あなたは今、自分らしく生きていますか?
ヤマガタ未来ラボの中でも、たびたび目にするキーワード《自分らしく生きる》《自分らしい働き方》
「わたしらしい生き方って、いったい何だろう?」
閉塞感を覚えてしまうようなこんなご時世だからこそ、なにか自分を変えるアクションを起こしてみるチャンスなのかもしれません。
今回ご紹介するのは、“バレエ”という一つの道を極めた後、東京から山形にUターンし、新たな「自分の生きる道」を見つけた女性です。
今回のやまがたで働く人
大場めぐ美さん
1984年東京生まれ。4歳のとき、父親のUターンに伴って、山形へ。同時期にクラシックバレエを習い始める。高校卒業後、東京のバレエ学校へ進学。プロのバレエダンサーを目指して、ロンドンへ留学。帰国後はバレエの他にジャズダンス・タップダンス・声楽などを学ぶ。その後、美容部員やマナー講師等さまざまな職業を経験。2015年、指導者として再びバレエの道に。父親の急逝をきっかけに、2019年4月山形へUターン。同年11月、バレエ教室【ミガクバレエ】を起ち上げる。
私らしさは、バレエ講師らしさを追求すること
「そういうの、めぐちゃんらしくないよね」
友人からの何気ない言葉に、「私らしいって、何?」と迷った時期もあるといいます。
仕事を離れれば、年相応のひとりの女性として、無理をしない自然体な自分が心地よい。
しかしながら、講師になってからは踊り手だった頃以上に、時間的にも思考的にもほとんどを占めるのはバレエ。
「講師って、生徒を教えているようでいて、実は自分が生徒に見られているんです。自分が好きなもの、楽でいられるものよりも、今優先したいのは《バレエの先生らしさ》です」と大場さんは言い切ります。
バレエに携わる者として、プロの指導者として、生徒たちに憧れられる存在となるような立ち居振る舞い、言動、ファッションなど、細部に至るまで徹底して《どう見られたいか》を演出します。
未就学児のレッスンでは《フェミニンな可憐さ》だったり、中高生には《クールなスタイリッシュさ》だったり。同日のレッスンであっても、敢えてレッスン着やヘアアレンジを変えるこだわりを見せる講師は、山形のバレエスタジオでは珍しいかもしれません。
ストイックにバレエへの敬意を表現する姿勢こそ、大場さんらしさといえそうです。
人生最大の転機は《バレエ講師》になったこと
「世界の壁を目の当たりにして、『わたしなんか…』と卑下してしまったこともあります。でも、これ以上ないと思えるほどバレエだけにすべてを注いできたと自負しています」
一方で、バレエ以外を知らない自分に疑問を抱き、他の仕事に就いてみたいとも思うように。
「父には、『世間知らずで心配だ』とよく言われていました。『興味の湧くものに、もっと能動的に取り組め!』と。当時は、煩わしく思ったりもしましたが、海外で生活してみて、『どうやったらお金を稼げるのか?生きていくってどういうこと?』と考えるようになりました」
▲大場ファミリー
バレエを辞め、東京に戻ってからは、《自分の生きる道》を模索してさまざまなアルバイトを経験。その後、美容部員として化粧品を取り扱う会社に就職しました。
「お客様からどのように見られたいか、ある意味で演じる仕事。バレエと通じている!と」
売り場での立ち居振る舞いや、ヘアスタイリング、肌やスタイル維持のための栄養学を貪欲に勉強する姿勢など、バレエで培った経験が活かされていることを実感したそう。
社会人として、充実した日々を過ごしながらも、やはりどこかでバレエへの未練も。
「ある日、母に『本当はバレエを続けてほしかった』と悲しそうに言われ、『私だって!やれるなら、もう一度バレエをやりたいよ!』と思いました」
それから程なく、まるで導かれるかのように、《バレエ講師募集》というチャンスが大場さんのもとに舞い込みます。
大人バレエ専用スタジオの講師として即採用され、再びバレエの道に戻りました。
▲専門学校2年生の文化祭にて(2列目中央白いレオタード姿の大場さん)
バレエを頑張りたい子ども達の、最大の応援者でありたい
「私自身もそうでしたけど、『太っちゃった…。コンクールで結果が出せない…。だから、バレエを辞める』というのは極端だと思うんですよね。舞台でスポットライトを浴びることだけがバレエのゴールではありません。
