単純に生き残る手段として…ではなく、豊かに暮らす手段として里山に住み込む若者が少しずつ増えてきています。

 

僕も2013年5月に横浜から鶴岡市の大鳥地域という里山に移住しましたが、住んでみたら「確かに…」と妙に納得できる部分があります。

日本どこにでもある、典型的な里山の風景

 

「経済的に考えれば、横浜にいたほうがよっぽど良いでしょ!」

 

 

そう思う方も少なくありません。

 

確かに、収入は減りました。額面で10万は減ったかな。

 

でも、驚くべきことに支出は4割も減ったし、生活は以前より豊かになったと実感しています…

 

ちなみに横浜で実家暮らしをしている時の、2012年12月の支出金額の内訳はこんな感じでした。

 

【都会での一ヶ月の生活費】

生活条件:実家暮らし…朝ご飯・晩御飯は基本的に家。

     光熱費・水道代・ネット代は親が支払い

 

食費(単純な外食・缶ジュースなど)

3,820

会社昼飯(読んで字のごとく)

9,330

飲み代(居酒屋などで飲み食い)

34,200

自己投資(本・セミナーなどの参加)

10,000

娯楽費(近所の温泉など)

9,000

日用品費(文房具・クリーニングなど)

7,600

交通費(定期区間外のお金)

7,350

通信費(携帯代)

9,000

タバコ代

4,840

その他出金

8,000

支出合計

103,140

 

 

それに対し、大鳥に移住してからの支出は以下のような感じ。(2013年8月の記録)

 

【里山での一ヶ月の生活費】

生活条件:一軒家に2人暮らしで光熱費などは折半(もう一人の協力隊と共同生活)

     車は市役所から借りている。

     家賃は市役所が補助してくれている。

 

計算は大まかですが、リアルにこんなもんです。

食費(生活)

10,000

食費(外食)

5,000

タバコ代

6,600

ガソリン代

15,000

日用品費

3,000

通信費(ケータイ)

9,000

通信費(光ケーブル)

5,000

自治会費

3,200

電気代

2,000

ガス代

500

水道代

1,500

支出合計

60,800

 

これはあくまで夏場の話で、僕の住む大鳥は雪国なので冬場には車にスタッドレスを履いて車の燃費も落ちるし、暖房の為の灯油や光熱費は都会よりも高くつきます。

 

とはいえ、電気・ガス・水道・通信費を自ら払うようになりながらも、なぜこんなにも支出が減ったのか…というのは、それは地域おこし協力隊だから!という部分も否めません。

住居費と車の維持費、車の保険関係は補助して頂いているので…

※里山の家計簿をもっと詳しく知りたい方は僕の個人ブログ『里山の家計簿~里山暮らしは支出の引き算~』を見て下さい。

 

そうは言っても、支出が減っているのは事実。

 

 

そこで今回は、里山のどんな仕組みが支出を減らしているのか、里山の経済はどうなっているのかをご紹介していきます!

 

 

あなたの実家やおじいちゃん・おばあちゃんが田舎住んでいれば、身に覚えがあるかもしれません。

 

今までに春~秋の間にお米やら野菜やらが送られてくること、ありませんでしたか?

 

里山の経済・豊かさの原点がそこにあります。

 

 

里山がもたらす3つの自給

一昔前は車なんて便利なモノは当然無く、限られた範囲を移動することしかできませんでした。だから、身近にある自然を利用しながら衣・食・住を完結せざるを得ませんよね。

 

現在、地方では一人一台車を持つことが当たり前だし、大型のスーパーも国道沿いにバンバン建っていて全国から届く食材を手に入れることもできる。石油もあるし、電気もあるので、生活様式は大きく変わってきましたが、昔ながらの生活の面影が里山に残っています。

 

里山の暮らしをしている方々は未だに上記3つの自給を体現してくれています。

 

【食】

季節に合わせて原価ゼロ円の山菜・キノコを山から採ってくる。

また、田んぼでお米、畑で野菜を作ります。川にいけば川魚がいる。狩猟期間になれば山に入ってウサギやカモ、熊などを獲る。更にはその食料を保存する方法(漬物や乾燥など)までも体現しています。

 

【生活】

山にあるツルを使ってカゴを作ったり、藁(わら)・茅(かや)を使ってワラジを作ったり、笠を作ったりしていました。また、薪を置く小屋や、椅子・机ぐらいは山から木を切ってきて作ります。

