こんにちは!ヤマガタ未来ラボを運営している株式会社キャリアクリエイトの佐藤広一と申します。

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こちらの「山形の「攻めの会社」教えます」のコーナーでは、山形で働くことに関わるビジネスパーソンの皆さんに向けて、魅力的な山形の企業の姿を紹介しています。

今回、私が訪れたのは、山形市の『(株)ジョインセレモニー』さん。

冠婚葬祭業を行う同社は、パレスグランデールなど結婚式場や、セレモニーホールである平安典礼などを運営しています。

今年4月には山形市の中心商店街『七日町』に、結婚式場とカフェからなる新しい複合ビルを開設するなど、近年に入り新たな動きを見せています。

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(パレスグランデールWEBサイト)

私が、初めて同社を訪問したときに感じたのは、

“社員の皆さんが、イキイキと働かれている”ということ。

他の企業の方がイキイキしていないということで決してはないですが、同社のそれは、とても印象的だったのです。

 

非常に良い社風が流れているのか、それともなにか特殊な評価制度などでも取り入れられているのだろうか…

ずっとお伺いしてみたかった質問を胸に、2017年4月に山形市七日町にオープンしたばかりのオアゾブルー山形で、同社常務取締役である武田靖子さんにお会いしました。

 

 

(株)ジョインセレモニー常務取締役 武田靖子さんに訊く

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武田さんは、大学卒業後に都内の大手ホテルに就職。その後、平成3年に家業である同社へ入社しました。そして取締役室長を経て、平成26年に常務に就任。

また、本業以外にも「日本ブライダル文化振興協会常任理事」、「山形ウェディング協議会」、「山形県教育委員」、「山形イグメン共和国」「高校生ライフデザインセミナー」などの活動や、「高校生のためのウェディングフェア「ガールズマルシェ」など、地元の高校・大学と協業したイベント等にも注力されている人物。

一方、本業を離れ家庭に戻れば二児の母親でもあります。

想像するに、劇的に多忙な日々を過ごされているはずなのでしょうが、とても穏やかで、物腰の柔らかい雰囲気を持ってらっしゃる方です。

 

 

社長が一番上ではなく「一番下」。逆ピラミッド型 組織構造

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佐藤:御社はどのような組織図を組まれているのでしょうか。

武田靖子さん(以下武田):組織の一番上層には、お客様に接する機会が多い、若いスタッフを置き、そのひとつ下に、現場に近い若手社員を配置しています。

それから、深度が増すに連れて先輩社員、上司、役員と続いていきます。そして一番下にいるのが社長。なので、私たちの組織は、いわゆる逆ピラミッド型の組織図を描いています。

全社員でお客様を支援する体制には、ピラミッド型も逆ピラミッド型も変わりませんが、第一線にいる社員こそ、お客様に対しても当社的にも重要な役割を担っていると言えます。

また、先輩や上司にあたる社員は、それぞれの立場でそれぞれの仕事を担っていますが、その一方で、第一線で働く社員のサポートという非常に重要な役目を担っています。それこそが、お客様を真に支援するためにも必要な役目であり、前線で働く社員をいかに働きやすい環境を作るかが重要です。

社長は、そんな全社員を支援する存在でなければなりません。大きな責任を抱えつつ、全社員のことをサポートするからこそのポジションなのです。

 

 

いい上司に出会えなかった部下ほど、不幸なものはない

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佐藤:以前から、このような組織を?

武田:いえ、今の形にできたのは代替わりしてから。

私が山形に戻ってきた頃は、まだ当社も営業を優先する傾向にありました。

数字さえあげていれば実績が認められる。営業スタッフが個人商店化していたのです。

入社当時に思ったのは、「このままではいけない」ということ。

いつか変えたいと、その頃から感じていました。

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大学卒業後に初めて入社したのは、東京・丸の内にある政財界の方も多く利用されるホテル。

そこで、徹底的に教え込まれたのが、お客様に対するサービス、そしてホスピタリティです。

例えば、上司からは日経新聞や財界、政財界などの雑誌を読むことを勧められましたが、それはどんなお客様が施設を利用しているかを知るため。また、どんな話題にでも、たくさんの引き出しを持ち、答えられるためです。

そして、もうひとつ学んだことは上司と部下間の人間関係でした。

当時の上司は、粉骨砕身で働く“モーレツ社員”でしたが、メリハリがとても上手く今でいうワークライフバランスが整った生活スタイル。

出社時刻前に自分の仕事をこなし、「定時以降の時間は、部下のための時間だから」と言って、本当に部下を大切にしてくれる人でした。

その方の仕事を学びたい、いつか盗みたいと感じましたし、今でも慕っています。

“いい上司に出会えなかった部下ほど、不幸なものはない”。

前の職場で働かせていただく内に、私はそのように思えるようになったのです。

だからこそ、1年でも上司、先輩なら、そういった目で部下を見てあげられるような関係性を作りたいと思い続けました。ようやく今、代替わりを経て、その環境が整いつつあります。

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佐藤:長い時間と労力が必要だったのでは。

武田:私だけで変えられるものではありません。社員の一人ひとりが少しずつ変わってくれたのです。

例えば、以前は自発的に発言しようとする社員はほとんどいませんでしたが、ミーティングを円卓形式にし必ず発言する機会を与えたり、また若手社員にサブリーダーを任せたりと、いろいろな工夫を重ねるうちに、徐々にですが自分から発言する、動ける人が増えていきました。

