国の調査によると、地方への移住に興味がある20代は約4割。しかし、今すぐ移住を検討している人は全体の3%。

つまり、「ゆくゆくは」地方移住したい・移住の時期は未定という「ゆるふわ移住検討層」がほとんど

実は、ヤマガタ未来ラボをご覧頂いている読者のみなさんの中にも「今すぐじゃないけど、ゆくゆくは」「機会があれば」「きっかけがあれば」「5年後、10年後に」UIターンしたい・してもいい・もしかしたらするかもしれない?という方も多いです。

そんな人を応援したい、サポートしたい(なんなら採用したい)、という地元山形在住のみなさん。

そんな彼らを「どのようにサポートして行くか」「どのような場を持てば良いか」でお悩みではありませんか?

 

そこで今回は、今年度、山形県と5つの市町村が主催となって実施している山形の仕事と暮らしを体験するインターンシップ事業「やまがたCAMP」のレポート記事を通して、「ゆるふわ移住検討層」の人をサポートしていくためのヒントをお届けします。

実際に現場で、参加者をサポートしたコーディネーターが、ゆるふわ移住検討層をサポートする上で大切だと感じたこともお伝えします。

今後の参考にしてください。

 

山形キャンプとは

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「やまがたCAMP」は、今年度山形県が実施している「やまがた暮らしインターンシップ事業」のことで、山形県と5つの市町村(酒田市飛島、大江町、朝日町、飯豊町、金山町)が共催で実施しています。

山形県外在住の参加者が、地域で暮らす仲間たちと出会い、活動することで、「自分らしさ」や「やりたいこと」の発見や新たな学びのきっかけにし、これからの自分の生き方・働き方を考えてみるという趣旨のプログラムです。

 

プログラムの内容

やまがたキャンプ第1弾は「酒田市飛島」で、2018年8月12日~15日に実施されました。

写真45枚、文字6,800字の超大作になってしまいました。どんな様子だったのか、余すところなくご覧頂けると思います。

(文・コーディネーター佐久間、井東)

【1日目】

12:00 酒田市交流広場にてオリエンテーション。「島が好き。自分が島で暮らすイメージができるのか」「初めての島。旅館で働いてみたい」「酒田市出身だけど飛島に行ったことがない」というような飛島初体験の参加者同士で自己紹介。

13:45 飛島に向けて出港

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お天気が良く、景色がとてもきれい。寝る、写真を撮る、おしゃべりなど、船上ではみなさん思い思いの過ごし方をしていました。

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だんだん飛島が近づいてきます。

15:00 予定通りに飛島の勝浦港到着。

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船を降りると、今回のやまがたCAMP飛島の受け入れ先である、合同会社とびしまの松本友哉さんがお迎えをしてくれました。

簡単な挨拶をするとすぐに松本さんから、「男性陣はこのまますぐに美島屋さん(民宿)の手伝いに行ってもらいたい。女性陣は今日宿泊する沢口旅館のお手伝いをお願いします。」との指示が。

飛島はお盆のまさにこの時期、島の人口が一年で一番多くなるのです。

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休む間もなく、美島屋と沢口旅館へと移動します。

美島屋は港からすぐ見える距離。

沢口旅館は港から歩いて10分ほど。海に面した通りを歩きます。

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道の途中に飛島診療所を発見。

お医者さんは決まった曜日に来るだけで常駐していないそうで、看護師さんは常駐しているそうです。

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沢口旅館に到着です。

15:30 沢口旅館にチェックイン。

すぐに夕食の配膳の手伝いをしました。

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この日は16名分の夕食の準備です。紙に書かれた配置図を見ながら、どの席に何を置くのか確認します。

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大人と子供でメニューが異なるのでこの配置図がとても大事です。真剣な表情の本多さんです。

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こちらはお風呂掃除の様子です。その後、布団を敷きに客室に行きます。2人で息を合わせてシーツを敷きます。

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この日の沢口旅館の夕飯はこんなメニューでした。

飛島名物サザエのつぼ焼き。サザエがとにかく大きかったです。

そのほかにもお刺身、タコのマリネ、シオゴモ、トビシマカンゾウが乗ったモズクなどなど。

飛島らしいごちそうが並んでおりました。

男性陣の美島屋さんはというと、

こちらも夕食の配膳、盛り付け、洗い物などのお手伝いをしておりました。

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美島屋も大きなサザエのつぼ焼きが付いておりました。

お刺身、天ぷら、煮物、焼き魚など、こちらは和風な飛島ごちそうでした。

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18:30 みんなで夕食。谷さんと計良さんは美島屋で夕食をとり、後片付けまで終えてから沢口旅館に戻ることに。

