山形で働く社会人の皆さん、休日はどんな風にリフレッシュしていますか?
「山形って、遊ぶところないから…」という声をときどき耳にしますが、自然豊かな山形ならではの遊びや楽しみを見つければ、山形暮らしはもっと楽しくなるはず。
今回は、元大石田町地域おこし協力隊で、アウトドアやキャンプが趣味という香坂明さんに、山形だからこそできるアウトドアの楽しみ方&忙しい社会人のためのキャンプのはじめ方を教えていただきます。

香坂明(こうさか・あきら)プロフィール
山形県米沢市出身。埼玉・東京の大学へ進学後、東京都内で美容・化粧品分野の商社・広告関連企業に従事。 2017年に地域おこし協力隊制度を活用し、山形県大石田町へ転住。 現在は、山形県内で温泉エリア活性化事業や芸術系施設開発事業に携わっている。年間約50日キャンプをしているが、できれば100日に増やしたいと切望中。

三年前、東京から山形に移り住んだ私の大好きな遊びは、キャンプです。

キャンプに出会う前は、毎日忙しく働き、休日はゆっくり起きて夕方から飲みに行くか、朝から晩まで疲れるまで遊ぶという生活でした。

そんな私が、キャンプを始めたのは20代の終わり頃。当時、東京に住んでいた私は都心で仕事をすることが多かったため、週末に緑の中に行くことで心身ともに健康的になれる気がしました。キャンプの楽しさに目覚めて以来、暇を見つけてはキャンプに出かけ、山形に移住してからはさらにキャンプの充実度が増しています。

▲山形県内にある飛行機が見えるキャンプ場/庄内夕日の丘オートキャンプ場

この記事では、「山形暮らしをもっと楽しみたい」「休日にリフレッシュできる趣味がほしい」「これからキャンプをはじめようかな」と思っている社会人の皆さんに向けて、私が思うキャンプ時間の価値と、初心者でも始めやすい“ゆるキャンプ”の楽しみ方をお伝えします。

私のキャンプスタイル=「何もしない」をする時間

「キャンプって、準備や片付けでやることが多そう…」「大変そう…」というイメージを持っている人もいるかと思いますが、それはきっと、キャンプであれこれやろうとするからではないでしょうか。

私のキャンプスタイルは基本的に「何もしない」です。

キャンプの目的は、人によって違います。ファミリーで行く場合は、子供を楽しませるイベントとして。バイクや自転車が好きな人は、目的地に行くまでの休息手段として。また、「道具のコレクション」や「映え」を楽しむ人、グランピングを楽しむ人など、キャンプスタイルやこだわるポイントも人によってさまざまです。

▲湖を見ながら、ぼーっとする至福の時間

私も、キャンプをはじめたての頃は、「あれもしたい」「これもしたい」が多くありましたが、回数を重ねるうちに、「何もしない」を楽しむようになっていきました。ただ本を読んだり昼寝をしたり、散歩をしたり…。小腹が減ったら、簡単なおつまみを作ってお酒を飲む。そんな時間を、気持ちのいい自然の中でゆっくり楽しむことが何よりも好きな過ごし方です。

月曜日からの日常を頑張りたいからこそ、週末は頑張らないキャンプスタイルで過ごしたいと思っています。

初心者がキャンプに行く前に知っておきたいこと

私がキャンプをはじめたきっかけは、友人からツーリングテントとバイク用の積載バッグを譲り受けたことでした。

もともとスキーやトレッキングは好きでしたが、キャンプはズブの素人。

テント泊は、ほぼ「小学生の時に行事で行った」以来です。

そんな“キャンプ初心者”が、いざキャンプをしようと思っても、実際に行くまでにはいろいろなハードルがありました。ここでは、私の実体験をもとに、はじめてのキャンプに行く前に知っておきたいポイントをお伝えします。

【はじめてのキャンプで大事な3つのポイント】

1,まずは必要最小限の持ち物ではじめる

私に道具を譲ってくれた友人はベテランのキャンパーで、紹介された道具を揃えようとすると、予算オーバー。とりあえず、必要最小限のもので始めようと思い、寝袋とマットと小さな照明だけ持っていくことにしました。

