「仕事」と「育児」の両立は、悩みや不安がつきもの。
そんな時は、キャリアカウンセラーとの面談も有効ですよ。
2017年秋に開催されたWignal(山形ワーキングマザーの会)のキックオフイベントに参加された育児休暇中の新米ワーキングマザーお2人が、キャリアカウンセリングを受けて、「自分らしく子育てを楽しみながら、キャリアアップも目指した5年後・10年後に理想とする働き方を叶えていくための具体的なアクション」を考えてみました。
▲会場は山形市南四番町のチョコレートラボ
同じようにモヤモヤを抱えるワーキングマザー(以下ワーママ)の皆さん、またワーママを応援したい企業の方々へ、次の一歩へのヒントになれば幸いです。
参加者紹介
Aさん(右):34歳、公務員。4歳女児と、11ヶ月男児のママ。夫、実両親と6人暮らし。
Bさん(左):36歳、金融業。8ヶ月男児のママ。夫と3人暮らし。
浅野えみ:株式会社キャリアクリエイトのキャリアカウンセラー。小学生を筆頭に、一男二女のママ。
山形県内の高校・大学でのキャリアカウンセリングやキャリアセミナーの他、企業での女性のリーダーシップ研修等も行っている。
キャリアカウンセリングスタート
赤ちゃんをゆらゆら寝かしつけながら、キャリアカウンセリングをスタート。
ーお二人とも現在育休中なんですね。Wignal イベントに参加された動機を教えてください。
A:転勤族で、今まで7回引越しをしました。今後も、遠方に転勤になる可能性があって不安だけど、好きな仕事なのでずっと続けたいと思っています。
1週間程度の出張や研修などのチャンスもたくさんあるので、それをうまくキャリアに繋げながら、どうやって両立していこうかなと不安に思っていました。
長女の育休復帰後、日々の慌ただしさに流されてしまって、自分で思うような働き方ができなかったので、今回は、育休中に復職後のことをしっかりと考えておきたいなと。
他のママたちは、どうやってモチベーションを維持しながら、日々の育児と仕事を両立されてるのかなぁっていうのをお聴きしたくて参加しました。
B:私は、大学までずっと山形で育って、両親も県内に住んでるんだけど、育児に協力してくれるって感じじゃないので、どう両立していけばいいか悩んでいました。
母はずっと専業主婦だったので、私自身も入社当時は、「結婚したら仕事は辞めるんだ」って、漠然と思ってました。でも、寿退社していく先輩たちをみていて、「せっかく資格も取って頑張ってたのにもったいないな」って気持ちが芽生えてきたんです。
30代で異動した支店に、育児と仕事を両立してる人がいるのをみて、上司の考え方で、ずいぶん違うんだなって感じて、「私も両立して仕事を続けたい」って思うようになりました。
私自身がロールモデルを探していたように、復職後、後輩からどんな風に見られるんだろうかという不安があります。復職後のことを、育休中にちゃんと考えておきたいなって思って参加しました。
ーイベントに参加してみて、変わったことはありますか?
A:それまで、ほかのママたちが、すごく颯爽と両立しているように見えていました。だけど、それぞれに自分にしか分からない悩みを抱えながら奮闘してるんだなって知って、それだけで気持ちがすごく楽になりました。
毎日の育児に追われすぎて、笑顔で子どもたちに接したいのに、目が血走ってたりして(笑)
浅野えみ(以下浅野):わかるわかる(笑)
A:それがすごく嫌だったんだけど、「『まぁいっか』って、乗り切ろう!」っていう風に思えるようになりました。
浅野:Bさんはどうですか?