19:30 沢口旅館、後片付け開始です。

食器は洗って拭いて食器棚にしまいます。一日目が終わりました。

翌日は朝ごはんの後からお手伝いということになり、一同一安心?しました。

 

【2日目】

7:00 全員で朝ごはんをいただきます。

7:30 男性陣は美島屋へ移動し、朝食・客室片付けの後、夜のイベントの会場設営へ。

沢口旅館では朝ごはんの片付けから始まりました。食器は洗う人(右)と流す人(左)に分かれて作業します。

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その後、洗濯を手伝います。

他の多くの旅館が、シーツとゆかたの洗濯を本土の業者に外注している中、沢口旅館では前の女将さんが自分で洗濯し、糊付けまで行っていたそうで、合同会社とびしまの渡部陽子さんもそれを引き継いでいます。(陽子さんが主にこの旅館を担当しています。)

チェックアウトした客室を掃除し、次のお客さんのために準備をします。

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この日は44人が宿泊するとのことで、客室も布団もフル稼働でした。

客室にあったゴミを分別します。

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大広間で次の日の朝食の準備。44人がここで朝食をとります。

 

午後は島めぐりです。

14:00 とびしまコンシェルジュの小川ひかりさん(合同会社とびしま)に島を案内していただきました。

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まずは舘岩へ。

定期船の発着所からすぐのところにある舘岩。

階段を上るとこんな絶景に出会えます。

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鳥海山もこんなに大きく見えました。

こちらは夜のイベント会場となる海水浴場です。

 

その後、テキ穴と呼ばれる洞窟の前を通り、島の北に位置する法木集落を車で見学し、渚の鐘へと移動します。途中小川さんからツタウルシについての注意が。敏感な人は近づくだけでかぶれてしまうとか。

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渚の鐘にて。鳴らすと幸せになれるとのことで、はりきって鳴らす内村さん。その後、ほとんど全員が鐘を鳴らし、みんなそれぞれに幸せを願ってきました。

島めぐりはここで終わります。

一旦宿で解散をし、各自、自由時間へ。休む人、行けなかったテキ穴に向かう人、港方面に向かう人。

 

夜は島のイベントBBB(ボンバーベ:お盆にバーベキュー)にみんなで参加しました。

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会場では、海を背に、7組のアーティストがライブを行いました。みなさんお肉を食べながら思い思いの時間を過ごし、暗くなった夜空にはペルセウス座流星群が見えてくるという贅沢な夜でした。

21時からは夜光虫の観察会もありました。振動に反応して光る夜光虫。みんなで橋をたたくと、ちかちかと点滅する夜光虫はきれいでした。

 

 

【3日目】

9:00 海水浴場に集合してゴミ拾いへ。合同会社とびしまの小川さんにガイドをしていただきました。海水浴場をスタートし、島の西側の海岸を歩きます。

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外海に面しているので、様々な漂着物がありました。

漁業で使うような太いロープや浮き。

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ドラム缶やパレットなど、なんでこんなものが!というゴミにたくさん出会いました。

大きすぎて拾えないものはそのままにして、ペットボトルやプラスチック片などを拾いました。

ここで小川さんより、特徴的なゴミの紹介がありました。

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ただの木の皮に見えますが、これはロシアから流れてきたもので、漁をするときに使う浮きだそうです。

他にも、中国語の書かれたペットボトル。

袋はすぐにいっぱいになりました。ゴミは、拾っても拾っても、またすぐに流れてくるそうです。

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途中、小川さんが通り道の畑を掘り始めて、手に持ってきたのが、縄文土器の破片。飛島には石器を作るのに良い石がたくさんあったので、縄文人が島に居た跡が見つかっているそうです。畑を掘ると土器片がすぐに出てくるそうです。

 

帰りは近道を通りました。そこにはなんと、ダムがありました。まさか飛島にダムがあるなんて思ってもみなかったようで、みなさん驚いていました。

1時間弱で拾ったゴミ。

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しまかへにて解散しました。

やがたキャンプ 飛島

 

