2021年11月10日、これまでとは全く違う新しい方法で山形の魅力を紹介する、ボードゲームが登場しました。

その名も「山形しかCATAN!」!

「山形しかCATAN!」は、楽しむ探究活動から生まれた、楽しみながら山形(七日町・蔵王温泉)の魅力を感じてもらう画期的なボードゲームです。

今回この新たな取り組みと「山形しかCATAN!」についてインタビューし、実際にボードゲームで遊ばせてもらってきた感想もご紹介します!!

 

皆さんは県外の人に「山形って何があるの?」と聞かれたときに自信をもって答えられていますか?

「何もないよ~」と答えていませんか?

では本当に山形には何もないのでしょうか?面白くない場所なのでしょうか?

今回はこの問いに対するヒントを、ボードゲーム「カタン」の山形版を作成し山形の魅力を伝える活動をしている山形中央高校の生徒の皆さんと井上先生に、教えていただきました。

地元の魅力が分からない人、自己紹介で地元の話をするときに困っている人はぜひ読んでみてください!!

 

 

ボードゲーム「山形しかCATAN!」で遊んでみた!

「カタン」とは、ドイツで生まれ、世界中で大ヒットしたボードゲーム。

地形タイルから産出された資源カードを組み合わせながら、道路や開拓地の建設、開拓地から都市への発展などを駆使して、島を開拓していき勝利ポイントを10点取ったプレイヤーが勝ちとなるゲームです。

このボードゲームの山形版が「山形しかCATAN!」。

「山形しかCATAN!」の地形タイルや資源カードには蔵王・山形市七日町の特産物や店舗が登場します。

※山形版カタンは販売されておらず、遊びたい人は定期的に開催されるイベントに参加する必要があります

私はカタンというボードゲーム自体初めてプレイしましたが、戦い方を考えたり、プレイヤー同士のカード交換の交渉だったりと、運だけでは勝てない幅広い要素があり、とても面白く飽きないゲームだなと感じました。

このゲームを面白く楽しみながら、生徒の皆さんの解説やゲーム盤、カードを見ながら、「こんなお店あるんだ、行ってみたい!」と思う場所がいくつかあり、特に私は「蔵王のジンギスカン食べに行ってみたい!」と素直に思いました

最終的に生徒の皆さんにはゲームで勝たせてもらって、楽しく蔵王・七日町のことを色々と知ることができる、とても貴重な経験になりました。

 

 

プロジェクト「山形しかカタン!~ボドゲで湧く湧く☆マイクロツーリズム~」

このボードゲーム「山形しかCATAN!」を開発したのは、山形中央高校の生徒の皆さん。

山形中央高校の有志の1,2年生18名が中心となって、所属している部活動を優先しつつ活動中です。

顧問の井上先生とチームメンバーの生徒の皆さんにお話を伺いました。

Q.プロジェクトを始めた理由を教えてください。

井上先生:朝日町の松本亭一農舎というゲストハウスにボードゲームが沢山あるのですが、以前宿泊した時に、オーナーの佐藤恒平さんに岩手県金ヶ崎町で作った「金ケ崎版カタン」を見せてもらい、これをいつかうちの学校でもやれたら楽しいだろうなと思っていました。

そんな時、私が顧問をしている昨年度から蔵王の探究活動を行う文理科学部で「地域版のカタンをつくる」と言って部員募集をしたら、1年生が少しずつ集まってきてくれました。その後に総合的な探究の時間で地域振興ゼミに所属していたグループも合流。

当初は「蔵王」だけがテーマでしたが、活動のしやすさも考えて山形市七日町も活動するフィールドに加えて、蔵王・山形市七日町の魅力を伝える探究活動として「山形しかカタン!」を製作しました。

チーム「山形しかカタン!」メンバーの山形中央高校の皆さんと井上先生
Q.生徒の皆さんが、プロジェクトに参加した理由は?(生徒の皆さんに聞きました)

・ものづくりに興味があったから。

・部活が週2回。放課後や長期休みに、みんなは部活があるけど、自分はやることがないのが悩みだった。その時に、土日も活動する忙しい探究活動があって、面白そうで参加した。

・探究活動をもっと実践的にやりたかったから。(この声が一番多かったです!)

