車の車検や修理をするときは整備工場、タイヤやカーナビを買うときは車用品店、車両保険に加入するときは保険代理店・・・と、車に乗るためには様々な場所に出向く必要があり、結構な手間暇がかかりますよね。

これら一連の作業を、自社で全て行う『ワンストップサービス』を強みとするのが、山形市立谷川に本社を置く、株式会社サニックス。例えるならば、車の総合病院のような存在です。

業務用の大型車、特殊車両の改造から軽自動車まで、扱う車は多岐に渡ります。

 

 

「こんにちは!」

 

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会社に到着したら、整備士の方が爽やかに挨拶をしてくれました。

「車の会社」といえば、整備士といった技術職の人たちは“職人気質で寡黙”。という印象でしたが、その笑顔に、イメージが覆りました。

 

 

 

目の前に差し出された1台のタブレット。

その中には、笑顔で目線を送る人たちの姿が映る、画像や動画が。

 

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「このスライドやムービーは社員が作ったんです。」

 

そう嬉しそうに語るのは、株式会社サニックス社長の佐藤啓さんと、総務部長の大江さん。

社長写真

 

佐藤社長写真

佐藤さん「その年の社内風景や行ってきたことをスライドやムービーにして毎年新年会で来賓の方々に発表しているんです。」

 

 

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大江さん「最初は外部の制作会社さんから作ってもらったスライドが始まりでしたが、今では社員が作ってるんですよ〜。」

 

会合に参加した際は、このスライドやムービーをタブレットで様々な人に見せ、社員の家族にもどんな会社で働いているかを知ってほしいという想いから、DVDにして社員の家族に届けているそう。

 

こんなことをしている会社に、初めて出会いました!

 

CIMG0064大江さん「いいことをしても自分の中で抑えてしまう人が多い。でもいいことをして発信することは社員や会社のためにもなることに気付いて、こうゆうことを実施しています。」

 

 

 

佐藤社長写真

佐藤さん:「自分たちの会社を自分たちで『いい会社』って言うのは照れくさい。でも不思議なもので、言っている内に段々とその気になってくるんですよ、人って。」

 

 

今でこそ、オープンな雰囲気があるサニックスですが、現在のように自分たちの会社を「いい会社」と言えるようになるまでは、実は長い長い道のりがありました。

 

 

新しい時代の始まりに犠牲は付き物。苦しい状況が生んだ思いやりの精神。

サニックスのスタートは決して華々しいものではありませんでした。

サニックスの始まりは、1970年に設立された前身となるニッシン自動車株式会社。2010年2月に三栄自動車工業株式会社と経営統合して誕生したのが現在の株式会社サニックスです。

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統合したときの日本経済はバブルのような華やかな時代ではなく、リーマンショック後で最も落ち込んでいたとき。さらに翌年2011年は東日本大震災が起き、会社にとってはとても大変な時期が続きました。

 

 

佐藤社長写真佐藤さん「統合当初は正直リストラもありました。そういった犠牲の上で今のサニックスは成り立っています。こういった経緯から私は人を大事にして思いやりのある会社にしようと決意し、統合後初めての朝礼で”色々な犠牲のもとに我々は立ち上がったんだから、とにかく『いい会社』になろう。我々は『いい会社』にならなきゃだめなんだ”と私は話しました。大変な時期もありましたが、それでもここまでやってこられたのは人や思いやりが大事なんだという思いを積み上げてきたから。」

 

佐藤さんからは、にこやかな表情で話す中にも、統合当初に堅く決意したであろう熱意がいまなお、ひしひしと伝わってきました。

 

サニックス社長写真

 

佐藤さんは、サニックスの仕事を”車の快適環境創造業”と呼んでいます。

 

佐藤社長写真佐藤さん「私たちの仕事で欠かせないのは車。だから一番のお客様って実は『車』なんです。車を通してお客様から期待感を集め、価値を高めて創造していくのが我々の仕事。価値創造で大事なのは『人』です。私は『良い会社』ではなく、『いい会社』を目指してます。『いい会社』とは、『好感や共感を持ってもらい支持される会社』。お客様はもちろん、地域の人たちからも支持をされ、100年先も続く企業を私は作っていきたい。」