【3日目】

11:00 スタッフが入れ替わるタイミングで、再度自己紹介と2日間の体験を振り返りました。

ここで、島民の話が聞きたいとの声が出て、急遽、小川ひかりさんに調整してもらい、ひかりさんが元住んでいた家の隣の家のおばあちゃんの話を聞く調整をしました。

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太田キクコさん 昭和8年10月生まれ(85歳)。

冬の趣味の手仕事、飛島刺し子や酒田のつるし雛「傘福」に飾るさげものをみせてもらったり、お盆の仏壇飾りを見せてもらいました。

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夫が漁師だったときの名残が部屋に沢山残されています。

部屋に貼ってあった海図。漁に出ていた夫がどこにいるか、毎朝、流れる無線で確認するのが楽しみだったとキクコさん。

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お仏壇の下げもの。茹でたそうめんと昆布が飾られています。
そうめんは、ご先祖様が、お供え物を背負って帰る時、背中に結ぶためのロープ。お連れ合いの新盆とのことで、立派なお膳がお供えしてありました。

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おばあちゃんの言葉を関東出身の3人は、ほとんど聞き取れなかったそうですが、それでも飛島滞在中の最も印象に残った体験だったと2人が話していました。

 

四人のお子さんを産んだキクコさんに、どこで子どもを産んだのかたずねたとき、記憶をたぐるように、お産婆さんに立ち会ってもらい自宅で産んだとおっしゃった時の、はにかむような表情印象に残っています。

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8人で押しかけましたが、みんなにアイスコーヒーを振る舞ってくれ、帰りは膝が痛いのに「また来いの~」と玄関まで送ってくれました。
「私たちが帰ったらキクコさん寂しくなるんだろうな~」と一同、じ~~~んとなりました。

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15:45出航の定期船とびしまを、合同会社とびしまのみなさんと旗を振ってお見送り。

これもやったら楽しそうかなと思い、松本さんと相談し、急遽アレンジしました。

参加者の雰囲気を見て臨機応変にプログラムを組み立てていくことが、重要だと思います。

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このあと、巨木の森へ。アブとアリがものすごい勢いで襲ってきて、自然の力を目の当たりにしました。

一番、キャーキャー騒いでいた内村さんは、最後のふりかえりで、一番よかったことを「アブとアリ、自然が豊かなこと」と言っていたことに驚きました。

山形県が試験栽培している柑橘類の畑を見学。

カボスでビールを作れないかと模索している谷さんが、興味津々でした。

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夕食後、みんなで夕日撮影。

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夜は、合同会社とびしまの松本友哉さんと小川ひかりさんのお話を伺いました。

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松本さんのこれからの構想と小川さんには学生時代に取り組んでいた、島の女性たちの暮らしをご紹介いただきました。その後、夜遅くまで、意見交換が続きました。

島のおじいちゃんおばあちゃんには、「若者たちが、飛島を継いでくれる安心だ。」と思って旅立ってほしい。という松本さんと小川さんの思いが心にしみました。

 

【4日目 最終日】

8:30~10:00 ふりかえり

最初の一時間は、飛島の「よいところベスト3、課題ベスト3」を写真を使って発表。

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その後、島のいいところNo1 課題・改善点No1を出し、課題解決のためのアイディアをみんなで出し合いました。

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その後、4日間をふりかえり、1感想・2参加前の目標や期待が達成されたか、3参加前後で自分の中に起きた変化を発表。

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参加者の率直な意見は、受け入れ側の合同会社とびしまにとっても、非常に有効なもので、素晴らしいプログラムだとの声をいただきました。

 

感じたことを言葉にして発表し伝え合う。参加者同士の新たな気付きにもなりました。

また、受け入れ側にとっても貴重な機会となりました。

県も市役所も参加者も受け入れ側も、みな本音で自分の意見を話せる環境(時間配分、体験、参加者の加数)が適切だったと感じます。

最後、特別アレンジで、Lighthouseを見学。

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日本西海岸計画の池田友喜さんのお話を聞き、酒田には、前向きな人がたくさんいるんだなという感想が聞かれました。

 

参加者の感想

私にとって飛島で印象的だったのは合同会社とびしまです。人口減少や過疎化に苦しむ飛島において、旅館の経営をはじめ観光客誘致のためのイベントの開催など飛島の観光業さらには産業全般の発展のために尽力されている合同会社とびしまの姿に、私は驚かされました。飛島という人口面でも地理的にも不利な地域を、創意工夫によって振興しようとする存在があるからこそ、この島は存続していくのだろうと感じました。私も機会があれば、飛島の観光客誘致のためにSNSなどの媒体を用いて協力していきたいと思いました。

