2021年3月から開催している「自分の未来をつくるゼミ」。
山形在住の人に話を聞き(取材)聞いた話をレポート記事にして未来ラボに掲載する、という活動を通して山形との繋がりと自分の「山形と関わる未来」を作っていくプログラムです。
今回ゼミに参加しているのは、山形県にIターン就職した人、数年以内に山形にUターンして何か「場づくり」がやりたいと思っている人、祖父母が営む商店を何かできないかと考えている人など、バックグラウンドも関心ごともバラバラな3人の『研究員』たち。
今回3人の関心が重なった米沢市でカフェ「Daizy cafe」とゲストハウス「Hataya」を経営されている植松さんにオンラインで取材してお話を聞いた内容のレポートです。
カフェ「Daizy cafe」とゲストハウス「Hataya」を立ち上げたきっかけなどは、こちらの『よねざわのわわわ』WEBサイトに掲載されている記事をあらかじめ見て取材に臨みました。
今回の山形で働く人
植松美穂さん
米沢市出身。米沢東高校を卒業後、カナダの留学しCICカナダ国際大学を卒業。東京のアパレルブランドで3年間働いたのち米沢にUターン。旅行代理店での勤務を経て、2006年にDaizy Caféを創業。2019年にGuest House Hatayaをオープン。
Q:米沢でカフェを開業して良かったと思うことはなんですか?
A:カフェを開業してから、友達が増えました。
お店に来たと人には何気ないことでも話しかけるようにしています。そうするとお友達になることが多いですね。
そうやってお友達になった方のうちの誰かが困っていたら、「それなら、あの人に頼むと良いよ」と情報提供して、人と人を繋げることをよくしています。
逆に何かを頼まれることも多いので、引き受けることが多いです。
屋根の雪おろしをやって下さる方がいたり、お米を持ってきてくれる方がいたり、本当にお客様に恵まれています。
そんな方たちに私はどんな恩返しができるのか考えています。
Q:地域の中で新しいことを始めるとき、大変だったことはありますか?
A:若いときにすごい勢いでカフェをオープンしました。飲食店も、お金を借りることも初めての経験。できた後に借金の多さに驚いたりしましたが、常連さんやスタッフのために頑張ろうと日々やっています。
「出る杭は打たれるけど、出すぎる杭は打たれない」という気持ちでやっていますね。
【研究者の視点】
大変だったことはある中で、自分の芯をぶらさない意志を感じました。身の回りの理解者を大切にすることが、自分のモチベーションを自分で上げると同時に、ファンが増えていく秘訣なのだと感じました。
Q、カフェ、ゲストハウスのターゲットは県外、県内どちらのお客様でしたか?
A、カフェは、米沢にはチェーン店のカフェやファミレスしかなかったので、チェーン店ではないお店がほしいなと思い、オープンしました。
ターゲットとしてはカフェが好きそうな若い女性でしたが、実際にカフェを開いてみると若い層からおじいちゃんおばあちゃんまで、幅広い層の方が来てくれました。
ゲストハウスのターゲットについては、外国人のご夫婦でした。外国人のご夫婦も来られますが、台湾人の団体グループが多いですね。
研究員の視点
カフェと聞くと私も若い女性がメインご来店されるのかなと思いましたが、幅広い層の方がいらっしゃるとのことで、常連の方なんかは指定席もあるとのこと!
