つぶ

「あー、なんかおもしろいコトないかなー。」

「もっと近くにおもしろいヒトいないのかなー。」

刺激がない、アイディアや自分の取組みをシェアする場所が極端に少ない、というのは『地方のあるある』ですよね。

東京に行けばおもしろいヒトがたくさんいて、接点と成り得る場所やコミュニティがありイベントは日常茶飯事。新しいコトに挑戦するにしても理解が得られやすいしシェアする環境が整っています

でも、山形でしたいんだよなー。山形が好きだから。

だから…、

自分でやってみました。

ケータリングバル㈰

 

はじめまして。リノベーション、やってます。

はじめまして。小関大介と申します。

地元の山辺町出身で、地元の工業高校の建築科を出てから、地元東北芸術工科大学を出て、クラシタス株式会社という住宅リノベーション企業に所属しながら、古民家シェアハウス「つぶ亭」と、NPO団体コミクルを運営しております。

これから、山形のリノベーションについて、記事を書いていくことになりました。よろしくお願いします。

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古民家シェアハウス「つぶ亭」を始めようと思ったきっかけは、

ー環境って超重要ー

ヒトは環境によって左右されます。環境というと広義ですが、身近なところでいう交友関係だったり身を置く場所だったりします。自分の心地のいい環境なら良いかというとそうでもありません。自分とは考え方や価値観が全く違うヒトと話をしたり、自分では経験したことのないような場所に身を置いたりすることで感性が磨かれ価値観が多様化します。

結果として楽しい毎日を送ることができるのです。

―山形にもおもしろいヒトはたくさんいる―

おもしろいコトをしたいなら、おもしろいヒトと一緒にいるしかありません。

はっきり言って山形にはおもしろいヒトはたくさんいます。でも、出会う接点が少ない。接点が少ないのは人口が少ないからではなく、場所やコミュニティが少ないから。コワーキングスペースやシェアスペースは増えてきましたが、使用しているのは特定の人だけ。もっと気軽に、もっと馴染みやすい場所づくりが必要です。

―おもしろいヒトがもっと気軽に利用できる、おもしろいことをシェアする場所をつくりたい―

ひと昔前は消費・所有することがステータスでした。ブランド品を持つこと、良い車に乗ること、マイホームを持つこと。今は生産・アクセスすることが重要です。価値を生み出すこと、アイディアをシェアすること、相手に与えること。それだけ個人でできることが多い世の中になりました。

でも、一人だけでは遠くまでいけないのもまた事実。仲間がいれば…と思うこともあります。

『PCのローカルには自分の作品がたくさん眠っている。ローンチしてみたいけどやり方が分からないデザイナー』『ウェブシステムはお手の物。マーケティングとデザインに関する事が苦手でその腕を発揮しきれていないプログラマ』『手に職はないが、アイディアとマーケティング知識のあるクリエイター』

仮にこの三者が同じ空間にいたら…

そう考えて作ったのが、

「古民家」で「シェアハウス」でした。

つぶ亭6

 

空き家オーナーになってシェアハウスをつくってみた。

古民家シェアハウス「つぶ亭」は、10年間空き家になっていた古民家を最低限改装し、個人で始めた場所づくりです。山形市のはずれ、県民の森近くの礫石(つぶていし)という交通機関もないし雪が多い超不便な集落にあるのですが、古民家、景色、水、地形などのポテンシャルの高さに惹かれました。

つぶ亭

つぶ亭が、一般的なシェアハウスと決定的に違うのは、住む事だけにフォーカスしないこと。

というのも、古民家はもともと「シェアスペース」だから。

古民家を想像してみて下さい。

畳の部屋がいくつも続いているイメージはありませんか?

