初めまして。ヤマガタ未来ラボ学生部の升川桃です。

私は、山形市出身で昨年上京してきて、埼玉で大学生をしています。

今月1月27日(土)に開催するヤマガタユアターンサミットという「東京で山形との関わり方を考える」がコンセプトのイベントがあるのですが、このイベントに後援頂いている米沢商工会議所の後藤さんが、県外の人に、米沢市の会社をもっと知って欲しい!ということで、米沢市の会社を訪問することになりました。

訪問したのは、米沢市で木製サッシを製作販売しているアルス株式会社さん。

学生部の先輩である高橋達也さん(こたつさん)が今回、素敵な写真をパシャパシャ撮ってくれるカメラマンとして同行してくれました。

 

話を聞いた人

木製サッシ「夢まど」のアルス株式会社:髙橋千夏さん(中央)

ヤマガタ未来ラボ学生部:高橋(左・撮影)・升川(右・インタビュアー)

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訪れてまず気が付くのが、漂う木の香り。

2017年7月に米沢市の八幡原工業団地へ移転したばかりだそうで、窓に玄関に階段とさりげなく使われている木がぬくもりと心地よさを与えてくれます。

1階部分は工場で、事務所のある2階へ上がっていくと、高橋さんが出迎えてくれました。

 

 

「夢まど」は100パーセント自然素材

アルス株式会社は、完全オーダー制の木製サッシ「夢まど」を製造販売している会社。

ヨーロッパ式建築にも純和風家屋にも調和する高いインテリア性と、ミリ単位の細かい仕事を求め、全国から依頼が舞い込みます。

 

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以前は建具を製造する会社でしたが、髙橋さんの父である現社長が16年前、職人にやさしく自然に還元する完全木製サッシの製造を始めました。

 

ー建具から窓へ変わったのには理由があるのですか?

「建具の時は、合板のような100パーセント無垢でないのを使うというのが昔の主流だったようで、加工していると咳き込んだりというのが多くあったと聞いています。木の素材を使っているのに身体に悪いような感じがすると現社長は感じていたそうで、無垢材(むくざい)を使い自然素材にこだわったものを作りたいとうのがあったようです」

自然素材にこだわった建築資材を作っている会社は極端に少ないというのが日本の特徴で、木製サッシは全国でも10社程度しかないとそうです。

 

ー他の窓との違いはどんなところですか?

「樹脂窓と比べて、作る工程でエネルギーを使わない、また自然素材であることから非常に環境に優しいというのがあります。あと、木材は基本的に断熱性能が高いので、結露は必ずしない。ガラスも断熱性の高いものを使っているので、樹脂窓やアルミ窓だと結露受けというのが窓の下枠にあるのですが、木製だとその必要がない、というのがありますね。

で、海外から輸入した木製サッシは質が悪いものも多くあるようです。うちと比べると作り込んでいない所もあるし止水対策も行っていなかったり、そことの比較はできるんじゃないかなと思っています」

実際の製品を用いながら、説明してくれ。髙橋さんの訥々とした語り口からは、製品への確かな自信が伺えます。

 

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加えて、防火性も高い。密集地域では建築物の外部に面した開口部には、炎を遮る防火戸の仕様が義務づけられている。国の防火性能の基準を満たし16種の防火設備を取得しているのは、木製サッシでは国内唯一とか。

「東京とか都市部では、準防火地域・防火地域に該当する地域がほとんどで、防火設備を取得している窓しか使えないというのがあるんですけど、うちでは今16種類が防火設備をとっていて、認定申請中なのが新たに4種類あります」

最近は設計段階で夢まどを検討してもらう物件も出てきて、来年の春まで予約でいっぱいだといいます。

春にオープンする道の駅米沢にも採用頂いたそうです。

 

 

みんなが働きやすいようにしようっていう、それに尽きると思います

インタビューをしている部屋からは、下の工場の様子が夢まどごしに見渡せます。そのうち展示ルームにして、工場見学もできるように準備中とか。

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増加した受注に対応するため、急ピッチで作業している様子が見えます。

「人数が少ないので、作業はある程度決まっているんですけど、完全に分業化されているわけではなくて。去年頃から急激に忙しくなって、6人新しい子が入って、みんなあたふたしてます(笑)」

 

平均年齢はなんと29歳というから驚きです。

「職人社会なので、手に職をつけるまで時間がかかってしまう。機械はあるので機械で加工するところはあるんですけど、まだのみとか、かんなを使って加工しなきゃいけない細かいところがあるので、そのへんのフォローをみんなで知恵を出し合ってやろう、働きやすくしようっていうのは多分みんな思っています」

 

「取り組みはじめたばっかりなんですけど、『改善提案』っていう制度を作ったんです。」

と言いつつ、表紙に『改善提案』と書かれたファイルを見せてくれました。

「みんなで意見を出し合って、これがいい制度だねって認定になったら一人五百円、もらえます。あとはMVPを決める投票制度を去年から始めて、仕事納めの日に忘年会で全部投票したんです、みんなで。で、一番多い子が、ひとり五千円」

 

 

退職までの働き方が見えてしまった

髙橋千夏さんは、米沢興譲館から宇都宮大学へ進み3年生のときにフィリピンのボランティアで知り合った旦那さんと学生結婚、在学中に長男を出産し、大学卒業後は宇都宮で5年間働き米沢へUターン。

