僕が地域おこし協力隊として鶴岡市の里山である大鳥地域に住み続けて1年半。そこでの暮らし・仕事の中で僕は人間らしさを少しずつ取り戻している。

僕は一昨年まで都会でしか暮らしたことがなかった。

小・中・高校時代を過ごした大阪ではボケ・ツッコみが日常茶飯事。大学~社会人2年間では横浜に住み、ビジネスの世界やネオン街など、刺激の多い日々を過ごしていた。

以前の暮らしを思い出すと、今の里山暮らしはあまりにも静かな環境。けれど、物足りないかといったらそうではない。勿論、パソコンで事務仕事もするが、農作業や草刈りもするし、道なき山に入っては狩猟もする。そうやって自然を相手に体を使い、頭を使って企画や事務処理をする中で感性と理論の両方をバランスよく使うことの大切さを実感している。

理論に偏り過ぎてしまう仕事は不自然。

東京で仕事をしている時はメーカーの営業をしていたが、業務内容としては見積もり作成・報告書作成・受注処理・納期管理・日々のメール処理と、お客さんの所へ営業、たまにクレーム処理があった。殆どがパソコンと電話、対人コミュニケーションで完結する仕事。

論理的に、効率的に仕事を処理することが多く、その組み立て・進め方が上手な人ほど仕事が早い、仕事が出来ると賞賛されているような気がしてならなかった。理論が先にあって、仕事が進んでいく。だから会議ではやれデータを出せ、信用調査を行え、利益計画を出せとなる。

それも勿論大切なのですが、データ信者では話は前に進まないし、そんなことを繰り返しているうちに段々やる気も無くなってくる。

データも勿論参考にはするけれど、大切なのは相手がどういう人なのか、自分が信じていい相手なのかどうか…をコミュニケーションの中で感じることだと思う。だって、「やろう!」とか「やめよう!」という決断の言葉自体が気持ち・感性を表した言葉だから。

自分の感性を無視してはいけない。そんなことを僕は山形で体験した。

「死ぬかも!」と感じる体験も、人間らしさ。

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45°はあるんじゃないかという斜面をひた歩く…。

僕は鶴岡市の里山である大鳥にきてから死生観が大きく変わった。2014年1月に狩猟免許と銃所持許可が揃え、4月下旬に生まれて初めて熊猟に連れていってもらった。

鉄砲・弾丸・食料などを持ち、残雪が残る山道をアイゼンを履いて休みなく登る。猟場についたら熊を探し、巻狩りという手法でクマを追い込み狩りに成功。

息を引き取ったクマが解体され、分担して持ち帰っているその途中、急斜面の残雪を歩いている時に僕は滑落をした。


雪のヘリが残っているところギリギリでなんとか止まり、猟友会の人に助けて貰ったが「あと2m落ちていたら川に落ち、死んでいた」と言われた。足が震え、声が出なくなり、恐怖に襲われながら命からがら帰路へ着く。集落に帰ってきた時はホッとして自然と涙が流れてしまった。

「こういう歩き方をしたら滑落するんだな…」ということが感覚としてわかったし、「普段は生きていることが当たり前のような感覚でいるけれど、あっけないくらい一瞬で死ぬ可能性もあるんだな…」というのを体で学んだ。それから僕は「死にたくはないけれど、明日死ぬかもしれない。だから、できるだけ生きたいように生きよう」と決めた。

人が生きる世界は、理論・理屈だけで収まる世界では全然なくて、むしろ「ワクワクが止まらない!」とか「これ以上やったらヤバい!」といった欲望・危機感の上に成り立っていて、その原動力が一個人の感性。

社会の中で生きるということ=誰かと折り合いを付けていくことではあるのですが、そればかりを重視していると、自分が楽しくない。幸せを感じられない。たまには自分の感性に素直に従って行動すること。その中で幸せを感じることが大切なんじゃないかなと思います。

感性⇒理論で動いていく。

散々、感性が大事だという話をしてきましたが、理論も大切。誰かから「私はこれをやりたいんだ!だから協力してくれ!」と言われるだけでは、共感できないですよね。他人が理解・共感しやすくする言葉が理屈であり、理論である。

自分を動かす原動力である感性と、自分の行動を誰かに説明する、協力をお願いするときに必要な理論の両方をバランス良く磨いていくことで成長していけるのかなと思います。

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先日開催したロケットストーブワークショップの集合写真♪

ただし、自分の感性がものの始まりで、それを加速させていくための理論・理屈という順番だけは間違ってはいけないのかなと思う。偉そうなことを言う僕も大それた人間でも無ければ、常に自分に素直に生きているわけではありません。

けれど、自分の感性を大事にして生きることを山形で学んだ。感性に従って行動することも少しずつではあるが増えてきた。山形での暮らしも月日が流れるにつれ、楽しくなってきた。


そして、そんな暮らし・働き方を発信し続けることで「山形で生きるのも良いよね♪」と少しでも思ってもらえるように日々精進していきたい…。

せば、またの。

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