これは「お客様のおもてなし」を軸に考えていたからなんです。古民家は、家族が住む部屋よりお客さんにきてもらうための部屋の方が立派。なぜかというと昔の家づくりは公共事業だったからなんです。

つぶ亭燻製会

 

昔は、現代のような各サービスは充実していませんでしたから、家が仕事場であり、居酒屋になり、冠婚葬祭の場にもなった。「普請(ふしん)」と言われ、社会基盤を地域住民で作り維持していく事を意味していました。

家がシェアスペースだったわけです。

だから、手間のかかる造りや太い柱とか梁とかがたくさん使えたのですが、現代では、古民家のような造り家づくりはあまりやる人はいません。それは、技術的な話ではなく、経済効率を考えたら誰もやらないというだけなんです。

高度経済成長期に世の中はぐんぐんと発展。現代は、冠婚葬祭は専門業者がおり、居酒屋は溢れていて、仕事は別の場所で行うようになり、結果的に、家の役割は「家族が住む」ことだけに絞られました。

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つぶ亭は、昔の古民家のように家をシェアする、シェアハウスです。

ただ、シェアするのが、「近所の人」や「住む人」だけではありません。

つぶ亭には3社のIT企業が入っているし、プロのシェフを呼んでお酒を嗜んでみたり、「つぶ亭で結婚披露宴出来ないか」という問い合わせもあります。

潜在化していた古民家の魅力を徐々に引き出せてきているように思います。(これからはシェアハウスという言葉のそのままに、活用コンテンツを増やしシェアの意味を広げていく予定です)

古民家はとても生産的な空間です。生産的な空間だからおもしろいヒトが集まってきます。

つぶ亭ライスポルノ撮影

古民家のような潜在資源を可視化し、利用してもらいたい人、利用したい人のマッチングを図りたいと考え、NPO団体コミクルも立ち上げました。

空き家というは把握が難しい上に、利活用には運営者が必要なので一般的な不動産紹介というわけにはいきません。決まったモノサシがありませんから、つぶ亭を初めとした事例を紹介し、これから空き家の利活用を考えている方へのサポートをしています。空き家以外にも廃校や農地などの資源と利用者のマッチングをしています。

話をまとめると、空き家利活用相談に対し、つぶ亭という実践型空き家コンテンツを事例にコミクルでマッチングさせ、必要なリノベーションはクラシタスという流れを作っています。

 

なぜ今、「シェアハウス」なのか

今は、建物がたくさん余っています。

空き家、空きビル、廃校などその活用が課題となっており、県内でも10件に1件が空き家でその数は46,100戸に上ります。(H25年総務省調べ)2033年には約3倍になるとの予測もあるのでますます深刻になっていきます。というのはあくまで表面上の話。実際は話半分といったところでしょうか。

というのもこの数字は、5年毎に総務省が実施している住宅土地統計調査に基づいたデータで、どのエリアにどれくらいの空き家があるといった詳細データはないのが現状。実態を把握しきれているとは言えません。

柏倉空き家→シェアスペース㈪

また、空き家が増えることで、何がどれほど自分たちの暮らしに影響が出るのかが分かりにくい点があります。行政やメディアが注目するほど空き家オーナーや近隣住民は実感が湧かないのだと思います。

と、諸々の事情から空き家問題は先進課題すぎてまだ着手しきれていません。

空き家は、大きく分けて二種類あります。「(需要が多い)市街地や住宅地にある空き家」と「市街化調整区域(ど田舎)にある空き家」です。

前者はいわゆる不動産情報掲載物件。もともと人が集まる場所なら「条件」でコトが済みます。”リフォーム済み”、”駐車場2台付き”、”駅から○○分”、”○○小学校学区内”、”築○○年”など、条件と価格が見合えば利用者が付くので、オーナー・不動産業者の2者だけで空き家対策を進めることができます。

柏倉空き家→シェアスペース㈰

一方の「市街化調整区域(ど田舎)にある空き家」だとそうはいかない。人がいないので外部から人を呼ぶ仕掛けづくりが必要です。必要だけれども人を呼ぶにも市街化調整区域という所はとにかく制限が多い。その名の通り市街化を抑制する目的の区域ですから営業や開発行為などが制限されています。

一番いいのは住んでくれることですが、そもそも人口減少しているのに加え、核家族が増えているので家が余るのは避けられません。いくら行政が補助金を出しても地域の受け入れ態勢を整えたとしても限界があります。条件ではない、反射的におもしろそうと思えるような場所づくりが必要です。

