会社に雇われるだけでなく、「好きなこと」「得意なこと」から自分で仕事を作ってみたいー。

そんな思いから“自分にできる小さな仕事”=ナリワイをはじめたり、ナリワイをいくつか掛け持ちする“複業”という働き方・生き方が広がってきています。

新しいライフスタイル実現への1歩を踏み出し、山形を拠点にナリワイのワークショップやイベントを行っている阿部由佳さんに、活動の様子をレポートしてもらいました。

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今回は「#モバイルカフェの旅」完結編をお届けします。

 

フリーで生きていく=個人事業主になるということ

2018年夏頃から約8ヶ月間、自作のモバイルハウスで全国を旅して、無事山形に帰ってきましたあべゆかです。

北海道から九州まで日本全国を回ったという達成感はあるものの、旅の途中でモバイルハウスの内装をカフェにしていく予定が延期になってしまい、カフェではなくハウスのまま帰ってきてしまったのが唯一の心残りです。笑

あべゆか1

こういう旅をしていると「夢のある話ばかりではないのでは?」というのは、よく突っ込まれるところ。

「旅の間の資金はどうしているの?」と聞かれることも多いのですが、自分でワークショップを開催したり、ウーフ(※1)大工インレジデンス(※2)といった取組みをしているところで、自分のできることを提供する代わりに、食べるところと住むところを提供してもらったりして、なんとか暮らしていました。
※1.農業体験と交流を目的に、金銭のやりとりなしで「労働力」と「食事とベッド」を交換する仕組み。
※2.大工仕事をするかわりに、家と食事を用意してもらうという福岡県糸島市のプロジェクト。

あべゆか6
「大工仕事と暮らしの交換=大工インレジデンスプロジェクト」に参加。ランドリーハウスを建てました。

そして、現実的なお話をすると、フリーランスとしてスタートした昨年度は、個人事業主一年生でもありました。今年3月には初めての確定申告に挑戦。会計についてちゃんと理解したいなぁ…という気持ちだけで青色申告を選んだので、正直とてもしんどかったです…。でも、仲間の助けを借りて無事に乗り越えることができました。いろいろ勉強になり、教えてくれた方には本当に感謝しています。

あべゆか2

廃バスをバーにリノベーションしたThe Old Bus(静岡県沼津市)で開催した「月三万円ビジネスワークショップ」

ぶっちゃけ、お金は大丈夫なの?

「面白そうな活動ではあるけれど、お金は大丈夫なの?」とよく心配されます。

正直言って、貯金はほぼゼロです。笑

それでも、お金だけが価値じゃないというか、今は、私にとってお金以外の価値をためる時期だと思っています。

例えば、非電化工房(※3)時代、ウーフという制度で労働力を提供する代わりに、知識・技術や住むところと食べるものを提供してもらいました。
※3.電気を使わずに暮らし、本当の豊かさを追い求める工房(栃木県那須町)

それで1年間過ごしたわけですが、そこにお金のやり取りはありません。当然、健康保険や住民税、おやつ代などで貯金を切り崩す生活でした。

これだけ聞くと大変そう…という感想が聞こえてきそうですが、そこで気づいたのは、本当に「お金だけが価値のすべてじゃない」ということ。

畑や田んぼで自分が食べる分の野菜やお米を自分でつくったり、みんなで家を建てることを非電化工房で学んできました。

モバイルハウスを作れたのも、ワークショップを各地で運営できているのも、お金があったからではなく、暮らしに必要なものづくりの基礎的な知識・技術を学んでいたから。そして共感してくれる仲間の存在があったからです。

あべゆか3

旅の中でちょっとずつ進化していったモバイルハウス

たくさんの仲間に出会えたおかげで、モバイルハウスで旅に出て北海道から九州まで行くことができたと感じています。

3.11の震災でも感じたことですが、時にお金は無力です。

お金じゃない価値のあるものを、自分の中に経験として貯めていくというのも一つの方法かもしれない。そんな思いで、現在、私は暮らしと仕事を自分でつくる知識・技術を、仲間と積み重ねています。

とはいえ、お金がゼロでは何ともなりません。笑

自分で「小さな仕事をつくる」挑戦はまだまだ続きそうです。

 

フリーランスでの活動

現在、私はフリーランスで屋号「コミュニティカフェさるつぼ」として、ワークショップやおはなし会の企画・開催、イベントへの出店、遊撃農家などしています。

図1
※遊撃農家とは、収穫期の忙しい農家さんに代わって、収穫、箱詰め、オンライン行商まで行う。顔の見える関係で買ってもらうつながりを増やそうという取り組み(山形県東根市)

あべゆか4

非電化工房ソウル(韓国、ソウル市)で開催したおはなし会。日本と韓国、場所は違うけど方向性は一緒、有意義な情報交換ができました。

 

あべゆか5

いとしまシェアハウス(福岡県糸島市)で開催したソーラーフードドライヤー制作ワークショップ

ワークショップ運営って、具体的にどんなことをやるの?

普段はワークショップが主な活動であり収入源なのですが、どのようにやっているのかを少しだけご紹介させていただきます。

まずは、自分の活動を知ってもらうための情報発信から始まります。
「モバイルハウスで旅に出る」とか「暮らしと仕事を分断しないライフスタイルを目指している」とか「小さな仕事づくりでいろいろなワークショップに挑戦している」ということをブログやTwitter、Facebookなどで発信しています。

さるつぼブログ
さるつぼFacebookページ
●さるつぼTwitter

ブログは、非電化工房にいた頃からこつこつ続けているのですが、おかげで最近はブログを読んだ方からワークショップのご依頼をいただくことも増えてきました。

【仕事の流れ】
①ワークショップの依頼を受けたら企画書をお送りします。
「みんなでつくる」ことを大切にしているので、ワークショップは全員参加型。「意外と自分でつくれるものってあるんだ」という気付きをみんなで楽しめたらと思っています。

②打ち合わせ。
多くの場合、開催地は遠方なので、直接でなくメールやオンライン通話(ZOOM)などを使って打ち合わせを行います。「どんなワークショップにするのか」事前の話し合いをしっかり重ねておくことで、当日の運営もスムーズになりますし、お互いの信頼関係も築けると感じています。

③イベント告知・広報を行い、興味がある方に届くように情報発信・参加受付を行います。

④材料の買い出し、必要な工具をチェックして揃えます。資料を作成し、準備を整えます。

⑤当日は、会場の方と連携しながらワークショップを行います。

基本的にこの一連の流れを一人でやっているのですが、運営しながら思うのは「会社という仕組みって本当によくできているなぁ」ということ。

一人でできる作業量には限界がありますし、誰かと一緒にやることで、できることは倍以上になると感じます。やってみてわかることはたくさんあるので、経験を一つひとつ積み重ねて進んでいきたいと思っています。

 

まとめ

 今回は、モバイルハウスで日本全国を回ってきた旅の、リアルな部分についてお届けしました。

今、自分がいろいろなことに挑戦できる自由な立場にいることに感謝しつつ、暮らしと仕事を分断しない新しいライフスタイルづくりに向けてこれからも試行錯誤していきたいと思いますので、ぜひぜひ応援していただけたら嬉しいです。

最後に告知を一つ!

山形ナリワイプロジェクト「月三万円ビジネスを考えるワークショップ」開催します!

日時:6月29日(土)10:30~15:00

場所:キャリアクリエイト(山形県山形市東青田二丁目10-9)

お申込みはこちらから

詳しいワークショップは、山形ナリワイプロジェクトのHPをチェックしてみてください。

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