今回のやまがたで働く人

佐藤伸治さん

トマト農家

仕事はマジメなチャラ農家

私たちがイメージする就農者の姿とはどんなものでしょうか?

日焼けした小麦色の肌でしょうか。それとも体格の良さでしょうか。人それぞれあると思いますが、今回取材した佐藤さんは金髪なのか茶髪なのか判別つかない髪の色をした、明るくて元気なイマドキの若者です。

「よく言われるのは、農業している人には見えないね、ホストみたいだよ、です」と佐藤さんは言います。

佐藤さんは地元の高校を卒業後、実家の農業を継ぐべく、山形で一年、東京で三年、農業者大学校で勉強した。そして卒業後は実家に戻りすぐに就農しました。

佐藤さんの家では、トマト(サイズは大玉、中玉、ミニ)、レタス、キャベツ、そして米を作っています。

佐藤さんが任せられているのは、トマトの大玉、中玉の定植から収穫までだ。佐藤さんの家で持つ、トマト栽培専用軽量鉄骨ハウスは、某大学の向かい側にあるのだが、その規模は大学のキャンバスに引けを取らないくらい巨大で、仲間内からは「青柳ドーム」と言われているくらいです。

その「青柳ドーム」で作られているトマトについて佐藤さんから教えていただきました。

 

「僕の一年の仕事の流れですが、まず一月下旬から春トマトの定植が始まります。収穫は四月上旬から中旬に始めるのですが、(収穫は七月上旬まで続く)その間に様々な手入れをして行きます。まず”芽かき”といって、木の余計な枝を取り除きます。これは収穫するまでずっと行わなければいけません。これをしないと栄養が果実に行き渡なくなるのです。そして木が成長してきて花が咲き始めるとホルモン処理、それと”誘引”といって、蔓を紐に吊るす作業を行います。木がさらに成長してきて、第三段目開花と呼ばれる段階にきたときに追肥します。

 

またトマトの作業と並行して、五月下旬からは田植えも行います。この時期は第一繁忙期ですね。収穫までは基本的な作業の連続ですが、多くの手を掛けないと美味しくて良いトマトは出来ません。これは忍耐です。春トマトの収穫が済むとハウスの中を全部片付けて、今度は秋のトマトの定植を始めます。作業時期は七月中旬から十一月下旬まで行います。この時期は九月下旬から十月中旬までの三週間、稲刈りと重なるので第二繁忙期になります」

ーちなみに、春と秋ではどちらのトマトが美味しい?

「例年では秋ですが、今年は春のほうが良い出来でした。それと今年の秋トマトは苦戦しました。実は十年ぶりにうちの地区内で病気が発生したんです。三件の農家で発生したんですが、そのうちの一件がうちでした。対応も遅れてしまったせいで、収穫量、A品の出荷ともに減ってしまったんです。おそらく来年も被害に遭うのではと懸念もされています。あと春トマトまでは親の手伝いに回ります。レタスの収穫します」

 

ー1年を通して休みはあまりないのですか?
「まあほとんどないですね。稲刈が終わってから少しと、冬の期間。あと春トマト植えのときぐらいじゃないですかね。休めるのは」

ー話を聞いてて思ったんですけど、仕事は真面目なんですね(笑)
「仕事は真面目に。遊びは楽しくがモットーですから(笑)」

 

農協青年部として

佐藤さんは地区の農協青年部でも様々な活動を行っている。同世代の就農者と一緒になって、本部が主催する行事に合わせ、イベントに参加したり、会議や打ち合わせを行う。

ー具体的にどのような活動をするんですか?

「うーん。稲刈り前の時期であれば、坪刈りかな」

ー坪刈り?