・七日町は県庁所在地の中心市街地なのに車で通っても人がいないと感じていたり、将来は地元である山形で働きたいと思っていたので、それの勉強としても何か高校のうちからしておきたいと思ったから。

 

ゲーム盤、コマの木材加工やカード、地形タイルのイラストは生徒の皆さん自らが描き、ほとんどを手作業で製作したそう(絵うまい!!)

 

Q.探究活動の中で山形の良さ、魅力は見つけられましたか?

生徒:七日町についてどんなイメージがあるのか話した時に、何も分からなかったので、実際に行ってみることにしました。何回も歩いてみたら、「こんなお店あったんだ」みたいな知らないお店がたくさんあって、若者が行くようなカフェもあって、風景もレトロで、歩いてて楽しめる場所だなと感じました。

実際に、お店の人に連絡して、許可を取ったりしましたが、凄い皆さん優しくて、商店街を盛り上げようとしている気持ちを強く持っているなと感じました。

生徒:蔵王は小学校のころからスキーができるように、冬のイメージしかなかったが、この探究を通じて直接蔵王に行ってみると、夏の蔵王には、冬にはないものがたくさんあって、夏の蔵王もいいものがあるんだなと思いました。

井上先生:「山形の魅力」って「魅力」をまず地元の人に聞くと、「何もないです」っていうのが地元の人なんだよね。地元の人ほど、「何もないんですよ、あんなところ」ていうんだけど、そういう風に言っている人ほど、現場を歩いたりお店を探したりした経験がないんです。私も長年生きてきたけど、人生の中であんなに頭に地理が叩き込まれるほど蔵王を歩いた経験がなくて、何もないって言っている人が如何に多いかってそういうことだと思うんです。

この活動の中では、みんないろんな経験をして、その中で地元を盛り上げようとする人たちと知り合って行けたと思っていて、だからこそ地域の魅力は突き詰めて言うと、どういう人がいるかということだと思うんです。

つまり自分から動かないと絶対に知り合えないような、斜めの関係の面白い大人と会うことが一番大事じゃないかなと思っていて、そういう大人に憧れたり、変な大人だなって思ったり、そういう人とつながっていくことに意義があるし、単純に面白い経験なんじゃないかなと。そういう人に高校生の時に出会ってたら、人生ちょっと変わったんじゃないかなと思いながら私も見ていましたし、一番こういう活動の面白い、わくわくするところじゃないかなと思います。

 

Q.マイクロツーリズム(※)をプロジェクト名の中に入れたのはなぜですか?

生徒:七日町について調べていた時に、県外から七日町近辺に来る人よりも、県内から七日町近辺に来る人の方が少ないことを知りました。この理由を考えた時に、自分たちと同じように、県内の人だからこそ魅力を良く知らず、行く選択肢に上がらないんじゃないかなと思って、こういう自分たちの今持ってる原因みたいなものがマイクロツーリズムの考え方とマッチしたので、マイクロツーリズムを目標に入れて、活動を行っていこうと考えました。

井上先生:今回みんながマイクロツーリズムをテーマに入れてくれたけど、コロナ禍で観光業、飲食業が本当に大変な状況の中で、おそらく地元の人が地元の魅力を知る、逆にきっかけというかチャンスが今だと思うんです。

それに生徒のみんなも一生懸命取り組んでくれていて、ゲームイベントをすると、みんなお店紹介しながらカードを配ったり、ゲーム盤の中の観光地のおいしい食べ物だったり、蔵王温泉、七日町での経験を、要するにバスガイドみたいに紹介していて、凄いなと思いながら見ていました。

 

※マイクロツーリズムとは…新型コロナの流行をきっかけに広がった、自宅から1~2時間程度で移動できる「地元」で観光する旅行の形態のこと。公共交通機関の利用を避けた自家用車による移動を中心とし、地域の魅力の再発見と地域経済への貢献を念頭に置いている。

カードの表にはお店の写真、裏にはお店の紹介、QRコードを掲載している

 

Q.「山形版カタン」の開発で工夫したこと、こだわったところは何ですか?