B:私はもともと、「ママ友」を作るつもりがなかったんですよね。置かれた立場ってみんな違うので、共感しあえるかどうかは正直、わからないなぁ…って。私はキャリアを求めているので、同じ考え方を共感できる人にじゃないと、たとえ育児経験のある女性にでも、相談できなかったんです。
だけど、Wignalには、キャリアに関する話題を普通に話せる環境があって、「両立するには、きっと大変なこともたくさんあるんだけど、それをどうにかしたいと思ってるんだよね」って気持ちをシェアできたのは、かなり嬉しかったかも。
浅野:そうなんだぁ。「実際、こういう部分をこうやって頑張ってるんだ」っていう。
B:そう。それを聞きたかったんです。
浅野:ふたりとも、すごいなぁ。将来に対して考えたり、不安を持てるって、それだけパワーがあるからなんでしょうね。私も、負けてられないなって思いましたよ!
▲Wignalキックオフイベントにて
ー『5年後・10年後、こんなワーママでいたい』とイベントで描いた未来像を教えてください。
A:家族や職場の人、周りの人たちに応援してもらえるように、笑顔で頑張っていきたいと思いました。「自分の時間も充実させながら、子ども達の成長も楽しんで見守れるワーキングマザーになりたい」という理想を描きました。
B:私は、仕事では、部下を持てる立場、課長にはなりたいです。
家の中では、オンオフの切り替えをはっきりできるように夫と協力して、家族みんなが、いつも手を繋げるような関係でいたい。できれば、もうひとり子どもがほしいと思っています。
浅野:ふたりとも夢があって、ステキですね!
将来の理想の姿がなんとなく見えたところで、「じゃ次に、どうやってそれを叶えるか?」を実際に考えてみると、もうワンランク上がれるかも!
これから、一緒に考えてみましょうか。
ワーク1【キャリアデザインしてみよう】
浅野:悩みや不安の共有といっても、それぞれに悩みの内容も、どうしたいかも違いますよね。
それぞれに、《キャリア・今の自分》を確認して、どう理想の自分になっていくかってギャップを埋めていく作業をやってみましょう。
今、話してくれた5年後・10年後のぼんやりしたイメージを具体的に一つ、なんでもいいので、ここに仮置きしてください。
例えば、『オンオフをしっかり切り替えたいから、家には仕事を持ち込まない、「じゃ、持ち込まないってどういうこと?具体的にそのためにどういう風にする?」と考えてみます。例えば、「帰宅後、パソコンを車から出さない」とか、順々に落とし込んでいきます。
絶対にこなせるような具体的なアクションを積み重ねていくと、着実に夢に近づいていくことができるんですね。
Bさんの場合ですと、さっき「課長になりたい」っておっしゃいましたね。
「じゃ、どうやったらなれるんだろう?今、何をしなきゃいけないんだろう?」って考えていきましょう。
「今するべきこと」、「半年後にするべきこと」を、今、自分のわかる範囲で書いてみてください。
ポイントは、具体的な数字やアクションを書くことです。
▲Aさん、Bさん、それぞれに書き上げたものに対して、浅野さんからアドバイスをいただきました。
浅野:Bさんは、「自分」「課」「支店」っていうステップを踏んで考えられているので、まずこの通り実践してみると良いですね。
ただし、絶対にこの通りに経過しなくてはならないわけではありません。アクションしてみて違和感や不都合等があるなら、またデザインし直してみてくださいね。
B:そうですね。修正しながらやってみます。
ところで、産休前までは、帰宅途中に寄り道したりして、仕事中のストレスを発散したりもしてたんだけど、子どもが生まれてから、心も時間も余裕が減っちゃう分、どうやってストレス解消したらいいだろう?って思ってるんですけど。
A:それ!私もです!
ワーク2【コーピングリストを作ってみよう】
浅野:じゃ、これからコーピングリストを作ってみませんか?