例えば、私のように指導者になる道や、振付師を志したり、舞踊史を研究したり、音楽の評論家、コスチュームのデザイナー、ケガをしない体づくりのために医療を学んだり、バレエ教室を運営するために経済を学んだり、さまざまな道がある。
バレエからいろんな世界が広がっているのに、『コンクールで結果が出ないから、自分はバレエに向いていない』という極論しか見出せないことが悔しい。『バレエから、たくさんの可能性に繋がっていくんだよ!』っていう広い視野を、山形の子ども達にも持って欲しいんです」
もちろん、コンクールから学ぶことも多く、その結果を踏まえて、子ども達の心の成長につながるフォローも丁寧に重ねていきたい、と語ります。バレエ以外の仕事に就いた経験が、指導者としてのあり方にも影響を与えています。
「『プロのダンサーになりたい!海外で活躍したい!』そんな夢を応援し続けられるような体力や知識、コネクションなども含めて、常に私自身のアップデートが必要。
生徒第一!というスタンスを持ち続け、プロの指導者としての誇りをどんなときも忘れずに生きていたい」
「これまで培った技術を、山形で活かしたい!山形に帰ろう!」
2018年秋、父親が急逝。《父と母が元気で居てくれる場所》だった山形を、突然、《故郷》と感じたのだそう。たくさんのことを学び、経験を重ねた東京を離れることに未練も葛藤もなく、すぐにUターンを決意。「母をそばで支え、家族と一緒に居たい、と思ったんです」
▲両親と姪
周辺の整理をして、半年後には山形へ。まずは運転免許を取得するため、教習所に通いながら、バレエの基礎や楽しみ、喜びを教わった恩師のもとに何度も足を運びます。
「《めぐちゃんがやりたいと思ったこと》は、めぐちゃんが自分で叶えるのがいいよ!」恩師や家族たちの励ましを受け、2019年11月、バレエ教室【ミガクバレエ】をオープンしました。
「技術を教えるのはもちろん、バレエ教室は、家庭や学校とは別の社会であり、普段とは違う人間関係や秩序を学ぶ場所だということ。人との向き合い方、学ぶ姿勢、子ども達の心の成長を見守るスタジオにしていきたいです」
▲「ダイエットも兼ねて、基本的に移動は自転車で!」
当時、Uターンするかどうかより、『山形でゼロから始めてにっちもさっちもいかなかったらどうしよう?』という不安の方が強かったといいます。
「まだまだこれからですが、今の自分を支えているのは、数あるスタジオの中から、私を選んで通ってくれている生徒さんに対する感謝というか、『私の持てる全力を捧げよう!絶対に後悔させないぞ!』みたいな気持ち。
《本物を学びたいなら、山形を出て都心へ》という単一の選択じゃなく、《山形で本物を学べる。山形でしか学べないものがある》という価値観があたりまえになるような、山形のバレエ業界の発展に貢献できるバレエ教室・講師になることが目標です」
《わたしらしさ》磨いてみませんか?
「『大人だって、主役で踊りたい』『未経験だって、キレイな衣装を着て華やかな舞台に立ってみたい』そんな思いを叶えるスタジオでもありたいんですよね」と大場さん。
「上達しなくてモヤモヤするときは、技術だけじゃなく、バレエに向き合う態度、心の姿勢に、目を向けてみるんです。今までとはガラッと違うアプローチで!」
バレエマニアな大場さんと一緒に、《自分磨き》してみませんか? 新しい扉を開けるチャンスがやってくるかもしれません。
新入会 随時募集中! オトナも未経験者も大歓迎!
現在は、steps(山形市北山形)、ミュージック昭和スタジオ(山形市あこや町)のスタジオを借りてレッスンを。入園前の小さなお子さんから大人まで、さまざまな年齢や経験にあわせた丁寧な指導を行っています。
体験レッスン(500円)は、随時受付しています。また11/7には、第1回バレエコンサートを開催予定。気になる方は、ぜひお問合せしてみてくださいね。
【ミガクバレエ】HP http://migaku.tokyo/
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