縁あって、ワケあって?山形にやってきた方々、降りしきる雪に孤独を募らせていませんか?大丈夫です。周りにもそういう人が意外とたくさんいるんです(「エラとづ」チラシより)
生まれ育った地域を離れ、新たな場所で暮らしがスタートする時、きっと誰もがそれまでとの気候風土や文化の違いに戸惑いを覚えるはず。山形にゆかりのあるパートナーについて山形に住むことになったけど不安・・・という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方に、お伝えしたいのが「エラとづ」の会。(連絡先は最下部に記載)
県外から山形に嫁いで、驚くことに直面しつつも、「どんな事に驚いた?」「どんなお料理があるの?」「どんな楽しみを見つけた?」と、互いに共鳴し合い、更なる山形愛を深め成長している女性たちがいます。
エラいところに嫁いで来た!
“えらい所に嫁いだ”を略し、「エラとづ」の会。
2007年、東京都出身で米沢で暮らす齊藤幸恵さん(写真左)と、広島県出身で天童で暮らす菅生鈴さん(写真右)が出会い、発足しました。目的は、他県より山形へ嫁いだ人が支え合うこと(男性でも可)。
「えらい所」と聞くと、様々な印象を受けますが、ここで言うえらいには「戸惑い」や「驚き」という意味合いが込められています。これまで山形にきてどんな違いに戸惑ったのか、今どんな発見に心躍らせているのか、それぞれが知る山形について伝え合い、より興味を深めていきます。
定期的な集まりはなく、会員の縛りも殆どありません。齊藤さんと菅生さんが軸となってそれぞれの地域で不定期に参加者を集い、その時々のメンバーで楽しく語り、伝え合っています。
外から来た人たちと一緒に励まし合いたい
東京都足立区の出身の齊藤さん(写真左)は、山形県川西町に嫁いで暮らすようになって、平日の街並みに人が殆どいないことに、驚いたそうです。また雪が積もることでさらに閉ざされてしまうような感覚も。
広島県出身で、天童のお寺に嫁がれた菅生さん(写真右)も、文化や気候の違いに戸惑い、さらには聞き取れない方言に、かかってきた電話を取るのは家族に頼むようになってしまっていたとのこと。
そんな時、齊藤さんと菅生さんが、山形県男女共同参画センターが主催する女性リーダー育成事業「チェリア塾」で出会いました。菅生さんが話す“言葉”を聞いた齊藤さんは、すぐさま菅生さんの手を取ったと言います。「『この人は山形の人ではないな、私と同じ境遇かもしれない。同じ匂いがする!』と感じたのです」。
すぐさま2人は意気投合。山形を訪れての困惑も、豊富な食材や食べ物の美味しさも・・・笑い合いながら夢中で話したそうです。気が付くと、どこか心がすっと軽くなっていることに気が付きました。そして同じように外から来た人たちと一緒に励まし合いたいと思うように。魅力を伝え学び、美味しものも分け合い、そして笑い、もっともっと上がって行こう!と会を発足したのです。
山形に居ながら、広い視野で様々な情報を感じる
会をはじめ集まってみると、大阪や茨城、千葉といった様々な地域から嫁がれた人々が集い、話題は県外の情報を知る上でもとても面白いものでした。
「現在はインターネットやソーシャルネットワークが充実しているので、実際に合わなくても情報交換ができてしまいますが、他県ならではの話題も興味深いものがありました。そして私が今暮らす場所ではこう・・・と言う風に、話題は尽きません。皆さん活き活きとおしゃべりをし、さらに元気になって活動を締めくくります」。
気持ち届けるお手紙のやりとりから、熱烈な山形ファンに
「エラとづ」の会が齊藤さん、菅生さんがお住まいの地域でそれぞれ活動されるものの、日常の忙しさから二人が合うのは年に数回。伝えたい気持ちは主に、日々メールやFAX、お手紙でやり取りされているそうです。
齊藤さんの手元に届いた菅生さんのお手紙の一部を拝見しました。ハガキや便箋となっていたのは、菅生さんが食べた美味しかったもののパッケージ。
ちりめんじゃこで文字を作りコピーしたものもありました。どれもユニークで、菅生さんが製作されている姿さえも想像でき、思わず笑みがこぼれます。
「齊藤さんが暮らす米沢を新幹線で通過する時に食べていた牛肉どまんなか弁当。『ここで齊藤さんが頑張っているんだな』と思って、新幹線の中でペンを取りました」。
お弁当の中のお肉がちらりと見えるパッケージ部分を活かし、にっこり笑顔のイラストが描かれています。
県外の様々なもことにも視野を広げながら、山形の魅力や発見を伝え合う事で、いつしかいつしか随分熱烈な山形ファンになっていました。
エラとづでのおしゃべりは、いつしか山形で生きる力となり・・・
東京で甘味喫茶 ます味を営む実家から、農家に嫁いだ齊藤さん。自らが感じる山形置賜の魅力、おいしいものを発信したいと、「つなぐ場所 ます味プロジェクト」を立ち上げました。
ます味を置賜のアンテナショップとし、置賜情報を紹介するばかりではなく、郷土の味を実際に東京で提供したり、食材を消費者に直送するなど様々な企画を展開。ラジオに出演しPRも行いました。今後は東京から実際に山形に訪れ体験してほしいと、農家民宿への夢も膨らませているそうです。
天童のお寺 願行寺に嫁がれた菅生さん。お寺の活動をしながらいつでも山形の魅力探し。お菓子を出す際には地域ならではのものを出したいと考えているそうです。
また山形県を人の顔に見立てると、裏表に顔が?表が山形の観光マスコット「きてけろくん」とし、裏には来てくれてありがとうの意を込め「きてけだちゃん」を考えました。そのマスコットイラストはお寺の広報物や年賀状などに記載し伝えています。
地域の魅力を再発見し年齢や立場を越えて人々が集う場を目的とした企画・天童アートプロジェクト「てんてん展」(天童美術館)にも参加。地元芸術工科大学や地域とのつながりから、見つけるだけではなく、様々な場面で発信しています。
エラとづでのおしゃべりは、いつしか山形で生きる力となり、一歩一歩確かな足取りで進んでいました。
まずは出会うこと。そして伝え合うこと
「山形に関われる自分を探すのが好き。関わりながら、山形の暮らしを楽しんでいるんです」と菅生さん。溢れんばかりの山形愛が伺えました。
「実家に戻る時や、誰かに会いに行くときにはどんな山形のお土産を持って行こうか、どんな情報を伝えようか、ワクワクするんですよ」
二人は笑います。山形での出会いが、人生をさらに明るくしているようでした。
山形暮らしを始めたら、まずは誰かと出会い、ここで自分自身のこれからをじっくりと見つめてみませんか?
連絡先
エラとづの会: eratodu@yahoo.co.jp (齊藤幸恵)
https://www.facebook.com/tsunagubasyo.masumi.project
Profile
菅生鈴さん、齊藤幸恵さん
菅生鈴:広島から京都を経由して天童に嫁ぐ。
齊藤幸恵:東京から川西町に嫁ぐ。