲げ、現在空き家を活用した短期移住者向けゲストハウス「ショウナイベース」も立ち上げ中(追記:2015年7月にOPEN)。(参考記事:酒田に滞在するならココ!移住体験ゲストハウス「ショウナイベース」がオモシロイ!

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今秋には酒田市、東北公益文科大学と共同でコワーキングスペースを本格オープンする予定です。(参考記事:「今話題のコワーキングスペースを利用してみませんか?」山形県内のコワーキングスペースをまとめてみた。

庄内をはじめ、日米の西海岸地域(富山県やL.A.)の起業家と連携したこれらの動きは、ヤマガタ未来ラボをはじめWebメディアやFacebook、Youtubeを使って、庄内から世界へ発信しています。

未来をつくるというのは時間がかかります。だからこそ10年後、20年後の未来を見据えて、若い私たちがいまから行動を起こさねばなりません。」

 

 編集部:最後の一言がぐっときますね…。是非一緒に頑張って行きましょう!

Profile

池田友喜さん

日本西海岸計画プロジェクトリーダー。株式会社チェンジ・ザ・ワールド ファウンダー。 http://www.ctws.jp/
山形県酒田市生まれ。大学卒業後ITベンチャーとTV通販ベンチャーの2社経験し、2006年に起業。IT事業、通販事業、海外事業、中古機械販売事業、太陽光事業など事業の多角化を行う。2012年6月、経営するひとつの事業で大きな損失を出し他事業を分社化。これを期に自らは「人生を掛けてで取り組みたいこと」に重点をおいた生き方をするべく、2014年3月18年ぶりに地元酒田にUターン。その後、株式会社チェンジ・ザ・ワールド設立。庄内地方を日本の西海岸と呼び、多くのスタートアップやベンチャー企業をインキュベーションする日本版シリコンバレー(シリコンビーチ)を実現に向けて活動している。

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