やまらぼインターン生の日野です。
これまで長い時間を過ごした地元の「居心地の良さ」と地元にはない多くの価値観にあふれる都会に「憧れる」気持ち。将来どちらの場所を選択して、就職や生活の拠点とするのか、そのような迷いを抱えている人は、少なからずいるのではないでしょうか。
私もその迷いを抱えた一人であり、今回ゲストハウス「松本亭一農舎」でオーナーの佐藤恒平さんにお話を聞いて、このような迷いについて「考えるヒント」をもらいました。
将来、どうしようかな?など、モヤモヤ思っている人は、ぜひ最後までご覧ください。
今回のやまがたで働く人 佐藤恒平(さとう・こうへい)さん
福島県出身。地域振興サポート会社 まよひが企画代表。
高校の時にデザインで町おこしに関わるということに興味をもち、東北芸術工科大学・大学院にてデザイン工学を学び、その後朝日町で地域振興に携わる。ゲストハウス(松本亭一農舎)の運営を行っていて、他にも様々なプロジェクトに関わっている。ボードゲーム好き。
ゲストハウスを立ち上げた理由は?
この建物は一般の方が持っている住居だったんですが、ご高齢になったので、町に建てものごと寄付したんです。なので朝日町の所有だったんですが、「田舎暮らしを体験させる」施設として運営できないかと会社にオファーがあって、大変良い建物で、僕の会社で家賃を払ってでも借りたいなと思い、物件として貸していただいて、ゲストハウスという形で開業して今に至る感じです。それが2017年の1月スタートで、かれこれ5年目になります。
どうしてそのようなオファーが来たのですか?
僕自身、神奈川県からの移住者で、2010年に移住して、このまちのゆるキャラ(桃色ウサヒ)の運営をするなど町おこしに関わっていました。なので今回のオファーも役場から来た感じになります。
「ゲストハウス」ってどんなものですか?
正式名称は簡易宿所と言います。日本全国に色んなタイプのゲストハウスがあるんですけど、ここの場合は素泊まりで宿泊できる格安の宿で、3200円から泊まれます。ただ、ご飯の提供がなくて、布団は自分で敷いてもらうことになっています。その代わりに、ご飯を作るための共同のキッチンがあって、そこで作って食べるお客さんが多いです。
ゲストハウスの魅力とは?
ゲストハウスの魅力はずばり「交流」です。大きくない宿で、かつご飯も自分たちで作るので、ご飯を食べるときに、他のお客さんとの交流が生まれたりするんです。そして、交流を促進するためにみんなで共同で使えるスペースが用意されていて、この共有スペースのおかげで様々な交流が生まれています。スタッフとの交流、お客さん同士の交流、そしてもうひとつ大きいのが町の人との交流です。
町の人たちがこの場所を利用するのはなぜですか?
ここは宿泊できる施設でもあるんですけど、13時から19時にフリースペースとしても開放しているんです。無料のWifi とフリードリンクがあるので、コワーキングスペースみたいに使う人もいれば、学校帰りによる小学生もいて、使う人によって自由に遊べる場となっています。特に僕はボードゲームが好きなんで、ボードゲームをやりに来てくれるお客さんともフリースペースを開放している間は、無料で一緒に楽しんだりできるようになっています。そんな中で多様な人たちの交流が生まれることで、言ってしまえば都会と田舎が混ざり合うような場ができているので、オーナーとして面白い体験がたくさんできています。
「たくさんあるボードゲームの遊び方は、スタッフが教えるので初めての人でも大歓迎。」
面白い体験とは、実際にどのようなことがありましたか?
ここに泊まっているお客さんとここで会議をしていた町の議員さんがいて、議論が白熱していくうちにお客さんにもいろいろと意見を求めるようになった結果、わいわい盛り上がって、来てたお客さんが朝日町に移住するようになったりとか、
うちイベントで「新世界の修学旅行」という不登校の子たちを集めて、修学旅行の体験をするツアーをやったんですけど、それをやっていくうちに、逆に町内にも不登校の子たちがいることが分かって、今は月二回程度そういった子どもたちが集まる場としてこの場所を提供して、不登校の家族会もしながら、みんなの居場所づくりをしています。こっちは逆に全国向けにツアーをしていたら地元の人たちが集まってくれたケースです。
最近だと、常連さんにロボット作りが得意な人がいるんですけど、その人と一緒に田んぼの除草作業をロボットでやるっていう実験をしていたところ、色んな人が注目してくれるようになって、今自分の田んぼは、この宿を使ってくれるお客さんたちと一緒に、農作業の体験をしながらロボットの実験をするという、人とロボットが合わさって、お米を作っていくという楽しい体験ができています。他にもアイドルのライブをやったりとか屋根裏部屋では「怪談100物語」のイベントをやったりとか自由に面白いことが出来ています。
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ゲストハウスを運営してみて、どんなことを感じますか?
都会にはきっといろんな人がいて、楽しみ、価値観がたくさんある。それも素敵だし、田舎がもっている様々な資源、知識もものすごく貴重で、それらが混ざりあう場所がここになることによって、今まで見たことがなかった化学反応が起こっているといいますか、交流によって「田舎の楽しさ」と「都会の楽しさ」が混ざったような空間ができている。これがゲストハウスをやったことによって、凄く感じるようになった最高の楽しみだなと思っています。
インタビューに答えてくださった佐藤恒平さんありがとうございました。
取材を終えて
今回の取材を通じて、どのような選択をすべきなのか、自分の中の迷いが完全に消えたわけではないのですが、交流が人生に大きな影響を与えることもあると知り、色んな価値観を持つ人との交流をしていくことが大切であると改めて感じました。
自分の中の迷いを、自分の頭の中で考えて答えを出していくことはもちろん大切なことだとは思いますが、今回紹介したような色んな価値観が得られる場所での交流から得られるものもきっとあると思います。
「松本亭一農舎」は宿泊だけでなく、イベントや仲間内だけでの宴会、研修会等としても利用できます。興味のある方はぜひ行ってみてください!
ゲストハウス松本亭一農舎 | Guest house Matsumoto-tei Ichino-sha (1no.jp)