「コーピング」とは、ストレス要因や、それがもたらす感情に働きかけて、ストレスを除去したり緩和したりすること。リフレッシュするために、旅行や映画に行くとなると、時間もお金もパワーもかかってしまうけど、今すぐにストレス解消できるような簡単なことをあらかじめリストアップしておくんです。
例えば私の場合、ビールが好きなので、「お風呂上がりに缶ビールをプシュッと開ける」とか、「ビールを冷蔵庫に冷やしておく」とか、「いつもよりちょっと高い缶ビールを買っちゃう」とか。
AB:(笑)
浅野:なんでもいいんです。好きなミュージシャンのこの曲を聴くとか、車で大音量で聴くとか、一個ずつを細かくして、たくさん項目を作ります。
イライラしてるときって、ほかに何も考えられなくなっちゃうから、50~100個、項目を用意しておくんです。メニューのようにリストを開いて、今すぐできそうなものやそのときの気分で選んで、実践してみるんですよ。きっと、スッキリしますよ。
実践後に、スッキリ度や感想も書き込んでおくと良いですね。
A:なるほど。手軽なアクションを、いっぱい溜めておけばいいわけですね。
B:考えなくても、すぐ目の前にあるっていうのはいいですね!
「リフレッシュは温泉旅行!」とかよく聞くけど、それができないとき、どうするんだろうな?って思ってたんですよね。
A:いろいろ調整しなきゃいけないから、実現するまでに精神面が持たないです(笑)
浅野:じゃ、5分間で書けるだけリストを書いてみましょう。よーい、スタート!
浅野:はい。終了です。お疲れさまでした。
ふたりとも、たくさん書けましたね。もっとリストを増やしながら、ぜひ試してみてくださいね。
まとめ
ーふたつのワークに挑戦してみましたが、いかがでしたか?
A:「数字を書こう」と思うと、やっぱり具体的に考えられるなと思いました。漠然と、「笑顔のママになりたい」って設定して、できるだけ頭ごなしに怒らないように意識していても、どのくらいできているのか、どんな風にしたらいいのか思いつかなかったので、貴重な時間でした。
浅野:それはよかったです。Bさんはどうですか?
B:Wignal のイベントで描いた「未来像を書いたシート」も目に留まるところに貼ってるんですけど、自分が何を重要視しているかってことが思い出されるし、実践できているかどうか振り返りができるんですよね。今日は、それを具体的に数字にできたので、さらに分かりやすくなって、夫とも目標を共有できるので、いいですね。
浅野:書き起こして、自分の心や頭の中を視覚化するのは、大事なことですね。
おふたりとも、ありがとうございました。
-キャリアカウンセリングを受けてみた感想を教えてください。普段、会社で行われる研修との違いはありましたか?
B:あまり、カウンセリングを受けている感覚はなかったです。会社でも、いろんな研修やセミナーを受ける機会はあるんだけど、講演後のグループトークの展開が、リーダー的役割をする人の解釈や考え方に影響されがちなので、正直、消化不良な感じになることもあるんです。だから、個別で対応してもらえると自分自身のことを整理できるのでいいと思います。
A: 私も、グループセミナーで「こういう風にするといいですよ」っていう情報提供はあるけど、その先の具体的なことを考える機会はなかったので、今日はすごく開けた気がしましたね。
-それはよかったです。もし、会社で今日のようなにキャリアカウンセラーとの個別面談があったら、利用してみたいですか?
A:対外厳秘で人事からの詮索がないことが担保されるのであれば、できるなら、やってみたいですね。
B:個人評価って、結局数字を見るしかないんだろうけれど、具体的な相談をできる場があれば、キャリアアップにもつながるかなという気がします。
-ありがとうございます。長い時間、お疲れさまでした。
編集後記
実際にワークを行ってみて、漠然としていた不安や解決案が、スッキリ明確になったようです。今日の書き出しを基に、実践・修正を繰り返しながら、おふたりのイメージするワーママ像をきっと叶えられることでしょう。この記事を読んでくださった方も、ぜひワークに取り組んでみてください。
また企業内においても、そこで働く人個々に応じた対応を充実させることによって、より働きやすい環境の整備、モチベーションや業績アップにもつながっていくのではないでしょうか。
▲おまけ。座談会の最後に、「どのくらい笑顔になれているか、よくわからない」というおふたりに、自分らしい育児と働き方を叶えられる笑顔になるためのパーツごとの表情筋の鍛え方をスマイルトレーナー®の私からレッスンさせていただきました。
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