こんにちは。東京都内在住の会社員、オオイズミです。

山形へのUターンもぼんやり考えている中、昨年「自分の未来をつくるゼミ」に参加したことをきっかけに、未来ラボの「研究員」として、自分が気になる山形の話題についてリモート取材をして将来のための情報収集&発信を行っています。

今回は、その第1弾をお届けします。

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ある日いつもの様にTwitterを眺めていたところ、山形県の老舗旅館・古窯が体験型グランピング施設をオープンという記事が目に入ってきました。

その名も「yamagata glam(ヤマガタグラム)」。

 

昨年の秋に長野でグランピングを体験し、自然の中で目を覚ます気持ちよさ、夜風の中で食べる晩御飯の幸福感を初めて知った私にとって、地元山形にグランピング施設ができることは吉報であり、その日からひたすらyamagata glamに関する記事やSNSを見ていました。

というのも、私自身が長野のグランピングステイを通してすっかり”長野好き”になっていたので、山形でもそういった「”好き”を生むきっかけ作り」をしてみたいと思うようになっていたからです。

そこで今回、yamagata glamの立ち上げまでの経緯、どんな人が運営をしているのかを株式会社 古窯ホールディングスの広報・マーケティング部課長、木幡さんにお伺いしてきました!

 

お話しを伺った方(今回のやまがたで働く人)

株式会社 古窯ホールディングス グループ経営戦略本部 広報・マーケティング部課長 木幡純一(こわた・じゅんいち)さん

yamagata glamの企画から、現在は広報も担当されていらっしゃいます。

 

目次

  • yamagata glamとは、どのようなきっかけで始まった事業?気になる”グランピング”のワケ
  • どんな人がyamagata glamで働いているんだろう?
  • 「何かをしたいけど、その”何”が今は無い。」そんな私が今からできることはあるだろうか?

 

 

ヤマガタグラムとは、どのようなきっかけで始まった事業?気になる”グランピング”のワケ

オオイズミ:「『もう一度山形に来たい』と思えるように~」とHPに記載がありましたが、yamagata glamのメインとするターゲットは山形県外のお客様ですか?

木幡(こわた)さん:はい。ターゲット像は20代の首都圏に住む女性Aさん、という感じです。

ただ、現在主に利用頂いているのは女性グループやカップル、子供連れのファミリーにもご利用頂いてます。また、今は新型コロナウイルスの影響もあって約9割が県内からのお客様です(取材日時点)。

県外の人をターゲットとしているのは、山形を外に発信していくという目的があるからでしょうか?

はい。というのも、古窯グループの企業理念(ミッション)が『今日、この瞬間に、最高の山形を。』だからです。

 

この時点では山形を代表する宿としての伝統と誇りをこのミッションから感じたのですが、それだけではありませんでした。進めていくうちに、”なぜ今回はグランピングだったのか”を理解するための大事なキーであるということもわかりました。

 

なぜグランピングという形だったのでしょうか?ヤマガタグラムが村山市にあると知った後、以前、村山市役所の方が「村山市は特徴がないのが悩み」と仰られていたを思い出しました。

 

生活様式が変わる中で、アウトドアでの非日常体験と家族・夫婦・友人と楽しめる「アウトドアでの非日常体験」と「美しい山形の里山・農村の文化体験の再発見」を目的” とした結果、グランピング事業という形に決まりました。

 

一方、村山市の碁点温泉には以前、雄大な最上川を目の前にゆっくりと寛げる小宿を展開する予定があり、敷地の所有まで進めておりました。

結果、小宿の事業を実施することはありませんでしたがコロナ禍の今、雄大なこの村山の自然ローケーションとアウトドアをかけ合わせたグランピングが最良と判断しました。

yamagata glamの敷地はイベントを行う分のスペースもあるので、エンターテイメントのショーを行ったり、近くにクアハウス碁点さんの温泉もあるので、人が集まる場所にしていきたいと思っています。

クアハウス碁点さんは元々人が集まる空間でしたし、我々も盛り上がっていくことで、地域の事業者さんとも一緒に盛り上がっていけると思っています。

 

古窯さんが格式高い旅館なので、グランピングとは意外でした。

そう言われることは多いですね。ただ、いろんな角度からアタックが必要と思っています。切り口が旅館だけだと機会損失が大きいと思っているんです。

既に展開している『山形プリン』もyamagata glamも、私たちのミッションの1つの表現のカタチなんです。山形プリンの場合、上山温泉のエリアにスイーツ処がないという問題があって、かたや古窯で出してるプリンがお客様からの評判がよかった。そこで、スピンオフとして窯プリンを作ってみたんです。

古窯グループのミッションから基づくと、いろんなものから山形の良さを切り出して発信することが大事と思っています。

 

そうだったんですね!実際に、村山市の皆さんの反応はどうですか?

