やまらぼインターン生の小山内です。
僕は「人の健康を支えたい」という思いから、まず「自分の健康観」を形作りたいと考え、山形で働く人々にお話を聞いています!
今回は、保健師の業務経験を経て現在はパレスグランデールで社員のメンタルケアをされている、わだゆきこさんにお話を聞いて来ました!
ライフワークとして育児支援・学生に向けた講演・キャリア教育にも携わっているわださんから、保健師になったきっかけやそこで感じたこと、仕事への姿勢などについて伺ったことをお届けしようと思います。
最後までお付き合いいただけたらありがたいです!
【わだ ゆきこさん_プロフィール】
1977年生
山形市役所にて11年間保健師として子育て支援、児童虐待対応業務に携わる。公務員を退職後、児童養護施設での講話、学生向け出前授業「生き方の授業」、講演活動等を行なっている。現在は(株)ジョインに入社し、広報業務・企業向け社員研修等を行いながら社員面談を通してメンタルケアに携わっている。
目次
- 保健師になったきっかけ
- 働く中で感じたこと、もがいたこと
- 求められたら全力で
- 生き方の授業、若者に伝えたいこと
- 最後に
保健師になったきっかけ
ーこのコロナの問題があって保健師に注目が集まったと思いますが、保健師になったきっかけはなんだったのでしょうか?
わださん
元々は看護師として脳外科で働いていました。保健師の道を歩くこととなった大きなキッカケは、父親が私の知らない間に大学へ願書を出していまして(笑)看護師を辞めて、保健師になるための専攻科に入学することになりました。
主体性もなく進んだ道のようにも思えるのですが、看護師は健康を取り戻すために看護をするのが仕事で、保健師は地域の中で暮らす人たちが健康を維持しながら、その人らしく生きていくための支援をする仕事です。保健師の活動拠点は地域、住民と広く関わることが出来るという点で、私自身がぼんやりと望んでいた「“人の生き方”に関わりたい」という気持ちが叶ったとも言えます。
働く中で感じた事、もがいたこと
ーきっかけはお父さんだったのですね!今は保健師の経験を通して何か得たものや感じたものはありましたか?
わださん
子育て支援や児童虐待の担当になった際、仕事を始めて間もない頃は「助けてあげなきゃ」という正義感のような気持ちで仕事をしていたような気がします。ですが、ある時職場の先輩から「それは保健師の仕事と言えるのか?」と、かなりきつく問われたことがありました。
最初は先輩が問うている意味を理解することができなかったのですが、自分の行動を振り返り、保健師の仕事とは何か?を立ち止まって考えてみた時に見えてきたことがありました。
それは、感情的に反応して仕事をしている自分と、専門的な立場としてやるべきことを判断しきれていない自分でした。そこに気づいた時は、ものすごく未熟な自分に愕然とし落ち込みました。しかし、私にとっては大きく心揺さぶられる気づきとなり、結果的に保健師としての自分の在り方を正すキッカケとなりました。
この出来事以外にも、保健師としてたくさんの人に向き合わせて頂いたことで、自分自身の在り方や仕事への姿勢、価値観を何度も見つめ直す機会がありました。「健康」に携わる仕事を通して、「人」と向き合い、「自分」を見つめることができる保健師の仕事は、私にとって大きなやりがいと学びを得られた時間でした。
求められたら全力で
ー自分の助けが押しつけになりかねないこともありますよね‥。どういうスタンスでお仕事を行っているのですか?
わださん
助けを必要としていない人に対して、どう関わるか?というのは常に課題としてあると思います。正解が何かはわからないのですが、私のスタンスとしては「求められた時に全力で応える」ということです。
もちろん、本人が必要としていなくとも専門的な立場として関わる必要はあるとは思うのですが、関わる「タイミング」はとても大事だと思っていて、そういう意味で本人が今、何を求めているか?ということを丁寧に観察するようにしています。
例えば、専門的に見た時に、明らかに不摂生な食事をしている人がいたとします。ですが、その人と向き合ってお話しをしてみたら「毎日好きなものが食べれて幸せ!」と言っている。そんな時、保健師として正しい食事を指導したところで、その人が食生活を変えるとは思いませんし、むしろ、幸せを感じている食事の時間を奪ってしまうことにもなると思います。
何が今、その人にとって必要なのか?と、どのタイミングで、どう関わるか?ということがとても大事だと思っていて、その人にとっての「しあわせ」を大切にしながら必要なことをサポートしていけたらと思っています。とはいえ、それがとても難しいことなのですが(苦笑)
well-being(ウェルビーイング)「身体的、心理的、社会的に良好な状態」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、これは戦後に世界保健機関(WHO)憲章の前文で語られていることです。保健師になるための勉強を始めた頃に、最初に学んだのを覚えています。
「その人にとってのウェルビーイングな状態とは?」
「その人にとっての幸せとは何か?」
人それぞれに多様な幸せの形があり、その人にとって良好な状態があります。だからこそ、そこに向き合うことを丁寧に続けながら、今、自分が何をすべきなのかを考え続けたいと思っています。
生き方の授業、若者に伝えたいこと
ーわださんは学生向けにキャリア講演もされていらっしゃいますが、最後に、若い人たちに伝えたいことはありますか?
わださん
私が授業をする上で、伝えたいと思っているメッセージは
「みんなは何にでもなれる。羽ばたける翼があることを忘れないで!」
なんだか、昭和の熱血先生のようなメッセージではあるのですが(笑)
小学校、中学校、高校、大学、専門学校と色んな年齢の生徒さんたちに授業や講演をさせて頂きながら感じるのは「自分が何を望んでいて、どうしたいのか?」すら考えることを止めてしまっている子が多いということです。
授業後の感想文には「どうせ親に反対されるから諦めていたのですが、自分の人生なので、自分がやりたいことをやってみたいな!と思いました。まずは今日の夜、親に話してみたいと思います!」
と力強い字で書いてくれる生徒さんが結構います。
自分が自分らしく生きられるチャンスは、誰にでも来ると私は思っています。だからこそ、今の状態に捉われることなく、様々な生き方に触れられるような視野を持つことを伝えていきたいです。そして、私自身も自分の生き方をアップデートし続けていきたいと思います。
最後に
わださんのお話を聞いて、仕事で出来ることの限界に対する”もがき”を感じました。手を差し伸べても握ってくれない人がいる。しかし、だからこそ握ってくれた人に対しては全力で引き上げたい。そんな思いが伝わって来たし、自分もそういう姿勢でありたいと思いました。
幸せや健康、ウェルビーイングの形は人それぞれで押し付けることは出来ない。ただ、もっと良い道、もっと良い形があるかもしれないと提案して、選ぶのは相手に委ねる。それがより良い健康を得るための方法なのかもしれないと思いました。
つたない文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます!
やまらぼインターン生の小山内でした^^