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東京で暮らしていた頃、山形県の海沿いの町(旧温海町)で育った現在の夫と出逢い、庄内の食文化に興味を持って移住したのが2010年。

神奈川で22年、東京で約5年を過ごした都会育ち(?)の私にとって、ここでの生活は初めて体験することばかり。

山形は、食が豊かなだけじゃなく、人も環境も文化も多種多様。お金に頼る生活になる以前から育まれてきた、「生きるための知恵」に溢れているところでした。

水を得た魚のように野生性を取り戻した夫や友人に連れられて、野に山に、海に川に。ここで都会で暮らしていたように暮らしていては、もったいない。山形を満喫しながらたくましく成長しています。(今野 楊子)

暮らしのいろどりは、野から山からとってくる

秋に山へきのこを探しに行った時のこと。道中あけびの実を大量に採取する幸運にも恵まれていたのですが、あけびといえば実を食べるだけではなく、そのつる(蔓)をつかったかご細工なども有名です。独特の風合いと人の手からつくられる温もり感がとても素敵で、職人さんがつくるものはひとつ数万円もするほどの高値で取引されています。

つるでかごを編む、という手しごとに憧れを抱いていることは言うまでもないと思いますが、そうなんです。

外に出られないくらいぷっぷでゅう(吹雪いている、を庄内弁でぷっぷでゅうと言います)休日に、暖かくした部屋にこもり、せっせとつる編みを楽しむ。これぞ東北の冬って感じがしませんか。いいなぁ、東北の冬。

と、私のささやかな妄想を現実のものとするために、今年こそつるを手に入れようと思っていたのですが、編むには冬の少し前の頃のつるがちょうど良いらしく、きのこ狩りの時には採取しませんでした。

時期がきた頃またつる取りに出かけましょう、と約束をしていたのですが、光陰矢の如し。気がつけばはらはらと白い物が舞い降りるようになり、お山の上の方はすっかり雪化粧。

このままあきらめて、つる編みの夢を来年へ持ち越そうか…とも考えたのですが、悪あがきをこいて半ば強引に友人をお誘いして、完全防寒で冬の山へと乗り込んできました。12月の半ばのことです。

IMG_5185_h250しかし、山の上はご覧のようなご様子。すっかり冬。おなごばかり3人で、さして車も通らないような道を進みます。しかも強気に出たわりに、私の車ったら二駆。ここで車がスタッグしたらどうしようとドキドキしながら山を登って行くと、お目当ての場所は既に冬期通行止めで通ることができませんでした。


IMG_5180_h300ここであきらめる訳にはいかない私たちはルートを変更し、目を光らせてつる性の植物を見つけることに。つるらしきのを見つけるや否や、あった!あった!と騒いで車から飛び出して、膝より積もっている雪をもろともせず、つるめがけてずんずんと前進し、それぞれの役割を察知してここぞというチームワークを発揮。初めての共同作業とは思えないほどでした。

これはなかなかいいつるだ、しまったちょっと短かかった、つるじゃないけどこれかっこいい、なんていう会話をしながらつる取りをすすめ、それなりの量を採取して終了。大満足で山を下りました。


さて、いきなりかご編み難易度が高いので、今回はリースをこしらえることに。実は私リースづくりも初めてだったのですが、友人お二人のおかげでこんなに可愛らしいリースができました!

IMG_5193_h250(3人がつくった作品の、集合写真です)

さっきまで山で雪をかぶり、ただのつるだったことが嘘のような可愛らしさ。自然のつるならではの、素朴でしなやかな雰囲気もとっても素敵です。

浮き足立って家に帰り、さっそく殺風景だった自宅のお手洗いに飾ってみようと思いつきました。


単なるお手洗いが
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こんなに華やかに。
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雑貨屋で買わなくても、有名なブランドのものでなくても、こんなに愛らしく暮らしをいろどることができるんだなぁ。自己満足と言われても、自分がそれで楽しくて満足できるのなら、こんなに幸せなことはないですね。

IMG_5198_h300リースを見るたびに、雪の中でせっせとつるを採った思い出がよみがえってうふふとなります。思い出とセットになった手づくりのものは、自然と大事にしようと思えるものですね。


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陽子佐野

ライター情報

佐野 陽子

1983年生まれ神奈川県出身。 早稲田大学商学部を卒業後、大手損害保険会社に勤務し丸の内OLを経験。 山形の在来作物とそこに関わる人々を描いた一...