最近、実はいろいろ新しいことが始まっている長井市。(参考記事:【2018年最近の長井】カフェ・道の駅・コミュニティ・i-bay・ビジネスチャレンジコンテスト)
様々な活動・プロジェクトの中でも、創業支援やUIターン支援などの分野で中心となっているのが、長井市役所の産業活力推進課の梅津さんです。
長井市でどんな風に働いているのかを伺ってきました。
今回の山形で働く人
梅津裕佑さん (長井市役所産業活力推進課)
長井市生まれ、長井市育ち。首都圏の大学を卒業後、食品メーカーに就職。リーマンショック、東日本大震災を経て、長井へのUターンを決断する。地元長井市役所に入庁するも直後に仙台の東北経済産業局に出向となり起業支援、UIターンの業務を担当する。2017年に長井に再度Uターン。地方の人材確保の厳しさに直面し、UIターン支援に取り組み始める。
長井市に新しい風を吹かせる。各方面の専門家が集まるプロジェクトチーム
編集部:ずばり、産業活力推進課って何ですか?
梅津さん:産業活力推進課は、一言で言うと、2016年4月に立ち上がった課で、既存の課ができないようなことをやる部署です。地方創生などが国の施策としても脚光を浴びる中、地方自治体が自ら仕事を創っていこうという意図で立ち上がりました。
部門横断のプロジェクトチームのような感じで、農業分野、工業分野などの専門家が集まっています。
編集部:プロジェクトチーム…。かっこいいですね!梅津さんは希望してこの課へ?
梅津さん:私は、この部署に来る前に、宮城県仙台市にある、経済産業省の東北経済産業局に2年ほど出向していたんです。そこでの経験が活かせそうな部署がここだと思って希望しました。
異動してきてまず課長に言われたのは、『決まった仕事はないから仕事を作れ』です。
編集部:えっ。それはまた難しそうですね。なんか公務員っぽくないです。笑
梅津さん:そうかもしれません。ゼロからイチを創るので難しさはありました。
しかも、私が来た時にはすでに、農業、商業、工業の専門家がいらっしゃり、その人たちがやっていないことって何だろうと考えて・・・。人材に手を付けるべきではないかと思いいたりましたが、やりたいと手を挙げたものの、何をやったらいいかわからなかった。
※左:北海道からIターンされた横山係長
中央:切り絵で名刺を作るなど多趣味な横山課長
右:紹介したプロジェクトを引っ張る梅津さん
だから、イベント企画運営など、できることから動いてみて、動きながら見えてきたものが多かったですね。
昔は地元の学校を卒業したら地元に就職という学生も多かったのですが、今は県外に出て行ってしまう人が多い。
だから、人を誘致して仕事を創ってもらって、我々がそれを支援していくことで、長期スパンではありますが、長井市全体の創業力や採用力を高めたいと考えています。
今は、市内で創業する「人」の支援に力をいれています。
タスの中にある創業者向けレンタルオフィスi-bay
創業を志したときに、問題になるのは、お金・場所・人(コミュニティ)だと思いますが、長井市ではそれぞれにサポートを提供しています。
こういう支援をきっかけとして新しいビジネスが生まれてくれると嬉しいですね。本当の理想は、こういう仕組みがなくても自然とビジネスができていくようになることです。
今までは「変わらないこと」がずっと幸せだったが、これからは変化が大切に
編集部:梅津さんはどんな経歴なのですか?
梅津:もともと、生まれが長井市です。長井市内の中学、高校を出て、
卒業して一度は神戸市に本社がある食品企業に就職したんです。甘いものがすごく好きだったので好きなものを仕事にしたら楽しいかなと思ったが、そう甘くはなかった。笑
リーマンショックなどもあり、今後の先行きが不安だなと思った時に、地元から帰って来いという圧力も強まり、長井市役所に応募し、2011年4月に長井市に戻ってきました。
最初は税務課に配属になり3年、農林課を1年、その後先ほど少し話したように仙台に出向となり、経済産業省の東北経済産業局に勤めました。
自分の転機となったことで言えば、やはり、この時の東北経済産業局でのことですね。
周囲に優秀な方も多く、配属当時は仕事をこなすだけでも精いっぱいだったのに、「ただ仕事をやるだけならだれでもできる。それにどれだけプラスした仕事ができるかだ」と言われていました。
仙台出向中の最初の1年は補助金関係など中小企業の特に製造業の支援を担当しました。2年目はスタートアップの支援の、さらに支援みたいな感じですね。Uターンも隣の課でやっていたのでイベントなどには参加していました。
自分はもともと人見知りな部分もあったし、人にそこまで相談しない性格でした。
でも、仙台での経験を通して、人と関わる楽しさや刺激、人から学べるということに気づかされ、今では人と関わることが好きになりました。
仕事も相談しないとアイディアに限界があるので、少しでも行き詰ったら相談するスタンスに変わりました。
この仕事へのスタンスが、今の自分を作ってくれたと思います。
編集部:公務員って決められた仕事をやるというイメージがありましたが、梅津さんの話を聞いていると、全然違いますね。すごい自由にやっている感じがしてうらやましいです。
梅津さん:今は、長井市役所の中でも少し特殊な部署ですし、課長など周りの人のおかげもあり、自由にやらせてもらっています。
産業活力推進課での自分は、予算も権限も与えられているのでありがたいと感じています。任せてもらえているし、その分大変で責任も感じますが、周囲の方は相談にのってくれます。
編集部:確かに和気あいあいとした雰囲気ですね。
梅津さん:もちろん、私が入庁当時やっていた仕事などは、部署の特性上、前年度やっていた仕事を正確にまたやるということもありました。役所って、決められた仕事を決められたようにやるというイメージがありますよね。確かにそういう仕事もたくさんあります。
仕事の話となるとどんどん話に熱が入ってくる梅津さん
編集部:そうなんですね。梅津さんが、今後実現したいのはどんなことですか?
