• HOME
  • コラム
  • 【蔵王×クラフトビール】山形・蔵王からクラフトビールを世界へ、山形と歩むキャリア 山形仕事図鑑#137

山形県内で5ヶ所のみだったクラフトビール醸造所に2022年3月、山形市・蔵王で初めて「ZAO BREWERY(蔵王ブルワリー)」がオープンしました。2024年で3年目を迎え、多様なクラフトビールで思い出と感動を蔵王から発信しています。


今回は生まれも育ちも蔵王、地元を愛する代表取締役の海谷さんにクラフトビールの可能性と山形でスタッフのみなさんと共に歩むキャリアについてお話を伺いました。

今回の山形で働く人

海谷康裕さん

山形市出身。山里菜有限会社代表取締役社長。父親が経営していた食品卸企業を引き継ぎ、、従業員に長く勤めてもらうためにも先に繋がる次の柱になる事業を…と考えていた時、コロナ渦をきっかけに蔵王初のクラフトビール醸造所「ZAOブルワリー」をOPEN。

(この記事は、『山形を知るインターン(学生)(社会人)参加者の社会人が執筆しました)

クラフトビールの多様性で蔵王を表現したい

Q・たくさんの魅力がある蔵王でクラフトビールを作ろうと思ったきっかけを教えてください。

蔵王はスキーしに行ってもリフトの待ち時間1〜2時間なんてのはザラで温泉街も賑わっててというのが子供の頃の印象がずっと残っています。
それが年々観光客が減っていてそれに伴って廃業したりというお店も増えてきて、追い打ちをかけるようにコロナがあって…元気のない蔵王が続いていました。
子供の頃から賑わっていた蔵王をもう一度取り戻したいなと思っていて、会社としても私としてもできることがないのかずっと考えていたんですけど、形にはできずにずっと迷っていました。

そして蔵王ってすごく水が美味しいんですね。私たちの水道水は湧水で、生活の中で口にしていてもとても美味しくて、この素晴らしい環境が作った蔵王の湧水だったりを事業に結びつけられないかなと思って、そこで思いついたのがクラフトビールなんです。
当時、山形市内に一軒もなくて、県内でも醸造場自体5箇所しかない、山形県の県庁所在地に1件もないというのがあって山形市で初めての蔵王から発信するクラフトビールっておもしろいなと思って。そしてクラフトビールを勉強していく中でクラフトビールってお酒の中でも多様性があり表現が一番できるのがクラフトビールだなと思い、そこから事業が始まりました。

県外・国外に蔵王の魅力を発信したい、そして大事なのが蔵王のいいところを地元の人に再発見してもらいたいという2つの思いがあります。クラフトビールの多様性を生かして今までにない形で表現や発信していきたいです。

Q事業が始まる前のクラウドファンディングでは、周囲の方のクラフトビールへの熱は感じていましたか?

クラウドファンディングをした意味は資金集めも少なからずあるんですけど、主な目的は事業を始めることを発信したかった、そしてどれくらい興味を持ってくれているのか知りたかったからクラウドファンディングを始めました。
結果は目標金額よりも支援いただいて、私たちも想像以上でこんなに応援してくれている人がいるんだというのが事業を始める前から知ることができました。

Qどんな声がありましたか?

クラウドファンディングのメッセージに「応援してるよ、蔵王にこんなところができるなんて楽しみだ」という期待の声があって嬉しかったですね。
想像以上に集まったのは嬉しかったんですけど期待に応えていかなきゃいけないという責任をクラウドファンディングを通して感じました。

Q実際にクラウドファンディングで支援してくださった方はどこの方ですか?

A意外と6:4(県内:県外)でそれもびっくりしました。発送する時に「九州の人だ、関西の人だ!」っていうのが多くて。実際にオープンした時もその方達が実際に足を運んでくれました。

お酒が苦手な人でも飲みやすいと絶賛のクラフトビールと山形料理

Q蔵王ブルワリーさんのクラフトビールで最初に味わってほしいと思うオススメのクラフトビールを教えてください。

定番の「クラフトビール4種飲み比べ」がオススメです。
全部個性があるクラフトビールなので、最初に少しずつ飲み比べて好きなものを見つけていただいてそこからおかわりいただいたりというのが多いです。
最初は先入観なく飲み比べていただきたいかなというのがありますね。

Q特に反応があったクラフトビールはありますか?

