現在働いている30~34歳の人の64%が転職を経験しています(出典:2018年時点における若年層(15~34歳)の雇用実態を調査した「若年者雇用実態調査」・厚生労働省)。

今の20代30代では、「終身雇用」の言葉は事実上終結を迎えつつあり、また『人生100年時代』を迎え、これからの働き方は上の世代とは違ったものになってくるでしょう。

あまり先のことを考えると身動きが取れなくなってしまいますが、どうせ働くなら楽しく働きたいですよね!

ライフステージ・状況が変わって、働く場所や職場が変わっても『また、あなたと一緒に仕事がしたい』と言われたら、今後の仕事人生にプラスになるはず。

今回は、Uターンしても依頼が途切れない敏腕営業マン・鈴木さんのこれまでのキャリアとその仕事術に迫ります。

起業・会社員など働き方に関わらず、デジタルマーケティングに関心のある方、いずれは山形に戻って働きたいと考えている方、営業職に携わる方はぜひ参考にしてください。

 

今回のやまがたで働く人

鈴木啓晃(すずき・ひろあき)さん

山形市出身。1985年生まれ。日大山形高校卒。日本大学法学部卒。通信インフラ企業に就職するも1年半で転職。2006年、技術系インターネット広告代理店「フルスピード」入社。この会社で営業の才能を見事に開花させ、20代で営業副部長、マネージャーへとスピード出世。13年勤めた後、20195月に山形へUターンし起業。デジタルマーケティング支援会社『CRAFH合同会社』代表取締役。妻と1歳の娘の3人家族。

 

社労士事務所を手伝いながらデジタルマーケティング支援会社を設立

――Uターンを考えはじめたのはいつ頃でしたか?

 父が自営業だったこともあり、いずれは起業したいと思っていました。東京で働き始めた頃は、マネージャーになったら辞めようと思っていたのですが、がむしゃらに働いていて目の前のことに精一杯で、いつ起業するのかという具体的な期限や人生設計ができていませんでした。

気づいたら30歳を過ぎ、責任ある仕事を任される立場になっていて、目標だった起業を考える余裕もなく、タイミングを失っていたんです。その状況を変えるきっかけになったのが、自分にとって大事な家族の存在でした。

――Uターンを決断するまでは迷ったり悩んだりしましたか?

状況が状況だったので、あまり迷わず決断しましたね。父の病気がわかったときは、ちょうど結婚したばかりだったこともあって、働き方だけでなくこれからの生き方や日々の過ごし方を考えるようになっていました。子どもが生まれたらどこに居を構えるか、家族に何かあったときどうするのかなど、いろいろ考えた結果、山形に戻ろうと決めました。

幸いなことに妻もとくに反対せず、山形に来ることを前向きに考えてくれたのでとても感謝しています。」

(*鈴木さんのお父様のご病気は幸い無事に回復され、現在は元気に過ごされているとのことです。)

――Uターンして起業されたとのことですが、今はどんなお仕事をしているんですか?

東京でWeb広告の営業をしていたので、その知識と経験を生かして企業のデジタルマーケティング支援を行っています。それと、父が経営する社会保険労務士事務所の仕事も手伝っていて、社会保険に関するウェブメディアを立ち上げて情報発信を行ったり、事務所の業務のデジタル化をサポートしています。

――社会保険労務士事務所とデジタルマーケティング。まったく違う業界ですね。

自分の中では全然関係ないことをやっているわけではなく、つながりのある中で仕事を広げていっているつもりです。1つのことだけをやっていたら行き詰まるような状況でも、他のこともやっていたおかげで思いもよらないところで売り上げがあったり、片方の仕事での経験や考え方が、もう一方の仕事で活きることもあるし、違うことをやっているようでも必ずどこかでつながるんですよね。

 

人とのつながりを大切にし、頼ってくれる人のためにできることをする

――Uターンを決断するとき、山形での仕事に対する不安はありませんでしたか?