生徒:ゲームのストーリーも自分たちで考えたり、イベントの際は、オリジナルよりも早くゲームが終わるように変更しています。これはオリジナル版はプレイ時間が1時間を余裕で超えてしまうので、効率よく遊んでもらえるようにするためですが、ゲームが長すぎるとゲームに集中してしまって、タイルとかを見てもらえない心配があって、ゲームの後にタイルを見て、「こういうお店あったんだ」とかそういう時間も取りたいと思って、ルールを少し変更しています。

生徒:地図を見たり、七日町に遊びに行ってみて、このお店紹介したいよねってお店を30店舗くらいピックアップして、許可を取ったり、写真を撮ったりしました。タイルは、「有名な所」とか、「老舗」とか、「笑顔になる」とかの要素に分けて探しました。

佐藤恒平さんからボードゲーム探究について学ぶ合宿を行った(松本亭一農舎)

(参考)「都会の価値観」と「田舎の良さ」が混ざり合う場所 松本亭一農舎 佐藤恒平さんにインタビュー!|山形仕事図鑑#116 | ヤマガタ未来Lab. (mirailab.info)

 

生徒:蔵王は、七日町ほどお店がないので、自然や風景の写真を入れたり、知ってる人しか知らない、足を運んでみないと分からないような場所の写真を選んで、遊んで楽しくなるように工夫しました。

また特産物のカードで、蔵王はいがもち、こけし、ジンギスカンなどいっぱいあるので、特産物というくくりのカードでも絵柄を変えて、より蔵王の特産物をゲームで遊びながら、知ってもらえるようにしました。

「蔵王温泉開発版」…蔵王の神社に行く鳥居が印象的でゲーム版で取り入れる

 

Q.活動の中で発見した気付きなどは何かありましたか?

生徒:去年の探究は、難しい題材にしすぎてあまりチャレンジができなかったんですが、ゲームという誰にでもできることでやったからこそ楽しくこんなに探究できることを学べました。だからこそフォーマットを配布して、楽しみながらできるボードゲーム探究を、進めていけたらと思うようになりました。

生徒:蔵王を探究してみて、最初のイメージと実際行って見てのイメージが変わった部分があって、蔵王は冬のイメージ、冬の魅力が大きい場所と思っていたが、夏でも夏にしか営業していないカフェだったり、面白い場所があったり、そこにその時にしか分からない魅力が多くあることを知ることが出来ました。

「七日町発展版」…七日町ぽさをスクランブル交差点、自転車専用道路、バス停で表現

Q.これからの目標は何ですか?

47都道府県で、47個集めてやるみたいな形でやってみたいなと思っています。自分たちでボードゲームを作ってみて、メディアで自分たちの活動が掲載されたときには自分たちが思っていた以上に反響がすごくあって、「やってみたい」、「自分たちの地元でもほしい」みたいなボードゲーム・カタンの認知度、人気の高さをうかがい知れました。

なので、作りたい人がいたらダウンロードフォーマットからぜひ作ってもらって、自分たちのと一緒に遊んでもらうことで自分たちの活動だけでなく、マイクロツーリズムで地域を盛り上げようとか、また山形はいっぱい観光地があるし、観光地でなくてもできると思うので、より多くの人たちに自分たちの活動、ボードゲームを使って、探究活動や地域を知ること、深く色んな人と関わる活動ができるということを伝えていきたいというのが大きな目標になります。

 

インタビューに答えてくださった山形中央高校の井上先生と生徒の皆さんありがとうございました!

 

やまらぼインターン生あとがき

今回の取材から感じたことは、「山形」には普段の生活では気付けない、自分から動かないと出会えない人、もの、お店がたくさんいる(ある)ということです。生徒の皆さんは、自分たちで歩き回って色んな経験をしたからこそ、七日町や蔵王温泉の面白さ、こんなお店もあったんだ、こんな大人がいるんだ、ということに気付き、その面白さ、驚き、おいしさをゲームをプレイする人に伝える活動をしています。

ただ作るだけでなく、イベントやその他にも様々な方法を考えながら、自分たちの目標を達成しようと実践的に活動しているということがとても印象的でした。

山形版カタンで遊んでみることで、これまで知らなかった七日町・蔵王温泉の面白さ、魅力に楽しみながら気付けるはずです。「山形しかCATAN!」に興味のある方・遊んでみたい方は、下記のTwitter、Instagramで活動情報を発信しているそうなので、ぜひアクセスしてイベントに参加してみてください!!

 

インスタグラムアカウント

Twitterアカウント山形しかCATAN!(@yamagata_CATAN)

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