Aうち独自の白いビール「SNOW MONSTER(スノーモンスター)」目当てにいらっしゃるお客さんが多いです。
「こんなビール初めて飲んだ、苦味がないのでお酒が苦手な私でも飲める」という声があってお酒に対しての入口みたいなビールになっていることが嬉しいですね。

Q美味しいクラフトビールを提供するために大事にしていることは何ですか?

提供する上で常に綺麗に保つ「洗浄」が一番大事です。醸造場も設備もビールを提供するサーバーも一番清潔に保つのは一番美味しいビールをお客さんに提供する中で一番大事なことなのでそこは徹底しています。
原材料やビールの注ぎ方ってのも大事なんですけど、まずは洗浄を徹底して生ビールを注ぐ時に誰が注いでも統一したレベルでできるようにというのを大事にしています。

Q併設のレストラン「Crang Dining」ではクラフトビールと地産地消の料理の組み合わせにこだわりを感じました。意識していることはありますか?

ビールも本当に色々なスタイルがあって、例えばうちの「IPA」っていう一番苦くてアルコール度数高いビールがあるんですけど、それだと白身魚系の食べ物が負けてしまうんですね。だからスペアリブや牛カツとかそういうのがすごく合います。でも、白い「SNOW MONSTER(スノーモンスター)」だと逆にお肉はビールが霞んでしまうっていうのがあるので…
定番4種のビールに関してうちのビールと料理は合っていると思いますね。

モンテディオ山形とのコラボ

Q山形のサッカーチームである「モンテディオ山形」とコラボしたビール「山ノ神ラガー」と「山ノ神IPA」など…コラボのきっかけとビールにかけたモンテディオ山形への思いを教えてください。

元々サッカー少年でサッカーは大好きなんです。元々の会社(山里菜有限会社)は食品の卸をしているんですけどそれだと応援することはあっても会社としてコラボのきっかけはなかなかなかったんです。
蔵王ブルワリーを始めていずれモンテディオ山形とコラボして青いビールとか作ったら面白いなと思っていたところに、逆にモンテディオ側から「面白いことしませんか」って言う声かけがあって、「一緒にコラボビール作りましょう」と。

やっぱり自分もサッカー好きでモンテディオも見ていて、実際好きなものから声がかかってということで二つ返事で「やります」と返事させてもらいました。
実際に青いビールってよりも味で勝負、「山の神ビール」を根付かせようというお互いの思いで始まって去年の3月からリリースしました。
山の神ビールの思いは「勝利を願い、勝利に乾杯」という思いで作っているので試合前は験担ぎ、勝ったら楽しく乾杯してもらいたいという思いです。スタジアムに実際に出店して、サポーターの方で多い方は1試合で8杯とか、熱い人もいます。

一緒に働く仲間たち

Qこだわりを持って一緒に事業に取り組んでいる醸造長や料理長はどんな方ですか?

醸造長は一言で言うとアホなんですよ(笑)
中学校の頃からずっと一緒でバカばっかやってきて、ただ信頼関係はバッチリあって一番芯の部分はしっかりして筋通ってる男だったので安心して任せられるなっていう。
自分がクラフトビールを始めたいと言った時に声をかけたのが彼で元々彼が当時は神奈川で仕事をしていたんですけど、自分が一番信用できて彼とだったらうまくやっていけるだろうなと思って声をかけたら「いいね、一緒にやっていこう」と返事をくれたのが始まりです。

料理長は気使いの人でいろんなところに目があって配慮できる方だったのでうまくやっていけるだろうなと思っていました。
元々料理の道にいた人ではないんですけど何回か料理長のご飯を食べる機会があって、すごく美味しかったんです。
この人にうちの料理担当してもらいたいなという思いがあったので、その人も別の仕事してたんですけど「醸造場作って隣でビアレストラン開きたくて、そこで料理を担当してもらいたいんだ」とお願いしました。
元々料理の仕事をしたいと言っていて、快く引き受けてくれました。
二人に関しては元々やっていた仕事を辞めて自分についてきてくれたというのがあるので感謝していてなんとか成功して豊かにしてあげたいというのがありますね。

Q誰と一緒にやるかって大事ですよね。

スタッフには本当に感謝してるんです。
二人が来てくれなかったらやってなかったっていうのもあって、醸造長は彼に料理長は彼女にやってもらいたいというきっかけがあったので、二人ともついてきてくれたのが今の事業の立ち上げの後押しになりました。二人じゃないとイメージがつかないです。

Q今後どんな働く人が山形に増えてほしいですか?

