いつかは故郷の山形に戻って活躍したい。自らの可能性を新天地の山形で見出し、精一杯力を発揮したい。そうした想いを心の片隅に抱えつつ都会で頑張っている方は、意外と多くいらっしゃると思います。

株式会社キャリアクリエイトが、そんな“山形が気になる”ビジネスパーソンのみなさんに向けて、挑戦を続ける山形県内の「攻めの会社」をご紹介する、このコラム。

今回は、「会議が変われば、人が育つ。人が育てば、会社が変わる。」をモットーに、会議指導に重きを置いて経営コンサルティングを行っている株式会社アルファ・コムに伺いました。

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佐藤社長にお話をお聞きしました。

 

経営コンサルとはどんなお仕事ですか?

経営に関する相談相手ですね。
経営者は孤独です。自社で問題があっても、社員に相談するわけにもいかず、ましてや他の社長には相談できない。社の事情が広まってしまいますからね。
私達は、セカンドオピニオンとして、意見を伝える事が仕事です。
また、年齢に関係なく若い方でもいろんな企業の経営の根幹に入っていける。大変だけれども、他ではなかなかできない仕事だと思います。

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このお仕事に就かれたきっかけは?

以前、私は地元の金融機関に勤めていました。当時、リレーションシップ・バンキング※1という考えが出た時で、今まで、お金を貸す・預金してもらうばかりだった銀行が、今度は経営支援に入らなければならなくなったんです。
けれども、商店街や企業を回って聞き出そうとしても、金融機関からお金を借りられなくなるのではとの不安から、悪い事は言わず、ましてや決算書を見せてくれる事はなく、結局、支援に結びつきませんでした。
このままでは支援にならないと考えていた時に、会計事務所なら、決算書を作ってもらっているので隠しようが無い、そこからの支援効果は絶大なのでは、と感じたためこの会社に転職しました。

元々、銀行マンではあったのですが、数字が苦手で(笑)最初から会計業務ではなく、経営コンサルの道を歩んだのも、そこがキッカケだったのかもしれません(笑)

しかし、数字は共通語で、絶対に重要なもの。ですから経営していく上で、理解は必要になってきます。

私がセミナーや塾で、数字が苦手な人でもわかりやすく、興味をもってもらえる様に伝えている内容は、私がどうやって理解したかかが、ベースになっています。

ですから、いきなり数字や勘定科目から伝えるのではなく、図形などのビジュアルから、決算書の内容を伝える様に工夫しています。

※1金融機関の経営手法の一つで、長いお付き合いをする中から金融機関が借り手となる経営者の資質、事業の将来性等に基づいて融資を決定すること

 

ーーそうして独自のコンサルの仕方を身につけていかれたんですね!

 

自分の場合、コンサルに関して教わる人がいなかったので苦労しました。京都に師匠と呼ぶ方がいらっしゃいますが、コンサルってこうと決まった形があるものではないので、ノウハウを教えてもらうというよりも、お客様のところに一緒に訪問して、社の雰囲気等内情がわかっていないと教えてもらいにくいんです。
それに、コンサルする際、相手となるのは企業の社長。若い時は、「若いやつが何言っているんだ、経営もわからないのに」と言われるのが当たり前でした。それでも話を聞いてもらうようになるまで、とにかく場数・経験を積むことに専念しました。
手ごたえを感じるようになったのは、3年ほどたったころからです。それも、年数というよりは、場数ですね。会議指導など数をこなしていき、会社としての共通項が見えてきました。

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若手経営者・後継者が体系的な経営の基本を体得する実践経営塾

 

コンサルティングをされていて印象的だったのは?

銀行から紹介を受けた企業で、支援に入った際は今にもつぶれそうな会社でした。
給料の遅配と、銀行への支払いもできない状態で、たたむかどうするかという瀬戸際でした。
そこに経営支援しながら銀行に返済し、徐々に経営が上向き、社員への賞与も出せ、今では銀行から借りて欲しいとまで言われるようになった事が嬉しかったですね。
何とかしたいという社長の想いと私の想いが合致し、社員にも立て直したいという気持ちが伝わったことがポイントだと思います。

コンサルに入って、私だけが何とかしようと思って社員に伝えても効果が無いんです。
社長・経営陣が、本当に何とかしたいと思っていて、その手助けとしてコンサルを頼んだということが明確になっていないとうまくいかないんです。
あくまで主体は社長・経営陣。
弊社では「志を持った人の力になる」ということをビジョンにしていますが、何とかしたいと思っている方への支援なんです。何とかしてくれ、と丸投げのところは難しいですね。

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各業界のトップセールスマンを講師に、営業のスキルアップを図ります

地元・山形にあるからこその強みを教えてください。

東京のコンサル業者にはノウハウも、蓄積した分析データ、専門性もあります。しかし、月1回訪問し、社長にインタビューして、ホワイトボードを使ってセミナーを行い終了というパターンが多いです。会社の空気感や土地の顧客、環境などを見ないで帰ってしまったりが多いかな、と。相談するにも、事前に質問をまとめておいたり、あとはメール・電話などでやりとりするしかありません。
会社では、コンサルに緊急に相談したい時があります。例えば「辞めたいと言っている社員がいるが、給料を上げて引き留めるべきか?」という時、給料を上げて引き留める理由とは?他の人との兼ね合いは?といった難しい問題でも、すぐに答えを出さなければなりません。
また、取引先が倒産し回収できないから銀行へ交渉するといった際に同行したり、年金を未納にしていて、差し押さえられた際に、年金事務所に同行し交渉したり。自分たちで対処を調べたり、知っている先にアドバイスを聞いたりと、様々な方法を考えます。

──しっかりと寄り添ったサポートが強みですね!

