山形県酒田市、ここには毎月2回、学校のチャイムが鳴り「大学」へと変わるライブハウスがあります。

 

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酒田駅から徒歩5分の位置にあるライブハウス「酒田 MUSIC FACTORY」では毎月第2・4木曜日、庄内の知的好奇心・人生向上欲求を喚起するトークライブイベント「モシエノ大学」が開校されています。

「モシエノ」とは庄内弁で「オモシロいね」という意味。進路や仕事で悩む若者に対し、地元で活躍する経営者や起業家を講師に迎え、他人の生き方に対して「それもアリだ」と思えるような話をトークライブ形式で提供しています。

 

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このモシエノ大学を設立したのは、当ライブハウス店長の松浦祐治さん。
まずは設立に至った経緯を伺いました。

 

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編集部「よろしくお願いします!さっそくですが、なぜモシエノ大学を立ち上げたのですか?」

松浦さん「はい、よろしくお願いします! 設立の理由としては、ここ最近の若者の離職率が高いことに問題意識を感じていたからというのが大きいです。

多くの高校生・大学生は主に雑誌やインターネットなどの資料をもとに進路を決めるわけですが、働き始めてからそれら情報媒体では知り得なかった仕事のリアルやギャップを感じ、その結果として離職率がとても高くなっているという現状があります。 無限大の可能性をもっているはずなのにそれに気付かない若者が多く、また『田舎に生まれたから』という理由で選択肢を狭めてしまう人もいる。

変な話ですが、20代前半で人生の半分は決まってしまうと思っているので、将来の選択肢をもっと幅広く考えてもらうためにも、若者にはより早い段階で実際に働いている人の生の声や苦労話、今に至るキャリアなどの刺激的な話をもっと身近なものとして聞いてほしい。

 

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その中でいろいろなものを感じ、自身の将来を考えるきっかけを提供する、そんな場所をつくりたかったのです。せっかく働くのならば『オモシロく』働いた方が人生そのものが面白くなるし、仕事の効率も上がるだろうから――そんなことを2~3年前から漠然と考えていました。

このような想いを周りに話していたところ、昨年行われた音楽イベントのつながりがきっかけで、今年3月、このライブハウスを会場に『モシエノ大学』をスタートするに至りました。」

 

      (※モシエノ大学オープニングムービー。モヤモヤしている自分に「さぁ立ち上がろう」と語りかけてくれます)

 

編集部:その想いの根本には、ご自身の経験によるものもあるのですか?

松浦さん「それもありますね。私も高校卒業時のキャリア選択で、特に具体的にやりたいことがなく公務員になりました。その後、大工を経て現在ライブハウスの店長をしているが、今になって『高校時代にこういうキャリア選択をしていればな』と思うことがあり、その経験を今の若者に伝えたいというのはあります(※下画像は松浦さん本人が講師を勤めた回)。

 

 

移動圏内が狭く『田舎=つまらない』『一刻も早く都会に行きたい』と思っている高校生は多いし、親世代からもそのような刷り込みが行われていることもあります。また『なんとなく地元で働いて生活している人』もいるというのが現実ですが、逆に田舎に対し魅力を感じている人や『地元で楽しくやりがいをもって一生懸命働いている人』も最近はすごく増えています。 ただ、繰返しになりますが、高校生は自転車通学が主で移動圏内が狭いため、そのようなワクワクした人と出会うことは難しい。

だからこそ、そのような人が地元で『なぜ働いているか』『なぜ働けているか』『どんな想いで働いているか』を、これから就職を控える若者にもっと知ってほしいのです。それを知った上で県外へ就職したい人・外の世界に興味をもった若者は、どんどん外へ出ていっても構わないと思います。

 

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ただ、将来的には様々な経験・スキルを携えて地元に帰ってきてほしい。『庄内はつまらない、、このままここにいてもダメな気が。。よし、都会だ。』という気持ち一本で県外へ出た人も、後に地元の良さに気付くこともあります。そこで『一度出て行ったのだから帰れない』と思いとどまるのではなく、『そういえば地元にいたときにあんな話を聞いたな』『あのとき話を聞いたゲストの人に連絡してみよっかな』と考える若者が増えてほしい。

モシエノ大学はそのような無限大の可能性を秘めた若者が自身のUIターンや『働き方・生き方』などのキャリアを考えるためのきっかけになってほしいと思っているので。」

 

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編集部「ところで現状、どのように運営しているのですか?」

松浦さん「設立当初は私含め4名でやっていましたが、さすがにキツいということで、今はボランティアスタッフを集い、UIターンをしてきた人など約10名で運営しています。が、慣れないことをハイペースで行っているため、それでもギリギリな状況です。。」

 

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編集部「月2回って結構ハイペースですよね…?(汗)」

松浦さん「はい、、(汗)。なかなかにハードですが、1か月に1回だと物足りないし、気軽さがなくなってしまうと思ったので月に2回のペースにしています。 また、参加者のメインは20~30代の社会人の方々ですが、先ほど述べたように、高校生や大学生にもっと参加してほしいと思っています。でもやっぱり興味がないと来てくれない、それが結果である以上、もっと彼らが参加したくなるような仕組みを作らないといけないと考えています。

 

 

