「収穫も醸造も、やれるのは年に1度だけ。そして、ワインの味が深まるには、3年ほどの時間がかかる。だから、10年間働いて、やっと見えてくることがあります。気が遠くなることもあるだろうけど、それだけに結果がでたときの喜びは、なにものにも代えがたいものがあるんです」。
(農作業後のお茶の時間。お手伝いにきた方々とも一緒に、和気あいあいと楽しそうです。)
山形の、そして日本のワイン造りを牽引してきた醸造所
山形県の中でも寒暖の差が大きく、果樹栽培に適した風土が広がる上山市で、大正9年よりワイン造りを行っている〈タケダワイナリー〉。およそ15ヘクタールもある広大な農地を、20年という長い歳月をかけて土壌改良。“よいワインはよい葡萄から”をモットーに、自然農法を用いたぶどう栽培を行い、高品質なワインの醸造を古くから続けてきました。
赤い屋根の建物が〈タケダワイナリー〉。ぶどう畑の真ん中に位置しています。
現在は5代目当主である岸平典子さんが栽培・醸造責任者を務め、専務として会社の経営管理を行いながら、営業や広報を担当する夫・和寛さんとともに、15名からなるこの醸造所を経営しています。
今回募集するのは、〈タケダワイナリー〉で、典子さんと一緒にぶどうの栽培とワインの醸造をする。また、和寛さんのもとで財務や経理といった経営管理と、営業や広報を担当する社員です。
仕事の内容はそれぞれ、ぶどう栽培から収穫、同時に醸造と品質管理。また、販路の開拓や営業交渉、そして〈タケダワイナリー〉のワイン造りに対する考え方を広く伝えるという重要な業務。もちろん、ただそれらの業務を行うだけではなく、この醸造所を取り巻くさまざまなことに関わることになります。
〈タケダワイナリー〉で働くということ
温泉街として知られる上山市は、東京から新幹線で2時間半ほどの場所にあり、また、JRかみのやま温泉駅から車を走らせること約10分のところに〈タケダワイナリー〉はあります。市街地からさほど遠く無い、南向きの高台。四季折々の自然が感じられる、とても環境のよいところです。
(毎日でも飲みたいデイリーワインから、記念日に開けたい少し高価な発泡ワインまで。バラエティ豊かなラインナップも魅力です。)
ほんの20年くらい前までは、どこの温泉街にも甘口のワインがお土産物として陳列され、また、一般の人々も「ワインってそういう飲み物なのだ」と、なんの疑いもなく飲んでいました。その頃は、ポリフェノールの健康効果ばかりが謳われ、その一方では過剰なほど、ブランド産地の銘柄のみが好まれていた時代だったのです。しかし、ここ〈タケダワイナリー〉は、少し変わっていました。70年代中期ころから有機肥料による土壌改良に着手。90年代頃からは、ヨーロッパ系のカベルネ・ソービニョンやメルロ、シャルドネを使ったワインを生産。当時の日本で流行っていたワインとは一線を画し、常に本物を意識したワイン造りを行っていたのです。
そんなワイナリーが求める人材とは、いかなる人物なのでしょうか。そして、ワインを造る、また、売るという仕事は、いったいどのようなものなのでしょうか。
年の半分は、自然と向き合う農業の仕事
日本で初の女性ヴィニュロン(ぶどう栽培・ワイン醸造責任者)として、日本のワイン文化を牽引する岸平典子さん。
〈タケダワイナリー〉のワイン造りを支えるのは、その長い経験に裏付けされたぶどう栽培。だから、醸造所での仕事と言っても、基本的には農業なのです。雪が消える春から、収穫を迎えるそのときまで、自然と向き合いながらのぶどう栽培。雨の多い梅雨時は、いつなんどき病気が出るかわからない。晩秋になり、ワイン醸造の工程に入るまでは農業者としての困難と、そして喜びに対峙します。また、醸造工程も、気が抜けない仕事です。例えばワインの酵母菌は1分で10の26乗増えます。だから「帰宅時に大丈夫だった」、「今朝は元気だった」なんて言い訳はききません。農作業でも醸造作業でも、少しでもおかしいと感じたらすぐ手当。
—休みが不安定なのはちょっと。。。—
そう思う方がいるならば、きっとこの仕事は難しいかも知れません。美味しいワイン、自分が理想と思うワインを造るために、ときには決まった休みが取れない場合もあるんです。
でも、安心してください。そんなことを上回るほどのやりがいが、この仕事にはあるのです。