最近、インターネットで見るキャンプ情報は、道具やSNS映えが重視されすぎていて、色々買わないといけないような気分になりますが、あれこれ道具を揃えるよりも、初心者はまずキャンプ場に足を運ぶことが大事です。何度かキャンプをして他のキャンパーの様子などを見ているうちに、自然と自分の好きなキャンプスタイルもだんだんわかってきます。そうすると、買うべきものも自然と見えてくるので、道具を揃えるのはそれからでも遅くありません。

▲シンプルな道具にすることで、ゆっくりする時間が増えます。

2,水周りやトイレなど設備が整ったキャンプ場を選ぶ

初心者が過ごしやすいキャンプ場はどこか? インターネットの口コミを頼りに、ベテランキャンパー御用達の場所ではなく、いろいろな人が利用してそうなキャンプ場をひたすら探しました。

初心者がキャンプ場を選ぶ場合、水周りやトイレの設備が綺麗なところを選べば気持ちよく過ごせます。また、道具を持っていなかったり、設営などが不安だったりする場合、キャンプメーカーが運営しているキャンプ場に行くと、道具の貸し出しだけではなく、スタッフさんがイチから教えてくれることもあるのでおすすめです。

▲テントのレイアウトは、自分が心地良く過ごせることを重視します。

ちなみに初心者がキャンプをはじめる季節は、夏よりも春か秋のほうがベター。夏に比べて汗や虫も少なく、心地よい風や鳥の声などを楽しむことができます。

3,小さめのテントで設営に慣れることから

私の初キャンプは不安だらけでした。実は、テントを出張先のホテルの部屋で一度建てる練習をするなど、コソ練をした上で臨んだことは、今の今まで周囲には内緒にしていた甘酸っぱい思い出です。テントの向きやポールの位置など、畳まれた状態ではわからないので、現地でアタフタしない為にも、一度自宅や近くの公園などで実際に張ってみることをおすすめします。

私が使っているのは、キャンパルジャパンのステイシーST-2というテント。小さなテントは、持ち運びや設営の手間が少ないので、現地でゆっくり楽しむ時間が増えます。畳めばバイクへの積載もできながら、大きな前室(土間部分)、2人で寝ても窮屈さを感じない寸法と抜群の通気性があります。設営は、長くかかっても10分あれば完了します。

日常をリセットできる、大人キャンプの魅力

そんなこんなで行った初キャンプは、渓谷沿いのテントサイトでした。都内でありながら車の音も街灯もないところで、星が綺麗に見えました。憧れだった焚き火は、火を見ながら聴こえる川のせせらぎや薪の爆ぜる音が心地良く、ゆっくりお酒を飲む楽しい時間を過ごしました。子供の頃に行事で行ったキャンプとは全く違う印象に驚いたことを覚えています。

そして、このキャンプ時間は、29歳の仕事盛りの私の毎日をリセットさせてくれるひとときとなりました。仕事の忙しさに追われ、休日も社用携帯をチェックしていた日常から、片道2時間でこんなにも静かな時間を過ごせることに感動し、「自分のこれからの趣味はこれだ!」と思い、それ以来、キャンプが隣にある私の生活が始まりました。

 

初心者がキャンプを楽しむコツ

個人的には、レイアウトや道具の揃え方、料理など、キャンプをどう楽しむかは、人に迷惑にならなければ自由に考えていいと思います。自分のスタイルを見つけられたらキャンプはもっと楽しくなります。
私の場合、バイクキャンプから始めたことで、荷物は極力コンパクトに、必要以上に設営時間をかけないことに慣れたのと、今ほどネットで情報を見る機会がなかったため、自分の手の届く範囲で無理なく始められたことが、楽しくキャンプを続けられている理由だと思います。

私は、“キャンプは気楽が一番”だと思っているので、料理は簡単にできてゆっくり楽しめるものにすることが多いです。

▲ホットサンドは簡単に楽しくできて、見栄えもいいのでおすすめ!