 

社長のいう100年とは、”50年経ったからあと半分・・・”と縮まっていくものではありません。常に100年先を見据え続け、永遠に持続可能な組織を作っていく。100年後生きている社員はいないけど、100年後の未来にいるお客様や社員、地域の人たちを意識しています。

自分が存在しない未来を想像して働くのって不思議ですが、自分が未来の会社を作っていると思うと、仕事一つ一つにも愛着が湧いてきます。

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「制度ではなく風土を作っていく。」社員と向き合い作り上げた“風土”とは?

経営統合しサニックスに社名を変更して、今年で7年目を迎える今、取り組んでいるのは”風土つくり”だそう。

 

佐藤社長写真

佐藤さん「足並みを揃えるために、社員が共有できるものを作ろうと思った。ただ規則やルールで縛っては社内の雰囲気がギクシャクしてしまう。それなら制度ではなく風土を作っていこう、と。」

 

 

制度ではなく風土を作る・・・とても印象に残る言葉です。

制度は”やらされている”と取られやすいが、風土は”みんなやってるから自分もやろう”と自発的に行動するイメージ。自発的に行動する人が増えれば、必然的に会社の可動力は大きくなりそうです。

 

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佐藤社長写真佐藤さん「私自身、強力なリーダーシップがあるタイプではありません。社員を引っ張っていく力と、絶対的なカリスマ性を併せ持った経営者が台頭していたのが今までの会社。

しかし、現代は価値観が多様化し、様々な考えを持つ人が増えてきました。特に若い世代は人生を楽しむために仕事をするという思考が強く、私たち世代でもついていけないときがある。昔のようなやり方では、若い社員はついてこないですよ。」

 

佐藤さんも社員たちもお互いに信頼を寄せていることが大きな理由になってか、同社の離職率は、ニッシン自動車の頃より少なくなってきていると言います。

 

 

そして、2014年11月に佐藤さんが社員の前で経営理念を発表してから、会社が変化してきました。

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会社全体の雰囲気が変わり、社員から積極的に意見が出るようになりました。

 

そうした社員の声から出来たのが、委員会活動。

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大江さん「今まで何となくしていた朝礼を立て直そうと、朝礼委員会が新しい朝礼のやり方を提案する光景を見て”これが風土なんだ”と実感しましたね。」

 

 

仕事が忙しい中での委員会活動は大変だろうと大江さんは労いを見せるも、委員会活動が始まってからの社員の変化に頼もしさを感じている様子でした。

他にも嬉しい変化が見られたのは新年会でのこと。

今までジャージやジーパンで参加していたのが、スーツ、ネクタイを着用しての参加に変わりました。

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大江さん「ネクタイのカラーはわが社のコーポレートカラーの赤で統一。スーツを着慣れない社員は最初恥ずかしがっていましたが、来賓の方や会場スタッフの方に”揃っててかっこいい”と予想以上に良い反応をもらって”揃えて良かったなぁ・・・”って。こんな場面でも社員の意識の変化が見られると嬉しいですね。」

 

子供の成長を喜ぶ親のように穏やかな口調で話す大江さんを見て、業務以外のところでも評価してもらえるのは社員にとって幸せなことなんだと感じました。

 

新規事業の展開でも忘れない、地域貢献への思い

思いやりを大切にし、地域に貢献したいという佐藤さんの思いから、2016年に福祉車両専門のサービスブランド『Wyell(エール)』を新設。

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今まで顧客の中心であったトラック運送や建設業とは違った分野を扱うという新しい試みもこの事業には含まれています。

 

サニックス大江さん

大江さん「私たちが地域のために出来ることといえば車に関すること。福祉施設の増加に伴って、今後はもっと福祉車両の登録も増えてくるでしょう。」

 