 

【エネルギー】

代表的なモノが薪ストーブ。今でも冬の暖をとる手段として薪ストーブを使っている方がいらっしゃいます。また、エネルギー革命が起きる前では石炭・木炭を使って暖をとっていました。また、現代では発電装置(マイクロ小水力・太陽光・風力など)が手に入りやすくなっていて、取り入れている地方も少なくありません。

 

このように、全てお金に頼らずとも生活を成り立たせることができる環境が里山にはあります。

 

 

経済構造の違い~都会の1重構造と里山の3重構造~

 

僕は26年間、大阪や神奈川に住んでいて、大きな貨幣経済の中にいました。

都会と言われる環境の中で、家を借りるのにもご飯を食べるのも、友達と会うのにも、電車に乗るのも駐車場に車を止めるのにも、多くの場合お金で解決していました。

 

だから、お金を得るためにアルバイトもしたし、仕事もしていた。

 

それが里山に移り住んでみると、どうやら貨幣経済だけでは無い構造になっている、経済が3重の構造になっていることに気がつきました。

 

【自給】

『里山がもたらす3つの自給』でも紹介しましたが、里山経済の一番の核となる部分が自給です。

自分が食べる分は自分で作るし、自分で採ってくる。

それを実現できる環境が里山にはあり、体現している人がいます。

 

 

【物々交換・おすそわけ】

そして、その外枠にあるのが物々交換・おすそわけです。

 

例えばお米を自分の分だけ作ろうとした場合。

田舎の人が素晴らしいのは、自分が一年でどれだけのお米を食べるのかを知っています。

ただし、自分が食べる量ギリギリを作ろうとしても、天候などによって収穫量も変わってきてしまうので、必ず多めに作る。

その余剰分が、物々交換やおすそ分けとして地域、地縁の中を循環しているのです。

野菜に関しても同じようなことが言えます。

 

 

【貨幣経済】

更に外側にあるのが貨幣経済。

里山でいくら自給・物々交換ができるとは言っても、住居を構えるだけで税金はかかるし、車のガソリン代だってかかる。たまには外食したいし、旅行もしたい。

お金は大抵のモノ・サービスと交換できるし、貯めておくこともできる優れもので何かと便利が良いので使わない手は無いですよね。

 

 

数字として見える月収・年収という面では都市には敵わないかもしれませんが、数字として現れない自給・物々交換という面を里山は持っている。

 

 

里山のこれから

限界集落だから、仕事が無いから住む価値は無いと思われるがそれは違うと思う。

むしろ、里山暮らしは日本の最先端を行っているのかもしれない。

 

種々の一般論に疑問を感じ、見方を変えれば変えるほど価値・魅力が溢れ出てくる里山。

 

昔とは違い、今はインターネットもある。

世界中から情報収集が出来るし、自ら発信ができる。仕事さえもパソコン一台でこなしてしまう人が出てきているほどだ。

昔とは比べられないくらいの技術の進歩があり、仕事の内容や働き方が大きく変わってきている。

 

限界集落という言われ方をよくするが、限界というのはむしろチャンスと捉えてもいいはず。

世の中の流れに適応できずにいる集落が、このままいくと無くなる。

 

 

日本人の暮らしの原点は里山なんじゃないかと思う。

 

・どこの誰が作ったかわからないような米を食べるより、自分で作ったほうが安心

・自分の身の回りのモノくらいは自分で何とかする

・自然の恵みに感謝する

・四季を感じながら生きる

・冬の農閑期を耐え忍び、春の息吹・喜びを感じる

・地域の人と力を合わせて地域を守る…etc

 

小さな小さな循環型社会が日本の至るところに残っている。

 

だから敢えて、お言葉を借りるとするならばこれからの里山は『懐かしい未来』なんじゃないかなと思う。

 

昔ながらの口伝、伝統・文化を継承することは本当に大切。

でも、そっくりそのまま真似をしても価値は認められないかもしれない。

 

だから、現代を知っている若者が地方に向かい、伝統・文化の価値の本質を見つめ、今の時代に合うように姿・形を変えて世の中に提案しているのだと思う。

熊本県で若者たちだけで村を作ってしまった▲エコビレッジ サイハテも、そんなことを体現している人たちだと思います…

 

僕も、里山の価値を見直して世の中に提案できるような若者の一人になりたいな♪と思いながら、日々里山生活を楽しんでいます。

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