「強みを活かす」

大事だと言われているけれど、自分の強みを自分で見つける・把握するって案外出来ないものです。

今回は、

置かれた環境の中で”自分の強み”を見つけ出し、人との関わりの中でやりがいを感じながら、仕事の幅を増やし続ける・・そんな人生のヒントが得られるかも!

な、「高卒の現場監督から、お客様に選ばれる営業マン」になった男性の波乱万丈な人生をノンフィクションでお届けします。

 

仕事を「辞めたい」わけではない。守らないといけない家族もいるし、生活にそんな不満があるわけでもない・・。

でも、少しだけ欲を言えば「自分が誰かの為になってる」という実感だったり、本当はもっと「仕事の中でやりがい」なんかを感じてみたい。

そんなモヤモヤを抱えてる、あなたにも、是非読んで頂きたいです。

 

山形のおしゃれなイケてるお店請負人

最近、山形におしゃれなお店増えてます。

山形にもこんなお店あるんだ!って思う素敵なお店ですよね。。(うっとり)

これらのお店を手掛けているのが、今回インタビューする髙橋さん。

一番最近手掛けたお店、霞城セントラル24Ritz (Suite) にてお話を伺いました!

※2020年2月に取材しました。

 

——— 今日はよろしくお願いします!!さっそくですが髙橋さんって、山形のオシャレなお店をたくさん手掛けてますよね!

はい、現在は営業プランナーですが、僕は現場上がりなので、自分で設計や店舗デザインからお店の工事まですることができます!看板・デザインから工事までワンストップで店舗設計施工を行っています。

髙橋孝行(たかはし・たかゆき)さん

Profile

1979年生まれ。山形県長井市出身。()トップアートセクション/店舗設計施工、看板、デザインから工事までワンストップ。現場上がりの営業プランナーです。お店づくりを通して山形を盛り上げています!

人見知りの職人から営業へ。髙橋さんが語った逆境からの「営業マン」人生スタート!

——— 元々は現場の職人さんだったんですね!でも、「職人」と「営業」って全然タイプが違うイメージですが・・?

高校卒業後、看板内装業に就職して、本当は21歳の時に塗装業で起業しようと思ってたんです。でもその当時、付き合っていた彼女が子供を授かったのがきっかけで、リスクある独立はやめて、サラリーマンに戻って結婚しよう、と。その時に拾ってもらったのが、今の会社なんです。

——— おっと、最初からヘビーな話ですね!!

当時は貯金どころか借金(ローン)しかなくて、仕事も無職で、子どもが出来ましたと、彼女の家に挨拶に行く…なんてやばいですよね(笑)

——— それは、たしかに・・・(笑)

夜は運転代行で働いて、昼はハローワークに行くという生活をしていました。でも、子供も今から生まれるという現状だから早く就職先を見つけないといけない…と思っていたのですが、奥さんにやりたいことをやれって言ってもらって。

2週間と期限を決めてまたハローワークに行ったら、たまたまうちの会社が出てきたんですよ。すぐ電話をして面接をお願いしたのですが、最初はもう既に一人採用したと言われてしまいました。

——— 苦難は続きますね。。その後、どうしたのですか?

でも、僕、あとがないじゃないですか(笑) やりたい業種だったし、社長が帰ってきた偶然のタイミングで、自分で想いを直談判したんです。今の状況・経歴を素直に話したら、面白いと言ってもらえて。

元々は看板業中心だったけれど、これから内装業に力をいれていきたいというタイミングで、その戦力として採用してもらいました。

株式会社トップアートセクション

 

限界からの挑戦!売上げを倍増させた『チームの力』

——— 素直に、よかったですね・・!

使用期間を経て、無事社員になれて。その時も最初は現場で職人をしていました。人見知りでしたし、壁紙を貼ったり、黙々ペンキを塗ったり…。現場、好きなんですよね。

だから、30歳の時営業への移動を言われたとき、最初はやりたくなくて断りました。でも、次会社に行った時には辞令が下されていて・・(笑)

——— 社長…!でも、現場から営業に移ってどうでした?

