未来ラボでは、「山形と関わる自分のこれから』を見つけるために行動する人を「研究員」とお呼びし、模索してきた記録や想いをまとめた研究員ノートを寄稿して頂いています。

 

今日の研究員:たかこさん

国際協力を実施する日本政府機関に勤めて11年目に突入。
「人の健康を支える仕事✖️世界で活躍する仕事」、「自己成長できる仕事」を志して大学院卒業後に東京へ上京、アフリカを中心とした世界への出張、日本国内も元気にするという、やりがいのある仕事をしながらも、キャリア一時休戦で、育休を長期間とり、実家の山形へUターンして自然の中での生活を送っているきっかけを、3部作にてお届けします。

前回のストーリー⬇︎

1・きっかけとなる切符|研究員ノート

 

 

いざ、屋久島へのリトリート旅。3泊4日での気付き。

こうして、粋な夫から家族4人全員分の屋久島行きチケットをプレゼントしてもらった私は、それぞれの思いの詰まったその大切なチケットを無駄にする訳にはいかないと、出発に向けて、この旅で得たいこと、クリアにしたいことを書き出しました。体と心を癒してくることは大前提として、思考を巡らすより体感することを大切にしながら、以下の気付きは得てこようと思いました。

・子供達との生活で一番大切にしたいものは何か
・今、そして今後、どういう暮らしがしたいか
・実際、自然の中での生活は気持ちが良いかどうか
・今回の滞在で、私自身が解放的になり、癒されるかどうか
・子供たちが自然を楽しむ姿を夫に見てもらいたい(これは願望・・・)

仕事を通じてケニアで知り合い、生き方に共感する方(旦那様も尊敬する仕事上の大先輩、かつ人生の大先輩)が主催されたツアーだったので、期待しながらその日を待ちました。

そして、ついにやってきた屋久島への旅。山形とはまた違う神秘的な自然の中で、川遊び、温泉、トレッキングを楽しみつつ、夜はツアー参加家族の皆さんと一緒に子供も大人も自由な形で、料理を囲んで宴を交わしました。そんな3泊4日の生活で、私が一番気持ち良かったのは、川遊びでも、温泉でも、トレッキングでもなく、自然の中での「暮らし」そのもの。子供達を目の前に料理したり、料理の材料を畑から調達したり、薪を割ったり、お母さんたちと会話を楽しんだり。そんな時間の中で、以下の気付きを得ました。

・やっぱり私は自然の中で子育てがしたい(確信)
・週末や休暇時に自然に触れるスタイルより、自然暮らしを日々の暮らしとするスタイルを選択したい
・私が心の豊かさを感じやすいのは自然の中である
・子供が小さいうちはシンプルに「暮らす」ことを丁寧に積み重ねていきたい

そして、子供達は自然遊びをたっぷりと満喫。自然の中では、その場に行った瞬間から遊びや冒険が始まり、初対面など関係なく、みんなと友達になっている。あれがダメ、これがダメもなく、とにかく自由に楽しんでいる。そんな無理のない、楽しそうな自然の中での子供たちの姿を見た夫が、振り返りで発した言葉は、

「子供達が自然の中で友達と楽しそうに遊んでいる姿が見れて良かった」

でした。この言葉を聞けたことが何よりの収穫だった気がします。
こうして、出発前に目標としていた気付きをある程度得ることができた3泊4日のツアーでしたが、自然の中での暮らしを体に馴染ませる、自分の暮らしに何を取り込むかを選択をするには消化不良感があり、かつ、森のようちえんは体験することができなかったため、ツアー最後の振り返りの時間で、思いもせず・・「また来ます!」と発言していました。夫は苦笑いでしたが、どうぞという顔にも見えたので、実行することにしました。

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いざ、屋久島への修行。1ヶ月で得たもの。

その後、半年が経過した冬。今度は1ヶ月弱の滞在で、宿を運営しているご家族との共同生活にチャレンジしました。暮らしのお手伝いと、森のようちえんでボランティアをさせていただくことになりました。3才と1才の男児を連れた母子でのボランティア生活。その宿の暮らしは「地球に優しい暮らし」を徹底的に選択していて、ガスを手放した薪生活。私は田舎育ちではあったものの、これまでの生き方とはだいぶ覚悟が違う自然暮らし。受け入れていただいたことに感謝しつつも、何も貢献できないんじゃないか、途中で体調崩したらどうしよう・・・正直ドキドキで、ピリッと「修行」の気持ちで東京を出発しました。

 

薪を中心とする生活

薪生活は、薪調達、薪割り、火起こし、火の力に応じた調理順にお風呂時間・・・最初は全ての作業におどおどする気持ちでしたが、一度、一連の流れを任せてもらった時に、要領が分かり、心地よく、楽しくすら感じました。
火に合わせた生活リズムで暮らしが整い、家族がまとまる。火の力って理屈じゃない、と思える日々でした。何より薪料理はとにかく美味しい!

