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東京・両国駅から徒歩15分。閑静な住宅街の中にパッと目を引く清潔感のあるレストランが「チエロ・エ・マーレ」。

毎日のように通う常連さんもいらっしゃるというお店のメニューはなんと日替わり。

「お客さんにとって今日は大切な1日なのかもしれない。だから丁寧に、大切に接する。」と語るシェフの矢口さんに、お店の食材のこだわりや山形との関わり方について伺った。

 

料理を志し東京へ。高級店のシェフとして活躍し、ピッツァイオーロ(ピザ職人)に

両国のイタリアン「チエロ・エ・マーレ」のシェフ矢口さんは山形県鮭川村育ち。
高校を卒業した18歳の年に上京し専門学校へ進学、その後数々の都内のフレンチ、イタリアンの高級店で修行を積んだ。30歳のときに若くしてシェフ(料理長)を任され高級店で腕をふるっていたが、料理人歴20年を超えた40歳のときにピザに目覚める。

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—高級店からピザの道に入ったのはなぜですか?

「正直、ずっと高級店にいたのでピザをなめていました、どうせB級グルメでしょって(笑)。でもある日まかないで食べたナポリピッツァが最高に美味しくて『こんな世界があるのか!』と、急に目覚めました。それからピザの修行を始めて、レストランの現場にもぐりこんだり、友人に学んだりして独学で研究をしました。山形の『緑のイスキア(http://www.honamikaido.com/)』のピッツァイオーロの方も友人の一人です。」

—今のお店はピザのお店ですよね?

「はい、ピザがやりたくて、7年前の立ち上げから関わっています(2018年現在)。周りは住宅街なので、熱心な常連さんがいらっしゃって、ほぼ毎日通われている方もおります。そういったお客さんに楽しんでもらいたいので、毎日メニューを変えています。」

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—毎日メニューを変えるって、大変じゃないですか?

「私は寿司屋の職人のようでありたい、と思っています。一流のネタ(食材)があって、それを自在に調理してお客さんに提供する。ロスが出てしまったり、大変なこともありますが、うまくやりくりしています。」
一人一人のお客さんを大切にする姿勢やシェフの腕に左右されるメニュー決めや食材の扱いなど、矢口さんの人柄や豊富な経験が伺える。

 

山形食材で育った”舌の文化”。地元の野菜を絶品イタリアンに

—お店で山形の食材は使われていますか?

「はい、地元の最上地方の食材を中心に山形の食材を使っています。鮭川村の『地ネギ』や『雪割菜(ゆきわりな)』など。地ネギの葱坊主(ねぎの先端にできる花)は蕾の状態で食べられるんですよ。

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あとは伝承大豆です。これは私が地元に帰った時に見つけて、気に入って買って来て食べてみたら美味しかった。生産者に確認したらあまり在庫がないということだったので、全部押さえちゃいました(笑)。」

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この大豆を栽培している農家さんはなんと地元の知り合いだったとか。こうした人の繋がりがあるのも山形の魅力。

「あとは『最上赤』というにんにくです。皮がうっすら赤いのが特徴で、何と言っても旨味が強い。最近は加工品も出て来ているようですね。そして『秘伝豆』。夏になったらお店中、秘伝豆だらけですよ(笑)。秘伝豆がゴロゴロ入ったスープにしたり、パン生地に入れたり…いろいろな料理に使います。飲食店に卸しているのか、八百屋に卸しているのかわからないくらいの量が届きます(笑)。

このにんにくと秘伝豆の生産者さんは実家の近所のおじさんです(笑)。『ミッチー農園』という農園を営んでいて、畑にもお邪魔します。」

生産者がまるで身内のような距離におり、生産者の人柄や背景、ストーリーを熟知した上で料理をする。

矢口さんはとても楽しそうにミッチー農園を語る。

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—前から山形の食材を使っていたのですか?

「いえ、使い始めたのは最近ですね。料理人として働き始めてから、食材の視察として全国の産地に行くようになったのですが、『山形の方が美味しいのではないか』と思うようになりました。やはり幼いころから食べ、慣れ親しんできた野菜や水など、舌にしみついた『舌の文化』があるのだと思います。

地元にいるときにはわからなかったのですが、確かにその味で育った、ということは刷り込まれています。そのことに気がついてからは好んで山形の食材を使った料理を作っています。

幼い頃に『あんなふうにして食べさせてもらったな』ということを思い出すと、おのずと料理のアイディアも浮かんでくるんです。」

 

 

来てくれたお客さん一人一人を大切に。特別な日を彩るおもてなし

最後に、常連さんも多いという「チエロ・エ・マーレ」の大切にしていることを伺った。

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「自分たち店のスタッフにとっては、いつもと変わらないただの1日かもしれないけど、来てくれたお客さんにとっては特別な日なのかもしれない。そう思って一人一人のお客さんを大切に、丁寧に接するということを心がけています。」

ちょっとした特別な日に、静かな東京の下町にある「チエロ・エ・マーレ」で、山形食材をつかったシェフのアイディア溢れる絶品イタリアンを食べに行ってはいかがでしょうか?

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チエロ・エ・マーレ

住所
〒101-8642 東京都亀沢3丁目22-1 YKKビル60 1F

営業時間
[火~金]
11:30~15:00
17:30~21:00

[土・祝]
11:30~15:00
17:30~21:00

電話番号
03-5610-8370

アクセス
JR、都営大江戸線両国駅徒歩15分

平均予算
4000円

定休日
日曜、月曜