こんにちは。つぶ亭の小関です。
前回記事:山形でリノベーション vol.1 空き家オーナーになってシェアハウス「つぶ亭」を作ってみた。
先日つぶ亭で、学生さんに作っていただいたピザ釜でピザを焼いて試食会を行いました。本当にピザが上手く焼けるのか心配でしたが、結果は大成功!これが本当美味い。お店で食べるのとは違う美味しさと充実感があり、自分たちで釜から作ったピザにみんな良い顔をしながら過ごしていたのが印象的です。ピザ釜作って雲海が見られる古民家で舌鼓。そんな贅沢ができるのも仲間のおかげ。感謝しかありません。つぶ亭でしかできないことをこれからも楽しく研究していきたいと思う今日この頃です。
居場所をつくる
さて、今回は「居場所」ついて掘り下げてみたいと思います。
居場所と聞いてまず何を思い浮かべますか?
具体的な場所、コミュニティ、社会的ポジションなど個人の背景には様々あり、定義づけは難しいものです。今回は居場所を「自分を表現できる場所」と捉えていきます。
場所とは何も物理的なことだけを指すわけではありません。所属しているコミュニティ、WEBなどのオンラインなども含まれます。というのも自分が何者であるかは居場所との関係性でしか表現しようがないからです。
仮に僕が前フリなしで「小関大介です!」と表現したところで「え?誰?」ってなるわけです。前回記事で、クラシタスに所属している小関、つぶ亭を運営している小関、コミクルを運営している小関と表現するからこそ“何者か”が見えてきます。まさに身を置いている環境=居場所となるわけです。
居場所がないと人は不安になります。それは自分を表現できないことから存在意義が見出せないためです。これは結構しんどい。で、もっとしんどいのが偽りの自分を表現する居場所しかない場合。
地方には結構あるのではないでしょうか。良くも悪くも地方は世間が狭い。必ず誰かと繋がり、変な噂は独り歩きする。結果として特定の居場所だけでは息苦しくなります。
新しい居場所を形成する
昨今はSNSなどでコミュニティが作りやすくなりました。だれでもどこにいても簡単に新しいコミュニティに入ることができます。ただオンラインだけではなかなか「居場所」とまではいきません。オフラインで会うのは年に数回、もしくは会ったことがない人に自分を表現できる情報量はそう多くはないからです。
やはりリアルな場所での居場所づくりが必要だと感じています。きっかけはなんでもいい。オンラインで会った人でも構いません。一緒に空間をシェアするのとしないのとでは親和感はずいぶん違ってきます。文章、声、映像だけでは伝えきれない事がたくさんある。リアルでもシェアするための空間はありますが、OFFの時にもシェアできる空間はなかなかあるものではありません。
もっと気軽に、もっと自由に、もっと自然体でいられる場所を「居場所」と捉えたい。そう思っています。さまざまなシェアの形がある中でもシェアハウスは「家」なので自然体な自分を表現できると考えています。「住む」ことだけにフォーカスせずにその先に何を見出すかが重要になってきます。
地方でシェアハウス
欧米などで場所と家賃をシェアする節約目的でつくられたシェアハウス。日本も首都圏であればコスト面でのメリットもありますが、地方でシェアハウスに住むことで生活コストが下がるかというとそうでもありません。ワンルームのアパートなら1万円台なんていう物件もありますし、一軒家ですら同額で借りられる場合もあります。だから決して金銭的メリットだけの動機でシェアハウスという発想にはならないわけです。
ではどういったところに魅力があるのでしょうか。さまざまな価値観と触れ合える、コンセプトに共感できるといった「住む+α」に対し魅力が生まれています。自然とその+αにコミットした人たちが集まります。住み開き、アトリエ、クリエイター、猫付き、シングルマザー、国際交流、農業、etc…。さまざまなシェアハウスで有意義な居場所、新しい暮らし方が始まっています。
シェアハウスへの反応
現在プロジェクトとして進めている天童のシェアハウス。