本当寝る時間もなく大変なことも多かったけど、会社やお客様、なにより社長が好きだったので続けてこれたんだと思います。

最初は現場監督もやりながらでしたが、徐々に営業にシフトしていって、1年目は受注160軒だったのが、10年後に605になって。売上げも当時から比べて17倍くらい伸びましたね。

——— 10年で売上げ17倍!!?そんなに伸びた理由って、何なのでしょうか?

実は30代半ばで、売上が伸びなくなった時期があって。自分もギリギリというか…頑張っても限界、というのを感じました。

その時、朝日町で開催されていたブランディングのセミナーに誘われたんです。今までは本読んだり、人の話を聞くなんてしてなかったけど、偶然行ってみたら、内容がずこーーーんときまして。

——『ずこーーーん』と、言いますと??

自分がどれだけ調子こいていたのか、と思わされました。「自分が努力する」ということは出来ていたと思いますが、「人を育てる」というある意味いちばん大変なことが全然出来ていなかったのだと。

それまでは人に振らずに、現場も全部自分でやっていました。自分に仕事が来ているんだから、誰かにお願いしたら仕事がなくなるのではないか…という勘違いをしていて。

でも、セミナーを受けて『自分だけでやっているうちは、それ以上はできない』だから2年連続目標達成出来なかったんだと、気付かされましたね。

—— なるほど。”自分ひとりで出来ること”は限られる・・ということですね。

なので、次の日から実践したんです。クレドに『なるべく人に仕事をお願いする』『協力してもらえる人間になる』って書いて、机の引き出しに入れて毎朝読んでました。

社長にも人を育てたい・現場の管理の仕方を教えたいと伝えて、そこからは人を育てる方にシフトしました。2年くらいは…大変でしたね。

(Ritz (suite)オーナー安孫子陽平さん:このロケーションを活かし山形のお客様が高揚感を味わえる空間を提供したい)

『お店に対する想い・仕事の引出しやレスポンス。「お客様ファースト」とよく言いますが、まさに髙橋さんこそ当てはまる言葉であり、信頼しています。』

 

人を育てることにシフトした結果、受注は拡大。自分ひとりではなく、チームで連携を取ることによって時間がつくれるようになり、売上げが倍に!その後も、毎年目標を更新しているそうです。

 

“生きること”に必死だった。逆境を乗り越え見つけた「自分の強み」

——— すごい飛躍ですね・・! 髙橋さんって最初からそんな仕事に対するモチベーションがあったのですか?

全然!!20代は会社を良くしなきゃいけないプレッシャーに子育て…そしてお金もないので、目の前のことに必死でした。飯も食えないくらい貧乏だったので、遊びたくても遊べずすべてを自分たちでするしかなく・・。

——— 『辞めたい』と思ったことは、ないんですか?

今までが、酷かったので。実は学生時代に、もの凄くいじめられた経験があって。どうやっていじめられないで一日過ごすかなんて考えてました。

椅子に画びょうがあるとか当たり前でしたし、それこそ生きるのに必死でしたね。いじめられたくなくて、不良軍団にも入ったり(笑)

——— なんと・・。髙橋さんの人生って、最初からキラキラしてた訳じゃなかったのですね・・。

そうですよ!でも、その経験があったからこそ、人の優しさが身に染みるというか…。今では原動力になってます。社長には自分を拾ってもらったことが感謝ですし、会社の誰よりも働いている、そんな仕事の姿勢も尊敬してます。

少しずつ自分の仕事も「誰かのためになってる」ということを感じられるようになって、んどん他人の為に『他人本位』にシフトしていったら、徐々に自分自身も変わっていきました。

——— 自分本位じゃなくて『他人本位』とは?

