車社会の山形県。
ややもすると、『職場と家の往復で、変わり映えしない毎日…。なんか、おもしろい事ないかなぁ…』となりがち。
おもしろい事は待ってるだけじゃやってこない。
「仕事」の他に、「2枚目の名刺」持つ人の暮らし、のぞいてみませんか?
テーマは「クリエイターが活きる土壌をつくる!」
山形には、ものづくりを趣味ではなく本気で取り組んでいる個人が数多くいます。
「とても素敵な作品をつくってるのに、意外とその存在は知られていない」と感じたことから、「少しでも多くの方に、こういった作家さんや作品を知って欲しい!」と、山形の“ものづくり作家の活動支援”を行っているTさんにお話しを伺いました。
編集部:Tさん、はじめまして!Tさんは、『山形の“ものづくり作家の活動支援”』を行っているそうですが、本業は、会社員なんですよね?
Tさん:はい、普通のサラリーマンです(笑)
編集部:この活動のきっかけはなんだったのでしょうか?
ニットクリエイターの同級生との再会をきっかけに「プロモーター」活動スタート
Tさん:2013年の冬に、中学校の同窓会に参加したんですが、そこで22年ぶりに再会したとある同級生(栂瀬真:とがせまことさん)が、今山形県を代表するニットクリエイターになっていました。驚きましたね(笑)
栂瀬が、米沢市で展示会を開催するって案内もらったんで、展示会を見に行きました。そこで彼のニット作品を初めて目にしたんですけど、作品を目にして、すごい感動したんですよ。10代の頃は体育会系だった(?!)彼からは考えられなかったです(笑)
彼の手先の器用さと、創り出される色合いに感動し、「もっと栂瀬の作品を皆に知ってもらう為に出来ることはないだろうか?」と考えるようになりました。
さらに彼と話をしているうちに、個人でものづくりをしている人は山形に多くいるが、人に知ってもらう機会はみんな結構少ないという実情を知ったんですね。
当時から、僕の会社での仕事内容は“事業戦略”。そのスキルを活かして、ものづくりをする人たちの力になる方法をこのころから考え始めました。
編集部:クリエイターになっていた同級生との再会からスタートしたんですね。
Tさん:そうなんです。
編集部:「ものづくり作家の活動支援」は、何からスタートしたのでしょう?
Tさん:ある日、プライベートで上山市の長屋門ギャラリーをたまたま訪れたんですけど、このギャラリーは一般の方が安価で借りることができると聞いたんですよ。お、これはクリエイター栂瀬に教えてあげようと思って、さっそく彼に「ここで展示会をしてはどうか」と提案したんです。すると、逆に彼から、「Tが、展示会を“企画”してみるといいんじゃない?」と逆提案を受けたんですよ。
まずは、やってみよう、という気軽な気持ちから、その提案に乗ってみることにしました。ニットクリエイターの栂瀬の他に、段ボール会社を運営しつつ個人向け商品開発をしている瀬川宗穂さん、あーと書道家の未来さんという、山形県内で創作活動を行っている2名のアーティストを誘い、2013年8月、《僕が好きな3人の作家展》というタイトルで展示会を企画・開催しました。
展示会は、たった2日間の会期にもかかわらず、多くの方に来場して頂きました。その様子を見て、「もっと山形県で活躍している作家の作品を皆に見てもらえたらいいな」と、思ったんですよね。
編集部:そこから、”プロモーター”という肩書で活動の幅を広げていったんですね。
仕事でのスキルを活かした、“ものづくり作家の活動支援”
Tさん:そうなんです。その後も、定期的に、山形県内で活躍するものづくり作家が参加するイベントやワークショップ・展示会などを開催しています。多くの人がクリエイターの作品を目にする機会を作ろうと、山形駅ビルS-PAL山形で、「山形若キ匠ノ市」という展示販売会を定期的に開催しています。
これらのイベントで、大切にしているのは、、“作品を並べるだけではなく、作家と直接話ができる”という事。 「見た目でわかる良さだけでなく、目に見えにくいこだわりを知ってほしい」「ご来場なさったお客様に作家一人一人の想いや拘りを直接聞いて欲しい」という想いから、お客様と作家が気軽に話せるような場づくりを行っています。
編集部:Tさんの仕事での専門は「事業戦略」ですよね?この仕事のスキルはこの活動には活かされていますか?
Tさん:そうですね。この仕事で培ったスキルを活かして、作家さんの活動の相談に乗ることも行います。
例えば、「作品を販売するには、いくらで価格を設定したらいいだろうか?」という値付けの悩みに対して、お客さんの”安く買いたい”と作家さんの”赤字にならないように売りたい”を、原価を考えながらバランス良く設定する相談に乗ったりなどして、活動の継続を支援しています。
活動の原動力
編集部:正社員として働く毎日に加えて、こういった活動を続けて行くチカラはどこから湧いてくるのでしょうか?
Tさん:作家さんが、ものづくりに向き合う姿勢、ですかね。展示会での出来事なんですが、出店したアーティストの1人である”段ボールを使って猫田君を創っている”瀬川さんが、お客様と接していないときに、材料である段ボールを手に取り、会場の片隅で試行錯誤していたんですよ。
瀬川さんは、展示会への出展を打診した時は、”おれは箱屋だから、作家として展示会に出るのはちょっとなぁ・・・”と、展示会への参加に対して、少し後ろ向きな反応していたんだけど、
展示会での僅かな時間も無駄にせず、商品を手に取るお客さんの立場になって”うちの素材で次は何を作ろうか?””こんなのを作ったら、喜んでつかってもらえるかもしれない”と考えているその姿に感銘を受けたんですよね。
こうやって何かをつくることにひたむきになっている人こそ、作家と呼びたいし、応援したいんです。それが、原動力ですね。
活きる土壌をつくるために
編集部:山形でも少しずつそういった作家やクリエイターの活動が認められつつありますよね。
Tさん:確かに、個人のものづくり活動や作家という存在が認められる土壌が少しずつ出来ている感じはしますね。ただ、個人のものづくり活動を継続していくことは結構大変なことだし、狭き門であることには変わりありません。だから、クリエイターがもっと”活きる”ような環境を作って行きたいですね。
編集部:どんな環境だと、山形のクリエイターは”活きる”のでしょうかね?
Tさん:そうですね。極論かもしれないけれど、山形県をものづくりの激戦区にして作品が山形県で認められたら一人前!」と言われるような地域になると良いのではないかと個人的には考えています。
だから、山形の作家さんの作品を県外に紹介していくだけでなく、山形の作家さんにとって、いい刺激となるような県外の作品や作家さんを県内に紹介していきたいですね。
編集部:Tさんが言うような土壌が出来ると、ものづくり作家として活躍したい人がどんどん集まってきそうですね!これからも、展示会やイベント、ワークショップ楽しみにしています!
■ Sally design plus! Facebookページ■
Tさんの活動は“Sally design plus!”という名前で行われています。
Profile
Sally design plus! 社員 Tさん
Sally design plus!とは、Sallyによるプロモーターとしての、またマネジメントデザイナーとしての活動名称です。(※ご本人の希望により、お名前・写真・本業 等の情報公開は控えさせていただきます。)