実は、山形に戻ってもデジタルマーケティングでやっていこうと思っていたわけではないんです。ただ、会社を辞めるときにお世話になった方たちへ挨拶回りをしていたら、「お仕事相談できませんか?」とか「何か手伝ってもらえませんか?」と言っていただいたり、友人から「一緒に何かできない?」と言われたりして、そこから自然と仕事につながっていきました。頼ってくれる人の相談に乗っているうちに、今まで自分がやってきたフィールドの中で貢献できそうなことがあって、それが仕事になっているという感じです。

――人とのつながりで、今も仕事ができているのですね。それだけ、お客様や友人から鈴木さんが信頼されているということですね。

これまで人間関係を大事にしてきたから、今こうして仕事をいただけるのだと思います。山形に戻って来てからも、久しぶりに会った同級生から仕事をお願いされることがあるので、子どもの頃の自分にも感謝したいですね(笑)。信用される人間でありたいと思って生きてきて良かったなと思います。やはり親身に人と向き合うことが何より大事ですね。

――現在は、独立して一人でお仕事をしているんですか?

一人でやっているわけではなく、マーケティングギルドというSlackグループを作って仕事をしています。メンバーは元同僚や友人などさまざまですが、SEOコンサルタント、SNSコンサルタント、広告運用者、Webデザイナー、映像クリエイターが揃っています。それぞれ別な会社に勤めていたり自分で仕事をしていたりしますが、プロジェクトごとにチームを組んで仕事を進めるという形ですね。

 

マーケティングで大事なのは誰を幸せにしたいか

――デジタルマーケティング支援を通して、山形の企業に感じる課題はありますか?

人材の新陳代謝ができていないが故に、古いやり方を続けている企業が多いのかなと感じます。コロナ禍でデジタル化が加速している今、古い体制の会社はどんどんついていけなくなっていますよね。それはデジタルマーケティング云々というよりも、組織の体質や経営の在り方の問題だと思います。

――逆に山形に可能性を感じる部分はありますか?

山形はまだまだSNSで情報を発信する人が少ないので、その分、勝ちやすいという側面はあると思います。東京では発信者が多い分、情報も埋もれてしまいがちですが、山形なら他より少し頑張るだけで目立つことができるし、地元のお店は応援されやすい傾向にありますよね。積極的に情報発信しているところは他よりも集客できていると思います。

――デジタルマーケティングには、集客・接客・分析などいろいろありますが、成果を出すために一番大事なことは何でしょうか?

集客をする以前に、そもそも商品やサービスをどのように差別化して、何を消費者に伝えたいのか、つまりブランディングや市場調査をしないといけません。

僕はマーケティングで一番大事なのは「誰を幸せにしたいか」だと思うんですよね。その商品やサービスを誰に一番届けたいかを考えて、どういうメッセージを打ち出すべきかを考えるといいと思います。

それと、分析に時間をかけすぎるよりもPDCAをしっかり回していくことのほうが大切です。数字から読み取れることはいろいろありますし、もちろん分析はしますが、数値はあくまで指標であって、ゴールではありません。そこを履き違えたり、コンバージョンやゴールをチーム全体で共有できていないと、「あれ?何のためにこれやってるんだっけ?」となってしまうと思います。

――マーケティングにもトレンドがありますが、今はどんなマーケティングが主流ですか?

大きな流れで言うと、ファンマーケティングですね。人口減少社会では、限られたパイでいかにファンを増やすかが勝負になります。今は誰でもSNSで簡単に情報を発信できますし、ファンが熱量を持って発信してくれることで情報も拡散されていきますからね。

ファンになってもらうためには、目の前のお客様に対してどこまで期待に応えられるか、自分に何ができるかを考えてそれをひたすらやっていくことの繰り返しだと思います。

 

第三者からのアドバイスが自分に合う会社と出会うきっかけに

――鈴木さんは学生時代からデジタルマーケティングの仕事をしたいと思っていたのですか?