今の暮らしに取り込むという選択はできないけれど、想像でしかない画面越しの生活を体感してみることで、ハードルって下げることができるんだな、という気付きがありました。そして、ヘトヘトになってもう帰りたいと思ってもおかしくない状況で、心地よい疲れを感じながら1ヶ月過ごせたのは、火の力で癒しとパワーを得ていたからだと思います。

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ありのままを出す森のようちえん

森のようちえんでの子どもたちの時間は私が思い描く通りの過ごし方でした。それぞれの気持ちを尊重して、ゆったりとした自然の中での遊び時間を大切にする。異年齢の子が、昔、地域でそうだったように、自然な形で混ざり合いながら過ごす。個々の思いや感情を大切に、丁寧に、扱われ、海に行きたければ海に行き、牛に会いたければ牛に会いに行き、絵描き、木登り、絵本読み、砂遊び、ヒーローごっこ、かけっこ・・・自分たちがやりたいことをする。やりたくなければやりたくない、と、言いたいことは素直に言える。

自然の中に自由に溶け込む次男。そして、繊細で、汚れるのも嫌で、自分が出せない長男。どちらでもいい。ありのままを受け入れる。自然での遊びから気付くこともたくさんありましたが、見守る側の「スタンス」に多くの気付きを得ました。

ルールは理解できるようになってから知ればいい。幼少期は自分の気持ちを誰にも邪魔されず、ありのまま過ごせる環境で、これからも過ごさせたいと思いました。

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自分の思いを息子に伝える。

そんな1ヶ月の滞在で、一番大きかった出来事は宿のお父さんが長男に激怒したシーン。

毎日、夜と朝にやってくる私に対しての全力の甘え(ぐだぐだタイム)。何日か同じ様子を見ていて、耐えきれなくなったお父さんが、
「おい、いつまでも泣いてんじゃねぇよ。母ちゃんを困らせんじゃねぇよ。」とピシャリ。

長男は、怖くて、悔しくて、家を飛び出しました。

感受性豊かで繊細な長男は、今までとは違う環境に対して、そして、共同生活という初めての体験で、日々ものすごい量のエネルギーを受け取って、かつ放出して疲れ切ると同時に、色々な思いに対して消化不良を起こしていたのだと思います

そのやり場のない気持ちを毎晩全力で私に当ててくる。

ここまで出してくるかというほどの全力のエネルギーに感心しつつも、私もそろそろしんどいぞ・・・という時の一言でした。

外の暗いところで泣きじゃくる長男を見て、私は思います。

「自然の中での子育てがいいって、誰のため?」

どこかしらで、子供は自然の中で育てるのがいい、という気持ちもあったけれど、この体験をしにきているのは、長男のためでも、次男のためでもない、私のため。

私が直感を信じて自信を持って気持ちよく子育てをするため。

自分が一番良いと思える生き方を確かめたかったから。そう確信して、3才の息子に私の気持ちを言葉にして伝えることにしました。

「ママがあなたと一緒にこの経験したかったからここに来たの。一緒に来てくれて、ありがとう。」

泣いて泣いて仕方のない息子に対して伝えられる言葉はそれだけでした。
自分の思いを理解し、認め、息子に伝えられたことは、この滞在での一番の収穫だったように思います。

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大切にしたい母親である私の直感。

子供達が寝た後で、宿のお父さんとゆっくり話す機会がありました。その中で、そもそも私がここに来た理由(ストーリー1で記載しているような内容です)を話しました。その時に、宿のお父さんはこう言いました。

「お母さんの直感って一番間違いないと思うんだよね。」

大きな物事を決める時に、だいたい左脳優位で考えてきた私には、その言葉はとても響き、同時に、ほっとした気持ちにもなりました。

本当は誰よりも私がそれを心の奥底で信じてたんじゃない?
生命を育む母親の感覚、大切にしてみたら?

自分自身にそう話しかけている自分がいました。

私がたった今求めているのは、緑ある自然の中での暮らし。「暮らす」ことに軸を置いたシンプルな生活。暮らしを軸に家族が協力し合って、生きることを丁寧に繰り返す生活。そして、母である私が気持ち良くいられる場所。

さぁ、自分の直感を信じて、自分らしくいられる緑溢れる環境へ。

そう決意しながら、屋久島を後にしたのでした。

(続く)

滞在先 屋久島 Aperuyのホームページリンク→ https://aperuy.com

 

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この記事を書いた人

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