島のおばあちゃん、キク子さんの家に上がらせてもらい、話を聞いたこと。今は大きい家に一人で暮らしていて、大人数で向かった私達を快く迎え入れてくださった。方言訛りが強く、話自体はあまり聞き取れなかったが、飾られた写真や家の至る所から飛島の文化や歴史を感じることができた。

この島は昔、住民が1000人以上居たという。飛島で育ってきたキク子さんは賑わっていた島を深く知っていると思うと、私達を見送ってくれた、あの表情が一層切なく感じ、また会いに行こうと心の中で誓った。

「何もないけど何でもある」

都会の喧騒を忘れさせるように、のんびりと時が流れる飛島、そこでは素直な自分と向き合えた。

私は東京で生まれ育ち、現在も東京で会社員として生活しています。都会育ちゆえに田舎暮らしへの憧れがあり、特に離島が好きなので、将来は離島に移住したいと思っています。しかし、離島には観光で訪れたことがあるだけで、住んだこともなければ、島の方と深く交流した経験もなかったため、漠然とした憧れを抱くだけでした。そこで今回、離島での生活を知り、「自分に島暮らしは向いているのか?」を見極めるために、飛島でのやまがたCAMPに参加させていただきました。

飛島で過ごした4日間は、端的に言って最高に楽しかったです!民宿のお手伝いや、海岸のゴミ拾い、夏祭りへの参加、島民のおばあちゃん宅への訪問など、単なる観光ではできない貴重な体験を数多くさせていただきました。

これらの体験を通して特に感じたのは、島での生活はONとOFFの境目が曖昧だということです。忙しいのに、なんとなくのんびり。島中知り合いだから本業以外でも助け合い。常にONで常にOFFな生活。自然体でないと疲れてしまう。だから飛島の方は自然体で素敵な方々ばかりでした。私には向いていないなと思う反面、飛島に住めばあんな風に自然体になれるのかな、とも思いました。家庭の事情もあり当面の移住は難しいですが、一人の飛島ファンとして情報発信やイベント参加などで今後も関わり続けたいと思っています。

 

コーディーネーターが考える『受け入れるに当たって大切なこと』

県外在住の参加者を受け入れる「現地受け入れ側」として大切だと感じることは、以下です。

 

・受け入れ側としては、参加者のニーズを聞き推測し、相性が良いもの・良さそうと感じるものを次々提案し、実際に人に会えるようセッティングしたり、現地に行けるよう調整する。これには、たくさんの人脈と急な依頼に対応してくれる相手との信頼関係が必要。合同会社とびしまの松本さん小川さんの人脈はすばらしかった。

・受け入れる側は一人ひとりと向き合って、「あなた」にはこれをやってほしいです、「あなた」にこれを見せたいです、というような対応ができれば、その経験がいずれ移住を考えるきっかけになるかもしれないと思った。そのためのコミュニケーションはとても大切だと感じた。

・そこに暮らす人に会って話してもらう。

・その場にいる人が対等に話せる場を担保する。

・一人で考えたり、ボーッとしたりできる時間をいれておく。

・「体験したら、感想を共有する」をくりかえす。

・オープンマインドで対等につきあう。

・役割があることの大切さ。体験として用意されたものではなく、繁忙期の実際に人手が足りないところに手伝いに行くというのが良かったように思う。旅館の手伝いは、はじめは言われたことをやっているように見えても、だんだん責任感が生まれ、最後は「今日は手伝わなくて大丈夫かな」と思うくらいに、自分の役割を果たそうという気持ちがうかがえた。合同会社とびしまのみなさんは、参加者のみなさんの手伝いが必要です、というメッセージを自然と伝えてくれて、参加者の皆さんもそれに答えようとしていたように感じた。受け入れ側のみなさんに、手伝いたくなる一生懸命さがあり対応が柔軟だったのも良かった。自分の役割を果たすことができたら、そこに求められている気がして居心地が良く感じると思う。そして、そんな経験をした所に対しては、良い印象を持つと思う。

 

今後の参考までによろしければどうぞ!

 

やまがたキャンプ

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