Ritz Garden(リッツスイート1号店)も、彼が起業する時にお店の場所を探すところから、それこそマーケティングも一緒に考えました。

「お店を流行らせたい、お客さんに喜んでもらいたい…」と必死にがんばって、お互いに勉強して。自分の為じゃなく、お客様の為に。そうすると、僕も一緒に成長するんですよね。

僕自身もただお店を作るのではなく、飲食やマーケティングの勉強、銀行や不動産屋さんとの関係構築などやり続けていたら人脈が増えてきて・・。

自分の出来ることも増え、今では有難いことに、たくさんの声が掛かるようになりました。

——— お客様のために、いろんな勉強もされてるんですね。

はい、そして僕は「現場上がりの営業マン」なので、もし問題が起きても即対応できるし、最悪自分でも対処できる。お客様の困り事が、その場で解決できるんです。

飲食店を出したい人がいたら一緒に現場を見に行って「大体このくらいの予算で出来る」というのが、その場で言えるんですよ。

現場を見てるからイメージもできるので、大まかなアウトラインの図面くらいはその日に作る、早いレスポンスを心がけてます。

——— 「現場」での経験が、髙橋さんの強みになっているんですね!

手探りの現場監督時代、わからないことは直接職人さんに聞いたり、その中で”コミュニケーション能力”も磨かれて、クライアントから直接僕に仕事の話も来るようになって・・。

設計・デザイン・マーケティング・不動産・予算組み・宣伝・補助金関係… etc. トータルでお手伝いすることができるので、お客様の『時間』と『コスト』を抑えることができる。

現場の職人も管理も経験してきたからこそ、できること。それが自分のキラーコンテンツ(強み)だと思うようになりました。

——— 下積みの経験が、全部繋がっている…。ひとつも欠かせない経験ですね。

本当に何も無駄な経験はないって、思います。

 

家庭の安定が仕事の躍進へ。父親の背中が語るものとは

子供も大きくなって余裕が出来てきて、家庭の中が安定したからこそ、もっと仕事ができているというところもあると思います。

——— そんなに仕事していると、子どもたちとあまり一緒に過ごせないのでは・・?

仕事で家に居る時間は少ないですが、家にいなくても関われることってあると思うんですよ。仕事をやり繰りして、スポ少や部活、子供会の会長も務めさせてもらいました。

そしてなにより僕が「仕事めっちゃ楽しい」って、そんな姿を見せることがいちばん大事だと思うんです。「社会人って楽しい!」という、将来社会に出る子供たちの意識を育てることが、親の責任だと思います。

——— 仕事も家庭も順調ですね!ズバリ、家族円満の秘訣は?

自分も成長して、奥さんに感謝を言うことができるようになった、奥さんが機嫌よくいられるように家庭でも配慮できるようになってきたところですかね(笑)

奥さん自身も仕事をしながら、家の事もしてくれる・・・。本当頭が上がらないです。

——— 思い切り仕事が出来るのは、家庭が安定したからこそなんですね。髙橋さんにとって、奥さんはどんな存在ですか?

世界一、尊敬しています。奥さんがめちゃくちゃ理解があるので、これだけ外で仕事ができる・・というのも売上が伸びた大きい要素です。

お互い結婚した時は若かったので我も強かったし、いろんな事が大変すぎて喧嘩ばかりでした。でも「子供のために」という風に考え方が変わってきて、お互いが『協力者』になった時、夫婦の関係性も変わっていったと思います。

 

 

髙橋さんから、山形の働く若者たちへメッセージ!

——— 貴重なお話、ありがとうございました!
山形県で楽しくor気持ちよくor自分らしくorいい感じに働くには、どうしたら良いでしょう?