ただし、車両だけの事業と考えていないのが一味違うところ。

現在の福祉車両の安全基準が曖昧なこともあり、社員が福祉施設に直接出向き、車両の安全な使用法を無料で講習をしています。今後ももっと啓蒙活動を拡大していくことが目標の一つだという。

事業以外での内容も豊富であることを佐藤さんに問いかけると、

 

佐藤社長写真

 

佐藤さん「まずは地域貢献が一番。利益はあとから付いて来ればいい。」

 

 

会社という場所は、利益の追求ばかりを行うものだ思っていた私にとって、どれだけ衝撃的だったことか。言葉だけでなく実際に事業を起こしている時点で、佐藤さんの確固たる思いは本物であると確信せずにいられませんでした。

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他にもサニックスではエール事業以外にも様々な事業展開を構想中。

今以上に仕事の幅を広げるために新しい技術を積極的に導入し、新市場の開拓にも乗り出して2017年1月21日には仙台営業所が開所されました。

今後は多角的な経営も視野に入れ、電気バス事業、車の自動運転・・・そして飛行機と事業展開への考えは尽きません。

サニックス

お2人が楽しそうに会社の未来を語る姿に、私も思わずワクワク。部外者であったはずの私までがまさか一緒になってワクワクさせてもらえるなんて思ってもみませんでした。サニックスが飛行機の修理を手掛けている光景が、頭の中に自然と浮かんでくるぐらい、どんどん引き込まれている自分がいました。

 

 

「教育」ではなく「共育」。互いに育て合う環境からブランディングイメージを作る

サニックスはブランディングについても近年力を入れており、社内や社外に向けてわかりやすく会社をPRしていきたいと考えています。

サニックスが目指すブランディングの根底にあるものは『共育』。山形大学で授業の一環として行っている、1年生を対象とした3日間の短期インターンシップを、サニックスでも2016年から受け入れています。

 

 

佐藤社長写真佐藤さん「新入社員の一番の先生は、周囲にいる先輩や後輩。社長の指示より、隣の先輩に指示された方が聞きます。先輩社員も後輩に教えている内に気付くことや学ぶことが多い。だから新たな『共育』の場となるインターンシップを積極的に受け入れてます。」

 

しかし、大学1年生というと、まだまだ働くことをイメージ出来る年代ではありません。

 

CIMG0064大江さん「当社では、若手社員が中心となり、1人でも多くの社員が関わりを持つことで、学生に働くとはどういうことかを伝えます。その姿を見て他の社員は刺激をされ、自分の仕事や働き方を見直すきっかけに繋がったりしているんですよ。山形大学の取り組みが文科省で取り上げられ、文科省内のホームページのインターンシップ好事例集や新聞にわが社も掲載されたことで社員のモチベーションは上がりましたね。」

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『共育』で得た経験をどのように活かし、リクルートに繋げていくかを考えるのが楽しいと大江さんは満面の笑みで話す。

サニックスで働きたいという声が増え、100年後の未来のために働いてくれる人材に出会えることが楽しみでならないようでした。

 

編集後期

サニックスは、雇用主と従業員という関係性というより、一緒に参加している仲間たちという印象を受けました。それは社長が指示をして社員を動かしていくスタイルから、社員が声をかけていき会社を動かしていくスタイルに変化したからこそ。

「社長が船長で、社員が同じ船に乗っているクルーといったイメージをしている。船長が行き先を決めて、その行く先に向かってみんなが向きを揃えることでスピードも上がって真っ直ぐに進むことが出来る。」と大江さん。

佐藤さんが目指すのは、老若男女誰もが『いいね』って思ってくれる会社。そんな社長の姿に賛同してくれる仲間がじわじわと増えていく様は、少年漫画の世界のようです。

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会社と共に育っていきたいと考えている人は、是非佐藤さんの思いを近くで触れてみてはいかがでしょうか?

サニックスはアナタを仲間として迎える準備をいつでも整えて待っています。

 

※この記事は、東北経済産業局「平成28年度東北地域中小企業・小規模事業者人材確保支援等事業((2)事業)」の一環で制作しました。

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