それから、キャンプで意外と大事なのが、誰と行くか?です。大人数やグループで行くと、楽しむどころかかえって気を遣い疲れてしまうこともあります。疲れないキャンプ時間を過ごすためには、気心の知れた人と少人数で行くことをおすすめします。

「何もしないキャンプ」の唯一のこだわり

「何もしないキャンプ」には、実は一つだけ重要な道具があります。それは、椅子です。

何もしない=座っている時間が長くなるため、これだけは良いものを購入した方がいいです。

私が愛用しているのは、ヘリノックスチェアワン。折りたたんだときのコンパクトさと、包み込むような座り心地の良さが両立されています。

実は、キャンプを始めたばかりの頃は、ホームセンターで購入した500円の小さな折りたたみ椅子を使っていたのですが、友人から「キャンプ中に身体が一番触れている道具にはお金かけた方いいよ!」とのアドバイスをもらい、ヘリノックスを選びました。

キャンプを通しての出会い

キャンプをはじめて良かったことの一つに、「キャンプを通しての人との出会い」があります。

初めてのキャンプに行った時、隣のテントの人に挨拶をしてから設営しました。ベテランオーラがあるソロキャンパーだったのですが、話してみると私と同じく初めてのキャンプとのこと。偶然にも、年齢が近く、住んでいる沿線も同じだったことから意気投合し、「これから情報交換しましょうよ!」と連絡先を交換して以来、よく会う関係になりました。

その後、価値観が合いそうなお互いの友人が増え、仕事や出身校など全く関係ない友人ができたのは、キャンプがつないでくれたご縁です。

「中央線キャンパーズ」と名付けた仲間たちは、現在は生活スタイルの変化から中央線に住む人はいなくなりましたが、私が山形に住んでからも毎年のように遊びにきてはキャンプの話ばかりする生涯の友人となりました。

また、山形に移住してからは、『KOOUT CAMP』というイベントを2019年1月から10回開催しました。地域の中でもっとフラットな交友関係を作りたいという思いから、私と同じくキャンプ好きでアイデア豊富な妻と一緒に企画したものです。

「テントでお取寄品を食べる会」として、出身地や職業、年齢の話は禁止というルールのもと、「美味しい」という共通ワードでつながり、テントの中でたくさんの方と知り合うことができました。

こうして、大好きなキャンプという趣味を通じて出会った人たちと、楽しい時間を過ごすことも「日常のリセット」になっていると感じます。

山形だからこそ感じられるメリット

東京に住んでいた頃は、週末にキャンプに行くと渋滞は必須でした。山形に移り住んでからは、渋滞がほとんどないので、帰路を急がなくてもいいというのは大きなメリットです。そして、私がキャンプに行くときは、必ずその地域の温泉に入ってから帰宅するのですが、山形は温泉が豊富なので、キャンプのついでに温泉巡りをするのも楽しみの一つ。渋滞がない分ゆっくりキャンプができ、各地の温泉を楽しめるというのは、山形に住んでいるからこそのメリットだと思います。

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まずはデイキャンプからはじめるのもおすすめ

山形は山、川、海などの自然が近くにあるので、わざわざ遠くまで行かなくても楽しめるアウトドアがあります。そのひとつが、デイキャンプ(日帰りキャンプ)。キャンプ場には、日帰りの料金プランもありますし、河川敷などでテントを張って楽しんでいる人もいます(テント設営禁止の場所もあるのでご注意ください)。

「キャンプはしてみたいけど、泊まりはちょっとハードルが高い」という人は、休日のランチタイムを外で過ごすことからはじめてみてはいかがでしょうか。

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ついでにテントの試し張りもすれば、泊まらなくてもキャンプ気分を味わうことができますよ!!テントの中に横になるだけでも別世界。日常とは違う景色や時間がすぐそばにあることを感じられると思います。

(イメージ画像)

皆さんもまずは近場で、必要最小限の道具を持って、何もしない“ゆるキャンプ”をはじめてみませんか?

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この記事を書いた人

香坂 明

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