 

①目の前のことに、全力で向き合う

僕も最初から目標があってやってきた訳じゃなく、途中まではわからなかったので・・。でも、目の前のことを毎日一生懸命やっていたんですよね。

将来こうなりたいとか色々あると思うんですけど、毎日コツコツ努力できない人が、10年後に目標が達成できるか?といったら、難しいと思う。まだ目標がなかったり、やりたい事がわからなかったとしても、まずは毎日を一生懸命生きてもらいたいです。

——— 毎日の”積み重ね”ですね。

それは仕事だったり、恋愛・趣味…なんでもいいんですけど、与えられた・置かれた環境で必死にやってみる。

そしたらその先にやりたい事に繋がったり、最終的に自分の強みになったりする。下積みを経験している分、その部分は崩れにくいので、成功しやすいとも思います。

 

②イエスマンになる!

僕、イエスマンなんです。きっとここまでできるようになったのも「わかりました、やります!」と、全部言ってきたから。やれなくても(笑)

例えば、パワポ(PowerPoint)を触ったことがなかった時に、プレゼンを頼まれて。でも、一週間後にはプレゼンに行きました。昔だったら「パワポもわからないし、プレゼンなんてできない…」と断ってたところを、やりますと言うことによって、その準備の過程で自分も成長できる。それって結果的に、絶対マイナスにはならないと思うんですよ。

——— たとえやりたい事じゃなくても”挑戦すること”が大事なんですね!

頼まれ事は、試され事。それにどうせやるんだったら、喜んでやります!と言った方が、気持ちいいじゃないですか。

 

③利他の精神を持つ

昔は自分本位だったのが、今は仕事も何もかもすべて、時間もお金も人のために使いたい、関わる人を少しでも幸せにしたい、と思うようになりました。

そんな気持ちでボランティアやいろんな横(業種間)繋ぎの活動なども行っているのですが、その時に一生懸命に行ったことが、その後の自分の仕事に繋がったり・・。

——— 素敵な、繋がりですね。

自分じゃなくて、そこに来るお客様を幸せにしてもらったり、自分の仕事を通して、さらにいろんなひとを幸せにして欲しい。そうすると、いつか巡りめぐって…自分にも還ってくるのだと思います。

僕は『ものづくり』の仕事なので、ものづくりを通してまちづくりだったり…山形や身近な人の為に”自分のできること”を役立てていきたい。

たまたま手掛けたお店に行った時に、”満席で忙しそうにしている”そんな姿を見るのが、とても嬉しいです。

こんなちっぽけな自分でも、自分の強みで人を幸せに出来る・・そう感じられることが幸せであり、やりがいですね。

 

Editor’s comment

高橋さんの仕事を支えるのは、今までコツコツと重ねてきた経験と信頼。そして、今でも怠らない日々の努力。

いろんな人・モノゴトに関わって、向き合い、求められて・・はじめて気付く。「弱み」と感じる部分でさえ、別なところでは「強み」に変わるかもしれない。

自分の強みというのは”自分ひとりでは気付けないもの”なのかもしれません。

高橋さんの「仕事をコツ」を取り入れて、目の前のことに一生懸命向き合ったら、今までのあなたの人生・経験の中にある、まだあなた自身も気づいていない『自分の強み』が、浮かび上がってくるかもしれません。

たとえ遅咲きだとしても、厳しい冬を越えたらきっと、綺麗な花が咲くように*

 

おまけ:山形テイクアウト

高橋さんが、飲食店を応援するために、 Instagramで山形のテイクアウト情報をまとめることを目指して #山形テイクアウト を始動しました。

テイクアウト可能なお店の情報に #山形テイクアウトとつけて発信することで、山形のテイクアウト可能なお店情報をハッシュタグ検索できます。

その中から、さらにお店の情報を探しやすくするため山形の学生ボランティアさん達の手によっyamagata_takeout アカウントも誕生しています。

お店探しのヒントに、どうぞご活用ください。

https://yamagata-takeout.themedia.jp/

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この記事を書いた人

伊渕 南々絵

平成元年生まれ。県内の女子校を卒業後、東京の大学に進学。大学では社会心理学、主にビジネス心理学に興味を持ち『経営者のプロフェッショナリズ...

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