もちろんゲストの職種に興味をもってくる人が増えるのは嬉しいけど、実際には職種や業種の奥にあるゲストの『人生観』や『仕事観』をもっと伝えていければなとも思っています。高校生は無料としていますが、高校生自身、キャリアに関してどうしてもそこまで具体的に考えないことが多いと思うので、先ほども言ったように、彼らに対しいかに自分たちの熱量を届けることができるか、試行錯誤中です。」

 

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編集部「モシエノ大学を始めたことで何か『変化』はありましたか?」

松浦さん「周りの環境の変化としては、行政との関わりができました。当初、まずは継続していこうということで運営していたのですが、行政との関わりができ、今年10月には酒田市主催の産業フェア(※詳細は【コチラ】)でUIターン希望者向けに番外編の講座を実施することになりました。公共の場ということで、徐々にですが影響力も大きくなってきているのではないかと思います。

 

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あとは当然ですが、このライブハウスに来てくれる人の層も変わりました。今までは音楽好きの人だけに限られていたのですが、進路や仕事で悩みをもつ若者が多く来てくれるようになりました

結果、ここに来ることによってゲストと参加者、参加者どうしでの新たな出会い・つながりができているような気がします。協力者や応援を募るという意味では、ゲストにとってもメリットになっているのかなと思います。 個人的にも変化がありました。私自身も『公務員→大工→ライブハウス』と様々なことを経験してきましたが、モシエノ大学を開催することで、自分では思いもしなかったような・気付かなかったような想いをもって働いている人が地元には多くいるんだなということを痛感しました。参加者側からも質疑応答やアンケートを通し、自分にはない様々な考えをもっているのだなと毎回感じ、勉強させていただいています。

 

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編集部「ズバリ!これからのモシエノ大学、どうありたいですか?」

松浦さん「参加して下さった方の『あのとき聞いたことがきっかけで人生が変わりました』という声や行動が目に見えてきたらいいなというのは一番に思っています。 人の人生はタイミングによって変わることが多々ありますが、そのタイミングがここで生まれてほしい。高校生・大学生が卒業して就職する際に『あのとき聞いたことがきっかけで~』『あのときできた繋がりがきっかけで~』という声が聞けたらいいですね。

このライブハウスがきっかけでプロになった人もいるので、そのモシエノ大学バージョンとして、進路に悩む若者には、この場をきっかけに自身の可能性を大きく開花させてほしいなと思います。

 

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また、参加して下さる社会人の方に関しては働く上での『オモシロさ』を求めている人が多いはずなので、このモシエノ大学をきっかけに、庄内でどんどん『オモシロく』働く大人が増えればいいなと思います。そのような人が増えることで地域も少しずつ変わってくるはずなので。

編集部「松浦さん、ありがとうございました!」

 

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編集後記

もっともっと若者に「オモシロい」庄内を知ってほしいということで、これからは現在のような「ゲストとファシリテーター」という形式のトークライブだけでなく、複数人のゲストによるトークセッションや出張講座、ネット中継なども検討中だと話す松浦さん。その姿がまさにここ酒田で「オモシロく」働いている大人に映りました。 そんな松浦さんが手がける「モシエノ大学」からこれからも目が離せません。

 

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酒田モシエノ大学(詳細)

■日時 毎月第2・第4木曜日 18:30開場 19:00開演

■会場 酒田MUSIC FACTORY 〒998-0832
山形県酒田市相生町2-1-6 酒田駅から真っ直ぐ道なりに進み、左手に山形銀行のある交差点で左折、曲がってすぐ右手にあります。

■料金 ¥500
1ドリンク付き 高校生以下無料

■お問い合わせ 酒田MUSIC FACTORY(松浦)
0234-24-8502/0234-22-2705のどちらか

■公式HP(詳しいイベント情報はココでチェック!)
http://moshieno.com/ (※Facebookページは【コチラ】)

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Profile

松浦祐治さん

酒田 MUSIC FACTORY 店長/酒田モシエノ大学 設立者
山形県酒田市出身。1975年生まれ。中学の頃はアメリカへ行こう、高校の頃はこの街を早く出たいとそればかり考えていたが、なんの因果か酒田市役所に勤務。公務員としてこの街に残るなら、「この街に面白い所を造ろう、そうだ遊園地だ!!」と想ったのもつかの間、現実と理想、越えられぬ壁と時間、見え過ぎる未来に嫌気がさして2年で退職。
公務員という安定を捨ててしまったのと同じ頃、ミスチル桜井さん(※実家が工務店)のインタビューの記事を見て「大工」は素晴らしいという感じ、また公務員も辞め、家も建てられなくなったので、「自分で家でも建てるか」という安易な考えから大工へ転換。日本一の大工を目指し順調かと思われた修行時期、ライブハウスへ行った事をきっかけに今までに味わったことのないパッションに触れ、ライブハウスへ通うはめに。いつしか自分が見るだけではなく、「地元の人や若い奴らにも見せたら面白い事が起きるのでは?」という想いが沸々と湧き上がり、想いを形にしたいと「行動」へ。
2002年2月から練習スタジオから始まり、2004年にライブハウススタート。スタジオ13年ライブハウス11年を経て、現在酒田モシエノ大学も手掛ける。

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この記事を書いた人

伊原 貴義

1992年山形県酒田市生まれ。2012年よりヤマガタ未来Lab.に参画。紆余曲折があり4年制大学に5年間通い、現在はIT業界に従事。酒田のラーメンと蒙古...

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