現在は戻って3年目となり、二人の男の子を育てながらパワフルに働いている。

どっちかというと、絶対戻らないという派だったんです。雪も降るし、田舎だし」

宇都宮では、大手メーカーの研究所で3D-CADの使い方を日本人と外国人設計士に日本語と英語で教える仕事をしていたという。

「研究所で働いているときは、とっても仕事が楽しくて。ただ、やっぱり大きい企業だと今期の予算やできることがこれくらい、と決まっていて。部署間のやりとりがとっても煩わしく感じたというか。ここまでしか業務として行えないのだれど、外国人の設計士さんはやっぱ取り合いなく質問してきますから、そこに葛藤があったわけですね。

なので、自分の仕事が最終的にどこに行くのかもわかりにくかったし、大きい企業ならではのしがらみみたいのが、ずっとあって。退職までの働き方が見えてしまったというか。なのでその時に、父と母がこっちへ戻ってこないかと言うのを聞いて、面白そうだなと思ってしまったんですね」

ちょうどCADが使えて英語のできる人材を探していた両親が、髙橋さんに目を付け、呼び寄せました。

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外へ出たからこそ感じる贅沢

ーUターンしてからの生活はどうですか?

「やっと最近、3年目で慣れてきました(笑) 1,2年目がほんとに、もう大変でした」

髙橋さんは窓を作る以外は、ほとんどやっているそう。

「仕事も違うし、ここまでやればいいっていうのがない。一人何役も兼任しなきゃいけないからこその面白さもあるし、大変さもあるし、ですね」

一番心配だったのは、子供たちが新しい環境に適応できるかどうかでした。

引っ越して登校した初日に長男は友達を連れてきたので、あ、大丈夫そうだなって(笑) ただ次男は泣いて幼稚園行っちゃったので、ちょっとかわいそうだなって思ってたのがあったんですけど、ま、大人よりも子供のほうが順応性は高いので。雪にも慣れてきたようだし(笑)」

 

髙橋さんには、Uターンして良かったことがいくつかあるという。

≪子供の面倒は、同居している両親が見てくれる≫

じいじ、ばあばも近くにいるので、結果的には帰ってきてよかったなという思いはあります。手伝ってもらえるのはとても助かります。

宇都宮にいたときは毎日わたしか旦那か、で精いっぱいだったわけですね。こっちに戻ってきて、子供が大きくなってきたし熱を出すこともなくなってきたし、それが重なってかとても余裕ができました。」

 

≪田舎ならではの贅沢≫

「野菜とか山菜とか簡単にもらえるじゃないですか。それが美味しいことに感動しましたね(笑)。

お漬物とか、手作りで添加物全然入ってない。そういうこと考えると、やっぱり贅沢だなって思いますよね。

宇都宮にいればずっと買って消費しなきゃいけないものを、消費せずに食せるっていうか(笑) そこらへんの贅沢さはこっちに戻ってこなければわからないし、一回出たからこそ感じるんだろうな、ってのはありますね

学生時代は勉強ばっかりだったので、戻ってきてからわかったことがたくさんあります。ああ、ここはこういう場所だったんだ、みたいに、自分が生まれ育ったところを改めて感じることができる。それを子供に見せられたのもよかったな、と思います」

 

≪仕事のやりがい≫

思い描いていたのとはだいぶ違う気がするけれど、ただ、自分のやったことが目に見える仕事はしているなっていう感じはします。研究所にいたときはちゃんとお化粧してお仕事していたのだけど、今ではほとんど毎日すっぴんだし(笑)」

「働いている人たち、わたし本当に大好きなんですけど、その人たちが成長していくところを間近で見られるっていうのは、うれしいです。その人たちと一緒に盛り上げていける楽しみ。大変ですけど、それはとっても感じます。帰ってきてよかったなと思います」

 

大事にしているのは「のびしろ」

学生目線で気になることを質問してみました。

ー学生のときやっておいたほうがいいことってありますか?

「好きなことはやっておいたほうがいいかな、と思いますけど(笑) 学生のときくらいですからね、時間がたっぷりあるのって。いまは夜更かしなんて全然できないですもん、ほんとに。遊ぶのも勉強だし」

ー新入社員を採るときは、どんなところを面接で見ていますか?

「面接したときは、 のびしろを見ます。それしかないと思っています。

木製サッシって、中途採用もそうですけど、作ってきた方がいらっしゃらないので、これまでどんなことをやってきたか、というのはほぼ技術的には参考にならない。その人がどれくらい伸びるのか、あとはスポーツなど、学生時代に続けていたことは聞きます。」

 

ーずばり、のびしろを感じるところは?

「まっすぐさ、素直さから感じます」

ー会社が米沢にあってよかったことはありますか?

「木製サッシって日本でちゃんと作っているところがあまりないというか。海外から輸入しているところが多いんですね。なので、山形県米沢市で作ってるの、というとびっくりされます。米沢牛が有名なのでみんな知っているので、そのステータスはありますね。今度はうちが山形を代表する企業になりたい、と思っています」

今後は、木製サッシを使いたいという需要が増加してきたので、もう少し価格を抑えた商品を開発し、より多くの人に夢まどを届けたいという。

 

 

まとめ

米沢の小さい会社ながらも、仕事も増加し若い人も多く働いていて、勢いがありました。

アットホームな雰囲気も端々から伝わってきました。

また、それでいて全国でも指折りの高い技術をもった会社であることも驚きでした。

就活というと、どうしても大企業ばかり見てしまいます。

しかし、田舎だからこそできる働き方もあるのではないかと感じさせられました。

最後に、アルス株式会社さん、髙橋千夏さん、ありがとうございました。

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