(「よいワインはよい葡萄から」。これこそが〈タケダワイナリー〉の精神)
「一般的な企業ならば、すぐに結果(=利益)を出さなければいけないのですが、うちではそんなプレッシャーは少ないかも知れません。その都度ごとの柔軟な対応は求められますが、結果については長い目で見ています。ワイン造りは一朝一夕でできるものではありません。現に私もまだ試行錯誤しています」。
典子さんは今回、醸造所で次世代のトップとして働ける人材を募集したいと言い、短距離走ばかりが得意な人ではなく、長く一緒に前に進んでくれる人がいいと続けます。問題が生じたら、一緒に考えて解決方法を探し、10年をひとつのスパンとして、より良いぶどう、より良いワインを造ってほしいと。
ただ、体で学ぶしかないので、体力、気力がある人が好ましいそうです。
また、ワインの敏感な変化に対応しなければならない職種ゆえ、
厳しい選択になることもあるかもしれませんが、
営業よりも、タケダの今を伝えるスポークスマンであれ
典子さんの夫であり、専務としての仕事と、営業・広報を担当する和寛さん。
「自分の言葉で、〈タケダワイナリー〉のワインを伝えられる人。そんな人に入社していただきたい」。
基本的には、既存のお客様のところを回り、その時々の方針や、ワインの状態を伝えくれる人が好ましい。そして、企業や個人に関わらず、長年タケダワイナリーのワインを飲んでいただけるような、コアなファン作りを一緒に考えてくれる人がいいと、専務の和寛さんは言います。
「社長の典子が発案者となって、現在コップの会※1というイベントをやっています。はじめは東京だけだったけど、今では遠いところで博多だったり。ワインはとてもカジュアルな飲み物です。同時に、日本酒と同じくとてもローカルな飲み物。その楽しさを知ってほしい」。
一見、楽しいばかりの催しにも感じてしまうイベントですが、これも立派な営業業務。“楽しいから飲もう”の一杯が、ビールでも焼酎でもなく、国産ワインであってもいい。ワインの消費を拡大するための、とても小さな規模の、大きな未来を育むための仕事です。造り手と買い手、飲み手のよい関係作りこそが、〈タケダワイナリー〉の営業なのです。
営業職という認識よりも、いわばこの醸造所のスポークスマン的立ち位置。また、買ってくれ! と売り込むよりも、何かできることありませんか? と、酒販店の側に寄り添い、一緒にワインのこと、お酒のことで夢を語れるような人物。そんな人が、きっと〈タケダワイナリー〉の営業・広報の仕事に向いているのだと思います。
なぜなら、いくらいいもの、美味しいものを造っても、それだけでは足りません。結果的には消費者がいてこその仕事ですから、消費者がこちらに目を向けてくれさえすれば、業界が動き、タケダの商品が動きます。まぁ、理論は簡単ですが、まさに草の根的な仕事です。ただ、よい契約、よい仕事ができたときには、その辺では味わうことのできない、充実感が待っているはずです。
「はじめはワインに詳しくなくても全然いい。私自身がそうでしたから。ただ、自分で飲んで確かめて、〈タケダワイナリー〉の今を伝えられる人がいいな」。
※1:テーブルワインは、気軽にコップで飲もうという提案のもと、典子さんがはじめたイベント。 ワインはカジュアルな飲み物であるという精神で、美味しいものとともにコップワインを楽しむ催し。
入社3年目を迎えた、佐藤さんの話
米沢出身。畑・工場担当の佐藤誠さん。ワインを造りたいという想いで、Uターンを決めました。
「東京のスペイン料理店で働いていて。そのときのソムリエさんが、ワインのことを教えてくれたです。いてもたってもいられず、ワインショップに転職。その後、Uターンしてこのワイナリーに入社しました」。
今年で31歳を迎える佐藤誠さんは、現在ここでぶどう畑と工場勤務を担当しています。もう、ワイナリーに来て3年ですが、まだまだ分からないことばかりだそうです。
「ワイン造りに憧れていたので、はじめの1年は本当に楽しいことばかりでした。でも、ワイン造りのいろはを知っていくうちに、難しいことが多いなって。自然相手だから、極端に大変なこともありますし。この仕事に就いて勉強して、ようやっと少しずつ、3年目でワイン造りと向き合えて来ていると感じます」。
( 6月下旬に開花を迎え、今年は適度な梅雨のおかげで、順調な成長を見せるぶどう)