行政や近隣の住民の皆さんからはとても好意的にお声をかけて頂いております。

暖かく迎えて下さり感謝しております。これからもっと一緒に創り上げていきたいと思っています。

 

ふむふむと。生まれも育ちも山形の私にとって、古窯の担当者様から「旅館という形にこだわっていない」という発言をお聞きしたことは驚きました・・・。ただ、お話しを聞いた上でもう一度企業ミッションの「今日、この瞬間に、最高の山形を。」を振り返ってみてみると、山形プリンの取りくみを含め、なぜ旅館以外の事業をされているのかが腑に落ちました。

 

また、インタビュアーの特権を活かし、「観光業を志す人ではなくても、古窯さんは採用を検討して下さるんですか?」と、ここまでのお話しを伺って気になった質問を投げかけてみました。すると、「もちろんです。」と!観光業目的ではなくても良く、間口を広く持っていますとのことでした。これまた意外でした!実際に、事業の取り組み方やスタッフさんの仕事内容に関しては、観光業の枠に捕われず、ユニークな会社である印象を受けました。この後の内容にて詳しく触れていきます!

 

どんな人がヤマガタグラムで働いているんだろう?

木幡さんはヤマガタグラム立ち上げの企画段階から入られていたんですか?

はい。ただ、私はターゲットをどうするかなどの企画はやっておりましたが、現場に関するアイデア出しや施設内の設営は、ターゲットに当たる古窯の若い女性スタッフにアイデア出してもらっていて、装飾も自前でやっています企画のはじめの段階から旅館で仲居や配膳を担当していたスタッフをアサインして、今はそのまま現地配属になっています。

立ち上げまでの間は、他県に出張をしてどんなサービスがあるのかの情報収集をしに行ったりもしておりましたが、今現場ではスタッフの「あれしたい、これしたい」を実行してもらうようにしています。yamagata glamには焚火やスモアを焼くアクティビティがありますが、それも現場スタッフのアイデアです。おかげで現場で働いているスタッフはみんな主体性を持ってやってくれています。

なんと、魅力溢れるyamagata glamのアイデア出しは若い女性スタッフが中心だったんですね・・・!
「お客様の接遇スタイル」は、旅館の古窯とyamagata glamとで違いはありますか?

はい。古窯のおもてなしは気持ちを伝えることを重視します。

一方、yamagata glamはより快適に滞在がしやすいこと、そして記憶に残る環境づくりの方に力を入れるようにしています。

例えば、今の時代は宿泊前後のお客様の動向をSNSで確認することができます。サプライズを予定している方がいらっしゃれば、その協力をさせて頂いたり、宿泊されたご家族で小さいお子さんがいらっしゃれば、テントの横にサンタからのプレゼントを置いたり。

どうせやるなら楽しく。スタッフが「良い」と思ったことをやっていっています。これって、古窯とは違って宿泊をされるお客様が1日8組限定だからこそできることなんですよね。

 

他にも今の時期だと、山形県民にとったら大変な雪かきや薪割りも、県外の人にとっては「やってみたい!」と思う貴重な体験だったりするんですよね。そんな体験含み、お客様や時期によって対応していくのもyamagata glamならではの接客です。

 

確かに!モノが豊かにあると言われるこの時代。いつでも、どこでも手に入る物ではなく、今、ここでしかできない体験をすることを私たちは求めているのかな、と感じました。冒頭に述べた私が長野にグランピングに行ったのもそうでしたね・・・。薪割りもマシュマロ焼きも星空ウォッチングもしていました・・・。

 

かなりユニークな対応、フレキシブルな対応のおもてなしを提供されますが、お客様にはyamagata glamのリピート利用や古窯への宿泊を期待しますか?

その点に関しては、自分たちは0から1にする、言わば「きっかけづくり」を作る役割であると思っています。山形に対する感情が0だった人に、実際に行ってみたら良かったと思ってもらえたらいい。その後の1から10にするところは、お客さんがしたいことを自由にやってもらえればいいと思っています。

「嫌い」と「知らない」は近い感情だと思うんですよね。そういったマイナスなものではなく、我々のサービスを経て、山形の印象、感想、思い出をプラスなものにして帰って頂きたいと思っています。

 

0→1のきっかけ作りいいですね!憧れます。ただ、教えて頂きたいのですが、私は山形に土地を持っている訳でもないですし、専門スキルを持っているわけでもありません。何かしたい想いはあるものの、”その何か”はぼんやり。そんな人は、何から取り掛かってみたらいいでしょうか?