一緒に働いて欲しい人でいえば、今は一つのチームとしてミッションを決めてビジョンマップもみんなで作ったのでそれをチームとして成し遂げられる人、一緒のゴールを持って取り組んでくれる人を大事にしているのでそういう人材が集まってくれるといいなと思ってます。

自分は今ビール製造業って形で活気を取り戻したいという思いでやっているんですけど、いろんな形で可能性はあるなと思っています。そういう人っていっぱいいると思うんです。東京に行った友達が実際に「手伝いたい、東京で広めさせてくれ」という声もあるのでそういう人が増えたらと。

山形の乾杯は「クラフトビール」で!

Q今年4月には「県クラフトビール普及協会」が設立、蔵王ブルワリーさんとしてどんなことを期待しますか?

蔵王ブルワリーを2年間やってきて思ったことが、山形はワインや日本酒のイメージがすごい強くて自治体も宣伝だったりいろんなところで推すのはワインと日本酒なんですね。
うち1箇所だけでは限界を感じていて、山形でもっと負けないクラフトビール文化を作りたいねって声をかけさせてもらって、みんな思ってたところはあったので設立に繋がりました。
実際に乾杯する時って1杯目はビールで乾杯しますよね。でも山形の会合は日本酒で乾杯することが多いんですよね。最初の一杯はビールで乾杯すると言う文化を山形でも作らなければいけないとみんな意思を統一して感じています。
協会の目標としてはまず山形のクラフトビールを山形で普及していこうというのが一番の趣旨なので、7社協力しながらイベントや合同でビール作ったり出店したりまずは普及活動を大事に協会として力合わせてやっていこうとしています。

Qこれからどのようにクラフトビールと向き合う方が増えたらいいなと思いますか?

Aビールに関して言えば、さくらんぼとかラフランスなど特産物を使ってビール作りをしているので、その人が好きなものを使ってビール作りをやってみたいと言うのが面白いと思います。そういう人が協会に増えてくれればすごい刺激になると思いますね。

Q今後挑戦・展開していきたい場所やモノ、場面はありますか?

したいことがありすぎてっていうところもあるんですけど…
まずうちの場所っていうのが山形市内から車で20分くらい、最寄りのバス停からも5分かかるので、よく言われるのが「車で行くと飲めないよね、日中だと代行ないから飲めないんだよね」という声がすごい多いので、山形の駅前あたりに蔵王ブルワリーの※タップルームを作って来れない方や足を気にせず飲める場所を作りたいなというのが一つあります。

※タップルーム…ビールサーバーがあり、ビールが飲めるカウンターやボックス席がある場所
あとは今製造が追いついてなくて色々な声はもらってるんですけど、なかなか卸や供給が追いついていないのでいずれ第二工場を立てていろんなところに提供できるようにというのが当面の目指すところです。

Qこれからいろんな人に届く可能性が増えていくってことですよね。

そうなるように頑張っていきます。
うちのビジョンマップの一つに「県内で圧倒的知名度No.1」っていうのを掲げているので認知度と供給量圧倒的No.1を3年以内に達成したいというのも1つの大きな目標ですね。
現実になるのを楽しみにしています、ありがとうございました!

蔵王ブルワリーHPはこちら
SNS アカウント(クリックするとページに飛びます)

 

まとめ

次はどんなことをしてくれるんだろうってワクワクと期待をしてもらえるような企業でありたいと話す海谷さんが印象的でした。
目標に向かって山形・蔵王で働く蔵王ブルワリーさん、ありがとうございました!

(この記事は、『山形を知るインターン(学生)(社会人)参加者の社会人が執筆しました)

記事をシェア



友だち追加
ヤマガタ未来ラボ LINEの友だち登録でおすすめコラム・求人情報をお届け!


この記事を書いた人

ゆくゆく転職 (株式会社キャリアクリエイト)

気軽に話せる頼れるキャリアアドバイザーが、いますぐの転職はもちろん、ゆくゆく転職に対してしっかりサポートします。転職支援実績24年・500人...

ゆくゆく転職 (株式会社キャリアクリエイト)の求人情報

ヤマガタ未来ラボ LINEの友だち登録でおすすめコラム・求人情報をお届け!

友達追加