いえ、最初は全然考えてなかったですね。就活中は、安定よりも「自分がどれだけ成長できるか」という基準で会社を探していました。親が自営業と言うこともあり、自分もいずれは起業したいという想いがあったので、最短で成長しながら起業家になれるのはどこか?と考えていました。

でも最初に入った会社は、いろいろあって1年半で辞めることになり、転職エージェントから紹介されたのがWeb広告の会社でした。そのときはじめてWeb業界に興味を持ったんです。もし、一人で転職活動をしていたら、その会社は選んでいなかったと思いますし、そのときにWeb業界に足を踏み入れたおかげで、今こうして山形でも仕事をすることができているので、転職して良かったなと思います。

――転職エージェントの方からのアドバイスは役に立ちましたか?

自分に合う会社や、やりたい仕事が漠然としている中で、客観的に「鈴木さんなら、こういう会社が合ってると思いますよ」と提案してもらえたので選択肢が広がりました。自己分析やキャリアの棚卸しを通して、自分では気づかない長所や短所を第三者から指摘してもらえるというのはありがたいですよね。

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親身なフォローが結果的に売上にもつながる

――鈴木さんは若くして営業マネージャーに昇格されたそうですが、営業で結果を出すコツは?

自社の商品やサービスについて、自信を持てるまでとことん学ぶことです。競合他社について調べるのはもちろん、自社のサービス部門の人たちがどんなふうに仕事をしているのかを直接聞いて、「こういう人たちがこんなに頑張って作っていて、競合と比較してもこんなに良いところがあるんだから、絶対おすすめできる」と確信が持てるまで、情報収集したり話を聞いたりしました。そうすると、商談のときに自分の気持ちも自然と乗ってくるんですよ。そして、より相手に伝わる言葉や自信を持って話せる言葉を選んで商談することで、結果もついてくるようになりました。

――うまくいかないことはありませんでしたか?

若い頃はかなり大きな失敗もしてお客様からものすごい剣幕で怒られたこともあります。web広告の場合、サービスを提供しても結果が出るまでに時間がかかったり結果が思うように出ないこともあるんです。でも、うまくいかないことを会社や他人のせいにしないで、自分事として対応してきました。お客様は自分のことを信頼してサービスを導入してくれているわけですから、お客様のために自分ができることはすべてやるという姿勢が大事だと思います。

――誠実にお客様と向き合っているんですね。

数字を上げるのは営業職としてやって当たり前で、自信を持って提供した後にお客様を裏切らないために何ができるかを考えるところまでがセットだと思っています。

営業は顧客理解と期待値コントロールが大事ですが、これは経験値や知識を常にアップデートしていないとうまく対処できないので、日々勉強ですね。

サービスに満足してくださったお客様が、別なお客様を紹介してくれたりするので、フォローアップまで真摯にやることが結果的に数字にもつながるんですよ。

 

対話を通して多様な価値観を理解することが成長のカギ

――仕事で成長するためには、どんなことを心がけるといいですか?

やっぱり人を一番成長させるのは人との関わりだと思います。本を読むことも大切ですけど、リアルに人と話してその人の考え方や価値観を聞いたりすると、自分が気づいていないことを考えるきっかけにもなるし、思考の枠が広がります。そして、それをアクションに移すかどうかで世界の広がり方も変わってくる。特定のコミュニティや同じような考えの人としか付き合わないという環境だと、広がらないですよね。

――いろいろな人とコミュニケーションをとることが大事なんですね。

話す前は「この人とは考え方が違いすぎる」とか「この人は自分の敵だ」と思っていても、話してみたら全然違ったということもあります。すごく恐い上司でも一緒に飲んだら良い人だったり。もし、納得のいかないことがあったりモヤモヤするときは、何も言わないでいるよりきちんと話をしてすっきりさせようと思いますね。

――もともと積極的に対話をするタイプだったんですか?