会社の方針や理念を理解しながらも、きちんと意見を言えるスタッフや新人が育ってくれたのです。

今では、お客様である新郎新婦にも、真摯に意見を言うスタッフもいます。

お2人の人生の最高のスタートになるために「そんな気持ちで式を挙げてはいけません」と、気持ちを整えることも時には必要です。

結婚式の役割を理解して、その大切さをお客様と一緒に確認しています。

 

人間性、人間力がある社員が育つ。笑顔で仕事ができる場を作る。

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武田:今年4月、『オワゾブルー』の立ち上げのときもそうでした。仕事の導線や会場スペックなどについて、若い社員さんもみんな良く気づくし、積極的に発言してくる。オープンまでのわずかな期間に、どんどん成長してくれているのが伝わってきました。

人が自然と集まるような、建物の魅力自体はもちろんですが、結婚式を本当に素敵なものだという思いと自信が大切です。その意味では、社員たちには本当に助けられています。

 

この業界は土日の休みはあまりありませんし、仕事は体力的にもハードなもの。

結婚式は、以前は型物のように進行プログラムを組んでいくのが一般的でしたが、今ではお客様の要望も十人十色。空間コーディネイトや演出などさまざまなものが求められます。

気持ち無くして、続けられるものではありません。

ウエディングの仕事に憧れてくださる方は多いのですが、業界での平均勤続年数は4年程度と言われています。

 

そんな中、弊社は20、30代の若手が多い中で、平均勤続年数は8年。長いスタッフは20年になります。

若手の社員たちが、個々に成長しながら、会社を支えてくれています。

 

楽しそうに挙式の脚本を書いたり、準備している社員を見ていると嬉しくなりますね。

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(スタッフの左手の薬指ネイルには、”青い鳥(フランス語でオアゾブルー)”も。)

 

佐藤:そうなるには何かしらの施策があったのでは?

武田:社員が仕事を続けるためには何が必要かというワークライフバランスを考える機会を8年前に作りました。メンバーは子育て世代が中心です。それがきっかけとなり、事業所内託児所「すこやか保育園」や育休などの制度が確立されました。

辞められたら困る優秀な社員が育ち、その社員が結婚、出産、育児など私生活が変わっていくのに合わせて環境や制度を整えていきました。

そうすることにより、働きやすい環境が作られ、人材が離れることは少なくなりました。

 

仕事柄、一度お仕事させていただいたお客様は、生涯顧客とくださることも多いもの。だからこそ、頑張ってくれた人材が辞めていくのは企業にとってはとても辛いことです。

社員の皆さんにとって、この業界で働くことが生きがいになってもらえれば、自分の成長だったりいろいろな物の見方が広がったり、人との繋がりが広がる場になり得る職場だと思います。

だからこそ、働けない、諦めるという葛藤を描くことを、なるべく排除してもらいたい。そのためにできることは、会社としてできるだけしたいですし、社員を応援し続けたい。

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武田:私がそう考え、実践するようになった動機は、私の“山形県の人口減”に対する危機感から生まれるものです。

人口減に対して、今の会社で何ができるのか?

そう考えたときに、結婚観や、結婚に対する憧れとかを持ってもらえればいいと思いました。

結婚観醸成のため、いい結婚式をプロデュースするには社員の力量が問われます。

新郎新婦やご家族との深い関わりには信頼関係の構築も必要で、人間性、人間力も必要です。

弊社では、日本一のウェディングプランナーを決めるリクルート総研主催の「グッドウェディングアワード」で2011年グランプリを取りました。

2015年には8名のファイナリストに選ばれ、そして今年も670名の応募からベスト30に1名、ベスト10に1名、来月開催されるファイナル出場8名の中にも1名選ばれ、全国レベルのプランナーが続々と育っております。

いい結婚式の裏にはいいプランナーがいるということです。

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結婚式というものは、祝いの儀式文化であり、地域文化、農耕文化とも繋がるものです。

そこには、地域とともに生きようとする、先人たちの知恵が続いています。

互いの誓いを讃えて、形にする。

伝統と言えば古臭い気もします。

でも、ならば本質的なところは大事にしないと。

それを伝えられる社員が育ち、笑顔で仕事ができる場を作ることが大事なのではないでしょうか。

 

 

取材後記

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起業されたのは先代の社長です。

しかし、インタビューを進める内に常務であり先代の娘にあたる武田靖子さんは、会社の内部を大きく変えてきたことを知りました。

先代はハードを作り上げ、そして靖子さんは組織図や社員などソフト面の整備・育成に力を入れています。

定義から少し離れますが、私にとってその姿は、第二創業者のように見えました。

今の時代を生き抜くためには、企業にもさまざま変化が求められるもの。

その意味では武田さんが起こした変革は、ひとつのモデルケースになり得るものかも知れません。

 

ジョインセレモニーさんの今後の動向は、私をとてもワクワクさせるのです。

 

 

※この記事は、平成29年度「東北地域中小企業・小規模事業者人材確保・定着支援等事業」として作成しました。

Profile

(株)ジョインセレモニー 取締役常務 武田靖子(たけだやすこ)さん

1970年山形市生まれ。高校卒業後、東京の大学を卒業し、パレスホテル東京に就職。退職後、著名なウェディングプランナーの師匠の下での修行期間を経て、91年Uターン帰郷し家業の冠婚葬祭業・パレス平安(現ジョインセレモニー)へ。取締役室長を経て2014年から常務。

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