 

 

コンサルタントに向いているのは、いろんなことに興味を持つこと

──大切にしている事は何ですか?

楽しむということですね。プラス思考ということ。
支援する側なので、こちらが暗いと向うも相談はしたくないですよね。この仕事が楽しいと思ってやっていけるかどうか。ただマニュアルで動くだけでなく。
例えば、飲食店に行ったとして、同じメニューでも「さっきまかないで食べたけど、すごく美味しかったのでおすすめです!」と言ってくれる店員さんの方が、こちらも食べたいと思うし楽しくなりますよね。マニュアルがあったとしても、興味があって楽しいし好きだと思ってやっている会社さんは強いし、スタッフも輝いています。
難しいんですけどね。
でも、生活の8割は仕事なので、どうせなら楽しめる方が良いと思うし、実際、そうした会社は伸びていると思います。そういうふうにしていきたいというのが、自社での目標でもあります。

 

 

──どんな方がコンサルに向いていると思いますか?

コンサルタントに向くか向かないかは、いろんなことに興味を持つか持たないかだと思います。コンサルは経営に関して、いろんな相談を受けますが、様々な業種があるので、色々なことに興味・関心を持たないといけません。興味を持って聞けば相手も親身に話してくれます。反対に興味が無ければ深く聞き込めないし、相手も話したがりません。
また、経営コンサルだからといって、最初から社内の問題を話す方はほとんどいません。親しくなってから、ちょっと相談あるんだけれど…という感じでお話しされる方が多いですね。私は、弊社で行っているセミナーに参加してくださった経営者の方、銀行のビアパーティー、青年会、同友会などで知り合った方から、相談を受ける事が多いです。会ってすぐはキャンプの話題、音楽の話題などで、仕事の話はほぼしません。
私の営業スタイルとしては、車で走っていて「面白そうな会社だな」と思うと入ってみたくなるんです。興味があるので寄せてもらって話を聞き、仕組みなどを勉強するのも楽しい。趣味と実益が一緒のようなものです。旅行好きなのですが、旅行先の温泉で気づいたことなどをクライアントに話すのも、情報ですからね。

 

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──新入社員の育て方を教えて下さい。

とにかく現場に行く事が大事だと考えています。
弊社では、会議指導に重きを置いていますが、前回訪問した会社と今回の会社の会議の仕方の違い、どう感じたかをフィードバックしてもらうといったやりとりを半年くらい。次に、自分で会議の進行役をしてみることを半年くらい。そして、自分一人で訪問してと、徐々に覚えてもらいます。会議は場面によって違いますから。

また、知ったかぶりだけはしないでくれと言ってあります。
コンサルなら知っているでしょうと、その場で答えを求められることが多いですが、適当なことを言うと一気に信用を失うので、わからない時には持ち帰るようにしています。
何より事前準備が8割と言えるほど大事です。今は、言葉など調べようと思えばすぐ調べられますし、ある程度知っていてアドバイスしてくれると思っているので、呼び方など、基礎的な事は最低限調べていくようにしています。

時間管理なども社員たちの采配に任せています。それも勉強なので、自分でどうスケジュールを組み立てるかというのも必要なところです。朝礼や日報などでチェックはしますが、私自身、言われて動くのが好きでは無いので、「ここだけはやって欲しい」というところの軸がぶれなければ、それをどういう手段でするかは独自に任せています。

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──今後の展開を教えて下さい。

地元でやっていることが主軸ですが、山形を基盤にして、宮城・福島・東京にまで展開していきたいですね。組織を巨大化するのではなく、今までやってきたことを他でもやれるように、拠点を増やして広いエリアをカバーしていきたいと考えています。
また、イベント企画をしていきたいとか、バックパッカーで世界中を巡って、地元の企業をこうしたいと思っていて…というような企画ができたり、ディレクションして何かと何かをつなげてまとめ上げていけるような人に入ってもらって、会社の機能を広げていきたいですね。

 

社員さんからのメッセージ

○社長はいつも新しいことや先々のことを考えているので、私たち社員はそれについていけるように自分自身も勉強して成長していかなければな、という気持ちで毎日過ごしています。

○3月1日に入社したばかりなんですが、HPで佐藤社長を見つけて、チャレンジ精神がある人だな、と一目ぼれして、もう、この会社に入りたいと。ここしか受けていません!

 

編集後記

佐藤社長が信念と情熱を持って、自分なりのやり方を模索し、今のコンサルタントとしてのスタイルを作り上げてこられたのだという事を強く感じました。また、「楽しむ」という事を大事にされていて、その気持ちが社員さんにしっかりと伝わっていて、会社としての活気に繋がっていると感じました。
「楽しそう」を合言葉に、山形の企業間のコラボを図り、盛り上げて行って下さるであろう佐藤社長とアルファ・コムの展開が楽しみです!

 

※この記事は、東北経済産業局「平成28年度東北地域中小企業・小規模事業者人材確保支援等事業((2)事業)」の一環で制作しました。

Profile

株式会社アルファ・コム 佐藤淳さん

教師の夢破れ、銀行に就職。「悪い部分を見られると、融資してくれなくなりそうだから、銀行にはあまり見せたくない。話ししたくない」という商店街の店主や社長さんを目の当たりにし、「会計事務所ならお客様が裸になるから本当の支援につながる」と思い28歳で転職。

40歳で、関連の経営コンサルティング会社、株式会社アルファ・コムの代表に就任。現在は経営コンサルタントとして、「会議を通して人を育てる」を特徴とした経営支援を行なっている。ある時はラジオのパーソナリティー、ハードコアロックのバンドマン、DJの顔を持つ。刺激大好き人間。1人1人が個性を活かしながら活躍していく組織づくりをしていきたい。

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この記事を書いた人

株式会社キャリアクリエイト

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