ケータリングバル㈬

業を行わない形態でなおかつ人を呼ぶだけの潜在的な魅力があり、空き家スペックをフル活用できるのは何か。そう考えた時に腑に落ちたのがシェアハウスでした。

田舎の家はとにかくデカい。核家族化が進む昨今では需要がありません。でも、シェアハウスとして複数の人間が利用するなら話は別。むしろ集まって何かをするなら大きい家、大きい敷地の方が楽しい。

だから、つぶ亭は一般的なシェアハウスにするつもりはありませんでした。

 

 

「リノベーション」で付加価値を生む

「リフォーム」が新築状態に戻すこと(キッチン(流し台交換)やクロス張替えなどが当てはまる)を指すことに対して、「リノベーション」は間取り変更など大幅に改装をすることで新築以上の性能、今までにない付加価値を生み出すことを指します。

最初から作り込まれた建物は、価値が目減りしていきます。新築ってそうですよね。市場価格的にも法的にも毎年価値が下がっていくのです。

最上空き家→ゲストハウス㈪

でも、建物の価値は決して既存のモノサシだけでは測れません。その証拠に、古民家の価値が見直されています。法定耐用年数の観点から言えば全く価値はありません。しかし、古民家への関心は年々高まり専門誌や専門サイトがあるように注目されています。耐震性も断熱性もない古民家に、既存の建物を選ぶ「条件」とは異なるところに価値を感じているということになります。

そしてリノベーションをした古民家カフェなどに人が集まり徐々に価値が高まっていくのです。こういった場所におもしろいヒトが可能性を感じて集まってきます。(冷静に考えてみると徐々に価値が高まるというのは自然な現象なのかもしれません。完成したてなのに一番価値が高いというは経済活動ならではの不自然な現象なわけです。)

つぶ亭飲み会㈪

実際、つぶ亭にはおもしろいヒトが集まってくれています。

でも、交通の便が良くないことが物理的なフィルターとなり、行きたいけど公共交通機関がなくて来れない方がいたり、ふらっと寄れる場所ではないことから多くの機会を逃してきました。

 

 

「つぶ亭」から、「天童駅前の空き家シェアハウス」への拡がり

そんな中、僕が所属するクラシタス株式会社に天童駅前の空き家利活用の相談がありました。

経年劣化から屋根や漏水個所などの修繕が必要な、築30年ほどの一般住宅。オーナーは、今後自ら住むというわけではないことから、どのようにして維持していこうか迷われていました。

・賃貸にしようか、いっそのこと解体してしまおうか…。

・賃貸にするにしても、3階建てである、駐車場が一台分しかない、前面にアパートがあり出入口が同じ、などの条件に加え、修繕のための設備投資や改装費がかかるなど、現実的ではない…。

・かと言って解体はもったいないし、解体すると土地の固定資産税が6倍になる…。

出口の見えない課題に、打ち合わせ中いつのまにか、お互い無口になっていました。

天童空き家→シェアハウス㈰

 

「利用者の層をずらしてみてはいかがでしょうか」

この一言でコトが大きく動き出しました。

建物の大きさから、普通に考えれば、住むのは家族が想定されます。家族で住むことが目的となると、立地、学区、築年数、駐車場、建物性能、価格といった既存の「条件」で他物件と比較されることが予想されます。改装費を掛けるわけなので家賃もそれなりに設定したいところですが、家賃があまり高くなるようだと、利用者が「もっと条件の良いところを見てみよう」となってしまい、他に選択肢が出てきてしまします。

一方、複数人で借りるシェアハウスなら別。

一人あたりの家賃は抑えられて満室になれば通常賃貸より収益性も上がります。利用者はデザイナーやアーティスト、プログラマなどクリエイティブな人に絞り募集する事で「住む」とは別のところに価値を見出すことができます。

最初は聞きなれない言葉に戸惑っていたオーナーも、事例などをお伝えしていくうちに話に花が咲き、空き家をシェアハウスにするという決断に至ったのです。

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こうして天童シェアハウスプロジェクトが始まりました。

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次回は、この天童のシェアハウスプロジェクトにフォーカスしてお届けしますのでお楽しみに。

 

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小関 大介

ライター情報

小関 大介

山辺町出身。東北芸術工科大学環境デザイン出身。クラシタス株式会社という住宅リノベーション企業に所属しながら、古民家シェアハウス「つぶ亭」...