「坪刈りとは、まず稲刈り前に盟友の田園に行って十株づつ五箇所分とります。これが坪刈りです。そして株を乾燥させて、稲刈りが終わった後に脱穀調整します。そしてその稲の水分、食味その他もろもろの出来を見るんですね。その出来でもって、一位から三位まで順位をつけます。また稲刈りに関連してですが、各農家にくず米を入れる袋を配布します。それからそれを二回に分けて回収します。その集めたくず米を農協に出荷して得たお金が青年部の活動費になるんです」

ーそんなことをしてるんですか?知らなかったなあ。
「あと毎年十一月に、地区内の農協で収穫感謝祭をやっているんです。その時には管内の農家の皆さんが自分の家でとれた野菜などを持ち寄って販売するんです。僕たちはいつもそこで餅つきをします。みなさんの御来場待っています!」

 

4HC(山形農業青年連絡協議会)として

「実は青年部だけでなく、4HCというのにも参加しているんです」

ー本当に忙しいですね。チャラ男も本業は大変なんですね(笑)
「うん(笑)青年部では僕と同じキャラは何人かいるけど、4HCでは僕くらいなものだし」

ーじゃあこっちの方が目立つ?
「はい(笑)。それで4HCでやっているのは、山形駅西で月一回、朝市に参加しています。そして年二回ほどですが県外からの出展もある大きな産直にも参加します。あとは他県との親睦を図る意味合いで、農業に関するプロジェクト発表、意見交換などを、東北大会、全国大会で行っていますね。また4HCの会員の圃場(畑)視察を行います。その時に実際に農地を見て、何をどのように作っているのか?などいろいろ意見を交わして会員の方から様々なアドバイスをもらっています」

 

今後やってみたいこと

ー自分の家の畑の管理や、その他に様々な活動をされているのほお話を聞いてわかりました。大分充実した生活を送っているようですが、休みの日には何をされますか?

「そうですねえ、休みの日といいますか、仕事が終わった夜に友人とダーツをしに出かけたりしますね。あとたまにカラオケ。宮城県内へ買い物も行きます。そんなに頻繁に行けないので、服なんかはまとめて買うようにしています。さっきも言いましたが休みはありません。今年あたりからはとるようにはなってきましたが。でも実際のところ、なかなか丸一日休みを与えられても過ごし方がわからないときもあります。仕事しているほうがいいという時もありますし・・・」

ーそういえば東京に三年ほどいらっしゃたんでしたね。どうですか、東京と山形を比べてみて思うところありますか?

「山形の人は温かいですよね。まあ都会の人が冷たいというわけではありませんが、田舎ならではの温かさのようなものを感じますね。しっかり挨拶してくれるし、先輩にしても年配の方にしても面倒見がいいし、親身になってくれる。本当に助けになってくれます。
僕にとって東京は住むところというより遊ぶところという感じです。東京の空気は重いし、水=BUYという認識ですね(笑)。山形は住みやすいし、何より落ち着く。自然も周りに溢れていますしね。ドライブなんかしてても感じるのですが、山形のような田舎だからこそ緑が映えてよく見える、そんな気がします。あと山形は何より食べ物が美味しい。蕎麦、米、さくらんぼやりんご、ぶどう、それと家で作ったトマト(笑)。あと今は芋煮のシーズンだし、この辺りは自慢できるところじゃないかなと思います」

 

ー山形で農業をやってみたい人に何かアドバイスがあれば教えてください

「もし県外の方で農業をしたい人がいるのであれば、山形は本当にやりやすい環境にあるんじゃないですかね。抵抗なく農業に入っていけるんじゃないかな。山形は盆地なので夏は暑いし冬は寒い。良くない気候だと思われますけど、その気候を利用して、美味しくてこだわりの野菜・果樹の栽培ができるのかなと思いますね、

ただ、山形県に限らず農業をするつもりがある人は、生半可な気持ちでして欲しくないですね。」

 

ーでは最後に今後やってみたいことがあれば教えてください。

「そうですね・・・。今後やってみたいのは、地元の先輩たちを巻き込んで、商品をブランド化して販売したいと考えています。またそれに伴って直売やネット販売もしていきたいですね。あと個人としては、トマトの栽培方法を確立して、今以上にこだわったトマトを作って、自分のブランドとしてもだしてみたい。そして、ゆくゆくは規模を拡大して人を雇った経営をしていきたいと考えています。目指すは青柳のトップです(笑)

最後に、今以上にチャラくなりたいなとも思います(笑)」

Profile

佐藤伸治さん

出身 山形市
生年月日 27歳

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