周辺住民の憩いの場となっているようで、それは、植松さんの人柄がお客様を呼び寄せているのかなと思いました。
Q:ゲストハウスは、「すでにあるもの」を活用しているイメージです。
A:父母が住んでいる家はもともと機屋だったため、前は100人くらい織子さんがいて、住んでいたため空いている部屋が多くあったんです。茶室や日本庭園もあって、前からゲストハウスのようなことができたらいいと話していました。
色々なところで「やりたい」と話していたら、まちのコンペティションを紹介してもらい、そこで助成金をもらったことが始めるきっかけになりましたね。
父が一番乗り気で、自分で「番頭さん」と言っています笑。英語しか話せないお客さんに対しても、「お茶を飲んでいって」とお茶菓子も準備してやってくれています。
母は自分の家に人を入れるのに最初は抵抗があった様子でしたが、今は身振り手振りで外国からのお客様とも話しています。
ゲストハウスには日本に慣れている外国人の方や、東北のどこかに行く途中に経由することが来ることが多いです。
もともと7歳の娘は、10回くらいホームステイを受け入れており、ゲストハウスに来る人も遠くからくる友達のような感覚でいるよ。お客様は帰ってからお土産を送ってくれたり、SNSでつながっていたりします。
私自身はチェックインの時しか同席しておらず、父母の家にお客さんが来ているような感覚ですね。
【研究者の視点】
「やりたい」ということを周囲に発信していたことでチャンスが巡ってきて、それを逃さずつかんでいる印象がありました。始めるきっかけがあれば始められることは多くあり、つかむかつかまないかは自分次第なのだと改めて気が付きました。
ご両親がゲストハウス運営を楽しんでいるお話から、ほかの人と協働していくうえで「この人に出来るだろうか」と気を遣うのではなく、「やってみないとわからない」という一種の勢いが、何か新しいものを生み出すきっかけになるのだと思いました。
Q、ゲストハウスを始めるにあたって、修繕費用をクラウドファンディングを利用して資金を集めたとのことですが、差し支えなければいくらぐらいかかったのか教えて下さい。
A、READYFOR (レディーフォー)というクラウドファンディングを利用して120万円支援して頂きました。
用途は、シャワーボックスやトイレ、ミニキッチンなどの水回りが修繕費用です。
ゲストハウスの案をコンペに出したとき入賞したこともあり、色々な方と繋がりもできて、米沢工業高校の先生と繋がりができ、その建築科の生徒さんにおお手伝いしてもらうこともありました。
研究員の視点
クラウドファンディングを利用するという方法がとても今時だと思い、それらを利用することで、様々な人の助けを得ることができ、ゲストハウスの完成にまで至ったのだなと思いました。植松さんの行動力や発信力もゲストハウス完成に欠かせないものであり、見習いたいです。外に発信していく力も、とても大切だと感じました。
Q、海外から来られるお客様は何を目的に、どういう部分に魅力を感じて米沢へ来られている方が多いですか?また、県外からのお客様が来られることはありますか?
A、残念ながら海外から来られるお客様のほとんどは仙台や他の観光地を目的としており、米沢をメインとして来られているというのは宿泊された方から聞いたことがありません。
そういう部分では米沢ももっと頑張らなきゃなと思うところはありますね。米沢のことを紹介したりアピールすることもあります。
特に多く宿泊されるのが台湾人のお客様なのですが、台湾人のお客様は観光慣れしており、レンタカーを借りて東北を周遊されるというご家族や団体様が多くいます。
団体のお客様のみんなで泊まりたいという要望を叶えられることで重宝されていると思います。
県外から来られるお客様はそんなに多くはないのですが、来られる方は関東からの方がほとんどです。
登山や自然を目的とした単身で来られるお客様が多いですね。
割合としては日本人の方が一番少ないという感じです。
山形および米沢を目的として来られる方はほとんどいないという事実に驚き!山形の良さを発信する余地はまだまだありそうだという現状がわかりました。
また、外国人と日本人のお客様によって客層が大きく異なる点もとても興味深かったです。もしゲストハウス等を実際に運営するのであれば、このようなお客様の傾向や情報はとても役立つので、参考にしたいと思います。
植松さん、ありがとうございました!
「これからの山形との関わり方・繋がり方」を模索している3人にとっては、実際で米沢を拠点に活動している植松さんのお話を聞いて、スイッチが入りました。
Daizy café
992-0045米沢市中央2-8-36
TEL/FAX 0238-22-3222
駐車場:12~13台。「1人1台で来られることが多いので、お昼時は満車になります。14時以降は空いているので、ゆっくり出来ると思います」とのこと。
定休日:日曜日・月曜日
Guest House Hataya
992-0022 米沢市花沢町1-9-45
TEL/FAX 0238-22-3222
https://www.facebook.com/guesthousehataya/