梅津さん:起業支援などこの課での活動を通して、長井市にもっと人の流れを創っていきたいです。
今、東京と長井市を行ったり来たりして仕事をしていますが、長井市は良くも悪くも変わらない風景があります。
今までは「変わらないこと」がずっと幸せだった。でも、これからを考えると、どこか変わっていかなければならない部分もあると考えています。
観光客もそうだが、関係人口などを増やし、もう少し人の循環を促すことで、イノベーションなど新しいことが生まれてくるのではないかと考えています。
例えば、長井市は製造業の街なので、製造業が元気になることが長井市の活力になると思っています。製造業を支援するとなると、販路開拓など、まだまだ手を付けられていないが、今後やっていかなければいけないことはたくさんありますね。
(新しい道の駅、川のみなと長井)
編集部:私も帰省するたびに、変わらない長井市や地元に癒されます。でも、確かに、変わっていかなければいけないこともあるのかもしれませんね。
仕事もプライベートも、限界を決めしまうとそれが限界になってしまう。自分で限界を決めないこと
梅津さん:自分自身も、いろいろ活動を広げ、成長し変化したいと思っています。
2014年4月だったかな、山形県青年交流事業という活動の委員を務めました。若者同士が交流できるような場を作る取り組みで、最初はいやいや参加したんですね。笑
以前から、何かやりたいとは思っていてそれを周囲に伝えていたので、「あいつ暇そうだからとりあえず参加させるか」くらいに思われたのかもしれません。笑
でも、やってみたらすごく楽しくなってしまって、毎日仕事後の19時ごろから集まり、日付が変わるまで会議していました。それを月曜から金曜までぶっ通しでやってました。楽しくて全然つらくなかったんです。
仙台に行っていた時期は少し離れていたのですが、また戻ってきてから参画し、今は若者が集まれるようなイベントを開催しています。
新しくできた道の駅で、雪灯篭祭りをやった時はたくさんの方にお越しいただけて嬉しかったですね。
この一見仕事とは関係のないところで培った経験が、今の仕事に活きているのかなと思うこともあります。
活気のあるシーンをむちゃぶりしました。すいません。
編集部:仕事以外の人との交流が、仕事に活きるってこともあるんですね。それがさっきおっしゃていた、人の流れを創っていきたい、という想いにつながっているんでしょうか。
梅津さん:そうですね。自分の仕事へのスタンスを大きく変えてくれた仙台の経験も、新しい人との出会いが生まれた場でしたし、今個人でやっているイベントなども、新しい人との交流から刺激やアイディアが生まれています。
人の流れ、交流というイメージですかね。それがないと新しいことはできないのではないか、と思ってます。もちろん、個人が自らを高めていくっていうことも大事だと思いますね。
個人の人生を考えた時、もう一つの場所で、同じことをずっとやっていくという働き方から、今は変わってきています。仕事以外の場所でも何か自分の好きなことをやってみることは、いいんじゃないかなぁ。
一見、市役所というと安定をイメージする方も多いかもしれません。でも、市役所の中でも、今後どんどんAIやIOTなどに置き換わる仕事はあるだろうし、安定だと安住している気持ちは個人的には持っていないつもりで
長井市の企業でも、社長自らが会社以外にも自ら新しいことをやってみろと奨励している企業もあります。そうすると、仮に人が入れ替わらなかったとしても、会社にも新しい風が吹いてくるというメリットがあると思う。
編集部:なるほど。組織も人も、変化していくことが大切なんですね。かっこいいですね~。
梅津さん:仕事もプライベートも、限界を決めてしまうとそれが限界になってしまうのかなと思ってます。仕事の範囲を定めないというか。
周囲に私を理解してくれる人がいるからこそできることだなぁと思いますね。課長とかは、この業界だとレジェンドとして活躍されている方ですし、良い環境だなと。
編集部:恵まれた環境ですね。
梅津さん:長井市は、あまり気取らず自然体でいられるところがやっぱり魅力です。都会の目まぐるしいところと比べると気持ち的にリラックスして過ごせるところが良い。
田舎だけど、スーパーなどの生活に必要なものもあるし、交通の便も良い。学校も企業もあるので、住みやすい土地だと感じます。
大好きな長井市をもっと盛り上げていけるように、私も頑張りたいです。
編集部:梅津さん、ありがとうございました!
◎長井市で活躍する「人」の情報はこちら
https://suumo.jp/edit/free/BB/ 020/kaisha/164951001/index.htm l
梅津さんと一緒に長井のこれから考えてみない?
11月17日(土)、これからの山形県長井との関わり方を見つけるために実験する場「長井ラボ」を東京で開催します。
「長井市に人を呼び込むには?」という長井市が提示した大テーマを土台に、4人のファシリテーターが持ち寄った「長井市にまつわる4つのテーマ」について、参加者みんなでゆる〜くアイディアブレストを行います。
長井をアップデートするアイディアブレストに興味がある方、長井市に関わる面白いことに関心がある方、梅津さんに会ってみたい方、ぜひ会場へ!