醸造家というイメージとは異なり、思いの外、農業に従事する割合が高いと話す佐藤さん。しかし、それはいい意味で土と向き合うという仕事。好きなことに、精一杯立ち向かっていることにとても満足しているそうです。
「体力的に辛いときはありますが、楽しいからやっていられる。やりがいのある仕事ですよ」。いずれは自分のワイナリーを持つという夢のため、佐藤さんの努力は日々続きます。
国産ワインの明日を築くのは、あなたです。
ナンバリングされた熟成樽の中で、ワインは静かに出荷のときを待つ。
舶来ものの葡萄酒として始まり、少しずつ市民権を獲得してきた国産ワイン。その進化の潮流は、近年になって急速に速度を上げています。海外はもちろんのこと、国内の各ワイナリーにも変革期が訪れはじめているのです。
“気候の変化に対応して、それに合わせてよりよい栽培方法を模索しよう”。“ぶどうの醸し方だって、さらによい方法があるはずだ”。
つまり時代によって、ワイン造り・ぶどう造りも進化する。ぶどうの苗を植えてから、収穫できるまで3年。個性が出るまでは10年です。本当に美味しいと思えるワインが造れるまでは、30年を要すると言われています。そうであるならば、これからのワイン造るのは、若い皆さんの仕事です。
車窓から、垣根造りのぶどう畑を見る。
成功もあれば失敗もある。数え切れないほどのトライ アンド エラーを繰り返しながら、次の時代に〈タケダワイナリー〉のワインを届ける。そのときどきの時代の造り手が礎となり、先の時代へ味と技術を継承する。気が遠くなるほどの長いときの向こうにある、まだ知らぬ味わいを求めて。
〈タケダワイナリー〉の次代を担う仕事は、筆者の目にはとても魅力的に映るのです。
※この記事は、東北経済産業局「平成28年度東北地域中小企業・
募集要項
募集職種 | 1・農園・醸造作業員(幹部候補) 2・経理・財務、営業(幹部候補) |
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業務内容 | 1・農園・醸造作業員(幹部候補) ◆ワイン製造に関する全般の業務を担当します。 【具体的には】 ○自社ぶどう園での農作業 ○ワイン醸造・製品化作業 ○醸造機械等のオペレーションや洗浄管理作業 ○見学社内案内と社内売店での試飲販売 ○工場内清掃管理作業 ○その他 ※食品を扱うため敷地内は禁煙となります。 ※8月〜11月まで仕込時期 2・経理・財務、営業(幹部候補) ◆経理・財務業務全般および営業をお任せします。 【具体的には】 ◎経理・財務業務全般(総務業務も含む) ・給与計算、勤怠管理、社会保険・労働保険手続、年末調整 ◎営業 ・得意先顧客訪問、新規顧客開拓 ・資料作成(商品カルテ・見積書等) ・ワインの納品、得意先へ配達 ・販売促進(イベント)の企画・立案、広告宣伝 ・試飲会へ出労、販売業務 など。 ※就農と醸造手伝いあり。 |
雇用形態 | 正社員 |
勤務時間 | 08:00~17:30 |
給与 | 195万円〜325万円 ◎モデル年収例:400万円/45歳・勤続12年 |
休日 | 土日祝日 夏季休暇 冬季休暇 |
福利厚生 | 交通費支給 |
勤務地 | 山形県上山市 |
対象となる方 | 【必須となる経験・スキル】 ・普通自動車運転免許(AT限定不可) 【求める人物像】 ・コミュニケーション力のある方(チームプレーができる方、気付く力、背中を見る力のある方) |
入社予定日 | 随時 |
応募方法 | ・下記『この求人について相談する』フォームからお問い合わせください(企業へはすぐに応募されません)。 |
選考プロセス | (相談から「企業への応募」までの流れ) ・『この求人について相談する』フォームからお問い合わせ頂きましたら、キャリアクリエイトのコンサルタントから今後の流れと求人情報の詳細についてご案内します。 ・今後の転職活動の方向性についてご一緒に考える面談をし、応募書類を整え、企業に応募するという流れになります。(※ご経験・ご経歴よりこの求人情報へのご応募が難しい場合がございます。予めご了承下さい) |
お問い合わせ | (求人情報提供)株式会社キャリアクリエイト 023-641-8807 |
HP | http://www.takeda-wine.co.jp/ |