「ないのであれば、作る」ですね!

その中でも、「これっていいよね」と素直に自分が思うものであったり、単純に好きなものから手をつけてみると良いのでは?やろうかなと捻りだして考えるものよりも良い。

もしくは、流行っているものを山形にカスタマイズしてやることですね。

なるほど。堅く身構えておりましたが、気負いしすぎず、自分の「〇〇が好き、□□したい」という気持ちに沿って実行していって良いんだな、と思いました。自分に自信を持っていきたいですね!では、すでにスタッフさんの「□□したい」を実行しているyamagata glamさんの今後はどのような展開が待っているのでしょうか?

 

「何かをしたいけど、その”何”が今は無い。」そんな私が今からできることはあるだろうか?

今考えている、今後の展望はありますか?

古窯グループとしては、旅館をベースに山形の良さを表現するコンテンツをたくさん出していきたいと思っています。

yamagata glamは旅館と比べてカジュアルなため、異業種とのコラボがしやすいことが強みです。

例えば、yamagata glamで提供している朝食は近くにあるパン屋さんのクロワッサンを提供しています。他にもアクティビティとして取り入れている船下りや、蕎麦打ち体験などもそうです。

古窯だと、外へのアクティビティというより館内だけで十分快適に寛げるように屋内で完結しておりますが、yamagata glamは体験をする宿なので、間口を広く構えて自由に挑戦することができます。

そういったことも含めて、村山市の町おこしをアウトドアというキーワードで進めても面白いかも知れませんね。

温泉、最上川、山々の景色、山形だからこそある環境が活かされていて、私も勝手ながらワクワクしてきました!

 

では最後に、観光業を目指す学生さんや将来の仕事探しをしている人に向けてメッセージを頂きたいです。

はい。「自分の好きなことを知ること」ですね。

自分が何時間でもできるものが何個あるか知る。次に、好きなことを知ったら、それを実現できる場所はどこかなのか。どこか会社に入ったらできることなのか、またはどこの会社でもできないのなら自分でやるべきか、と考えると選ぶ道が見えてきます。

 

選ぶことに関して、自分の例でお話しすると、

私はカメラや動画の編集、映像をつくることが好きなんです。

その中でもカメラ選びのとき、この機能はOK(好き)、この機能はNG(嫌い)ということって出てくる。

その際は、この自分の”好き”と”嫌い”を知った上で、2つの配分がどのバランスまでであれば自分は良いのか、やりたい目的が達成されるのかを考えてみる。

 

こういった、好き/嫌いのバランスを確認することと、どの位のバランスであれば自分は満足できるのか、我慢できるのかを知ることって、実は仕事選びにも通じるものかなと思いますね。

木幡さん、ありがとうございました!こちらの記事には書ききれませんでしたが、木幡さんが古窯に入られた経緯や考えもお聞きし、新しいこと、面白いこと、山形が好きな人が働かれている古窯グループだからこそ、昔も今も多くのお客様に好まれる旅館・サービスが生まれているんだなと思いました。私もまた古窯やyamagata glamに泊まりに行きたくなりました!

 

 

さいごに オオイズミ、ネクストステップに向けてのメモ

山形を好きになるきっかけ作りをしたい、けど何からしたらいいだろう?と悩んでいる自分に対して、1つの答えが浮かんだ気がしました。

「いいな」と素直に思うもの、「好きなもの」を知っておくこと。

その好きなものに触れる機会を作ること。そして、山形にカスタマイズできるか考え、作ってしまうこと!

働いているスタッフさんが「いい」と思うものをサービスに反映しているyamagata glam。

自分の「いい」「好き」は誰かにとっても「いい、好き」になるはず!ですね!

(話を聞いた人)オオイズミ

山形県山形市出身。山形西高を卒業後、上京。某ECモールを運営するインターネット会社に勤務しており現在は都内在住。無事結婚もしたところで、これからの生き方・働き方を絶賛模索中。ゆくゆくは、と山形へのUターンを検討しています。山形”関係人口”として山形の企業、事業者様に知りたいこと・聞きたいことを伺っていきます。

 

 

グランピング施設『yamagata glam』

WEBサイト:https://yamagata-glam.com/

 

 

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この記事を書いた人

未来ラボ研究員

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