僕が所属するクラシタスが原状回復(屋根交換、漏水修理など)、東北芸術工科大学の学生リノベーション団体くらしのもとが価値向上リノベーション(コンセプト、デザイン、仕上げ施工)、千歳不動産が運営、管理、アドバイス、お互いのリソースを活かしながら進めています。(なぜプロジェクト形式を取ったかというと空き家利活用としてのシェアハウスは山形では先進的事例だからです。)
オーナーさんも提案当初はシェアハウスというイメージが湧かず、築34年の住宅が本当に若い世代に良いと思ってもらえるような空間になるのか、どういった人が利用するのか、改装の仕上げがセルフリノベーションとはどういったものなのか、まさに雲を掴むような話だったと思います。
千歳不動産、くらしのもとに協力をいただき、山形市内、県内にあるシェアハウスやセルフリノベ―ションを施した物件などを見学。徐々にイメージを掴んでいただきました。オーナーさんの前向きな姿勢と関係者のサポートのおかげで結果として相談から約2か月でシェアハウス計画がスタートしたのです。
現在はくらしのもとが全力で改装工事を進めています。
おもしろいのが周囲の反応。改装前に近隣に工事着工の挨拶をした時の事です。
仕事柄、僕も工事着工の挨拶は今まで何度も経験があります。今回は二期に亘っての工事。クラシタスでの工事案内、くらしのもとでの工事案内があります。前者はいつもの通りの反応です。「○○工事をします。ご迷惑をお掛けしますがご協力をお願いします」という案内に対し「オーナーさんから聞いてましたよ」「お互い様だからね」と承諾を得る一般的な流れになります。
一方、学生リノベーション団体くらしのもとが挨拶した時は、今までの反応とはまるで違いました。「シェアハウスって学生が住むものなんでしょ?」「学生さんが工事ってどんなことするの?」とシェアハウスと学生によるセルフリノベーションに興味深々。
中には少し遠くで聞いていた方が「シェアハウス」「学生」というキーワードに近づいてきて「へぇ」と笑顔になる方もいらっしゃいました。
改めて地方でのシェアハウスの役割がみえてきたような気がします。
■「基点」となる居場所を「天童」に
天童シェアハウス「Productive Life 基点堂」は創造的な活動をする人たちの「基点」となる場所でありたいと考えています。ここは「住む」事だけにフォーカスせず、人、空間、アイディア、技術を共有し創造的な暮らしを実現する環境が整うシェアハウスです。
仲間が集いONもOFFも共にすることで、ONの時にOFFの過ごし方が見えてきてOFFの時にONの材料を見つける。そんな居場所にしたいと考えています。ONとOFFは分けるという考え方が一般的ですが、良い人生を送るという大枠で捉えればONもOFFも手段に過ぎない。だったら身を置く環境は大事にしたいと思いませんか。
結局一人でいるとモノゴトを考える時間があるから視野が狭くなり孤独を感じる。だからSNSとかオンラインの世界に走ってしまい、活躍している人と自分を比較し結果としてネガティブになる。デフレスパイラルなわけです。その考え方が仕事にも影響したら何も上手く行きませんよね。
稀に一人でも平気な超強い人間もいますが、ほとんどの方は一人でやることに限界を感じるはずです。仕事はどんな場所でもいい。でも住む環境は大切にして前へ進むきっかけとなる居場所づくりができればと日々取り組んでいます。
基点堂をちょっとだけ紹介
鉄骨・木造 地上3階建て
1階には浴室、作業部屋、物置、作業部屋は展示空間にも利用できます。
2階がシェアスペースとなっており、14畳のLDK、ゲストも受け入れ可能な8畳の和室を完備していてアイディアをシェアできる空間です。
3階は各部屋コンセプトの異なる空間を壁に演出。
Room1はスケッチペイントができる壁「創造の部屋」
Room2は廃材と棚がランダムに配置される壁「引き出しの部屋」
Room3はレンガタイルの壁「積み重ねの部屋」
あなたはどれにしますか?
日々くらしのもとが進捗状況をアップしています。
詳しくはFacebookページをご覧ください。
https://www.facebook.com/tendosharehouse2016/
次回は実際どのように基点堂をリノベーションをしているかご紹介しますのでお楽しみに。
前回記事:山形でリノベーション vol.1 空き家オーナーになってシェアハウス「つぶ亭」を作ってみた。