いいえ。実は、過去にきちんと対話をしなかったことで後悔した苦い経験があるんです。その結果、残ったものは後味の悪さでした。だからこそ、自分自身が気持ちよく次に進むためには、相手がどんな人であろうときちんと向き合って話をするということを心がけています。

もし相手に怒られたときは、なぜその人がそんなに怒るのか、相手の感情の背景を考えます。自分にとっての「当たり前」だけでは通用しない事はたくさんありますし、とくに今は多様性が叫ばれる時代ですから、いろいろな人がどんな考えを持っているかに耳を澄ますべきだと思います。

 

 

自分の強みを生かしながら地方で暮らすという幸せもある

――いずれ山形にUターンしようと考えている若い人たちは、どんなキャリアプランを立てるといいと思いますか?

まずは今いる場所で結果を出して、自信が持てるまで頑張ってほしいですね。ある程度経験を積んで、会社を辞めてもお客さんから仕事をもらえるぐらいの力をつければ、住む場所を山形に移してもチャンスはあるのではないでしょうか。地方はとくにデジタルに強い人材が不足しているので、そういうキャリアを持った人材のニーズはあると思います。

大きなリスクを負わずに山形にUターンしたいのであれば、リモートでもできる東京の案件や山形の企業で副業するなど、ある程度の収入を確保して山形に戻ってくるのが現実的だと思います。

【参考】山形県内の企業に、正社員ではない形で個人が参画する、プロジェクト型人材マッチングサービス

――山形に戻って来て良かったなと思うことは?

空気がうまい!(笑)。あと、夕日を見て一日の終わりを感じたとき「東京ではこんな時間なかったな」と思いました。子どもを育てる環境も、東京より山形のほうがいいなと思います。ゆったり歩けるし治安もいいし、すごく安心できます。人として本来感じるべき自然が山形にはありますよね。

(西公園でそりすべり)

――都会から山形に戻って価値観は変わりましたか?

都会には魅力的なものがたくさんある分、それを手に入れるために頑張らなければいけない面もあります。良いマンションに住むために高いローンを組んだり、美味しいものを食べるために高いお金を払ったり。ステータスや競争のための生産と消費を繰り返していたら、どこかで無理が生じると思うんです。そういう世界とは違う幸せもあるんじゃないか?ということを、地方に来ると冷静に考えられますね。地方には、お店や遊ぶところがない分、時間的なゆとりや家族と過ごせる幸せがあるわけで、幸せのあり方や感じ方っていろいろだなと思います。

――これから山形でどんなことをしていきたいと思っていますか? 今後のビジョンを教えてください。

社名のCRAFHは、CommunicationCreativeRegionalActivateFutureHopeの頭文字を組み合わせたものです。山形のまだ知られていない企業や人の想い・アイデアを、デジタルコミュニケーションの力でより魅力的に伝え、地域社会が活性化されるように、未来へと繋いでいきたいという想いを込めています。

山形に戻ってきたからには地元を盛り上げたいですね。今後は自分で事業をやりたいと考えていて、山形をもっと楽しめる場所をつくる予定です。そこで山形の美味しいものや選りすぐりのものを紹介していけたらいいなと思っています。

 

 

編集長からひとこと

一番最初に鈴木さんと出会った(見つけた)のはTwitterでした。

『東証2部上場企業で30代で部長になった』というプロフィールを見て「す、すごい人だ…」と思っていましたが、今回お話を伺って、部長になったのも「山形にUターンすることになっても一緒に仕事がしたい」と声がかけられるのも、鈴木さんの『仕事への姿勢』が評価されているんだろうなと実感しました。

『また、あなたと一緒に仕事がしたい』と言われるような人になるために、鈴木さんを見習います!!

 

★鈴木さんも参加する「山形デジマ会」のイベント↓↓↓デジタルマーケティング領域で働く方・関心がある学生さんウェルカムです!

 

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菅野幸子

この記事を書いた人

菅野 幸子

埼玉県出身。東京の広告代理店にて企画営業を数年担当。その後、編集プロダクションに移り、ライター兼編集者として広告のコピーライティングや情...