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10月12日(土)に行われた『甚五右衛門芋収穫祭 芋祭2013』。
真室川町の伝承野菜「甚五右衛門芋」の収穫と共に、様々なワークショップやマルシェ、そしてもちろん芋煮を楽しむ一日だ。
数百年の間(一説によれば、室町時代から500年ほど続いているとも)受け継がれてきたその種と土と技。
肝心の天気はというと…午前3時までの土砂降りは朝6時あたりには収まり、ところどころ晴れ間をちらつかせている。このままなんとか持ちこたえてほしいところ。
08:30 本企画のメイン会場である旧平枝小学校に、まずはスタッフが集合完了。
僕のポジションは裏方全般ということで、今回個人的に声を掛け援護に来てもらったのが↓の面々
○鶴岡の地域おこし協力隊のひろきさん
東京時代から3年くらい、何かと良くしてもらってる気の置けない先輩。今年度、コンクリートジャングルから本物のジャングルにダイブ。
○鮭川村の原田君
県の青年交流事業という企画にて同最上支部のメンバー。8市町村各地域イベントへの協働を、支部の活動として一緒に行っている。小柄な体をフルに動かし、仕事にもボケにもひた向きに取り組む好青年
○山大生の奥野君、上野君、平井君
3人とも県外出身者で、今年フィールドワークにて初めて訪れた最上各所での体験にそれぞれやりがいを覚える。その経験から、ボランティア活動などを継続的に行うためのサークルを立ち上げようと準備中。
○実弟
2人兄弟の弟のほう。たくましめな身体から繰り出されるランバーロールなど各種の技にて人体を基盤整備し人々を健康にするカイロプラクター(メジャーでない横文字多様に謝罪)。芋男子。
以上、平均年齢20歳くらいの高機動なフレッシュチームで祭を影から支えます。
09:45 思わせぶりな曇り空にはお構いなく、校舎の周りも含め駐車場は徐々に埋まっていく。
普段はほとんど利用されることのない里山の廃校に、外から人が続々と集まってくる。
マルシェ出店者も揃い本会場である体育館のレイアウトが整ったころには、正面の駐車場はほぼ埋まってる状態に。会場の様子などがよくわかるスタッフのブログ→http://chikabu20.seesaa.net/archives/20131013-1.html
悪天候にも関わらず当日キャンセルは4組ほどで、飛び入りの参加も多数。遠くは大阪からはるばる芋を掘りに来られた方も。
田舎体験「ならなんでも」ではなく甚五右衛門芋「だからこそ」のなにか。
それが体験なのか物語なのか、はたまた人なのか。どんな動機が、この人とこの地を結びつけたんだろう、などと車を誘導しつつぼやぼやと。
10:40 合計3回の運行を予定していた芋掘りタイム。1回目は天候判断で見合わせたが、2回目の時間になると雨風もだいぶ弱まった。
今だべ! 1回目に行く予定だった参加者・午後もどうなるかわからないということで、3回目の参加者も含め会場に散らばる皆さんに集合してもらう。状況をアナウンスし、バスに乗り切れない大半の方にはそれぞれの車で畑に向かってもらう。
参加者からの「自分の車で行くの?」にこちらは勝手にドキッとするも、特に嫌な顔もせず駐車場に散らばっていく。むしろ笑顔で「いってきまーす」と手を振ってくれる空気感に、主体性というか、いい意味での垣根のなさを感じる。祭の主役は祭られる対象(芋)であって、参加者じゃないものね。またも勝手に合点したり。
11:00 地域のかあちゃんを中心に構成される料理班。無駄なき段取りで、芋煮会の食卓が粛々と整えられていく。
至極の鍋を手がけるのもまた、この地で生きてきた甚五右衛門ファミリー。
一切カットされず贅沢に投入された芋たちがふつふつと輝きを放ってくる光景に、しばし見入る。どでかい鍋をシャベルでかき回すのとはまた異質の迫力。
「おばぁの甚五右ヱ門芋料理は最高」という春樹さんの言葉がよぎる。
踊るイモウを見るアホウ(僕です)。踊るイモウを食うアホウ(僕です)。同じ阿呆なら食わなきゃね。ああ腹減った。
12:45 芋掘りやワークショップから皆々様帰ってきて、いよいよお待ちかねの食事タイム。
子供たちはまだまだ遊び足りない様で、おじちゃんとこで楽器に触れたり走り回ったりわいわい。芋煮の行列に並ぶみなさんの表情も、ほっくりほぐれた芋のよう。
「何にお金を使うか」より「どう時間を使うか」
で成り立つ場の、人を「いい顔」にしてしまう空気をしみじみ感じる。小腹を満たすためのカップラーメンを待つのは3分ですらもどかしいけど、辺境にある廃校の芋煮行列にしかめっ面の人はいないんだね。
13:30 午前中の雨風どこへやら、差し込む午後の日光の中、最後の芋掘りも決行。
その間にスタッフお待ちかねの昼食タイム。大学生も、初!甚五右衛門にほころぶ。
一個まんまを丸ごと口にほおばると、芋や作り手への感謝が湧き上がってくる。ふ、ふめえ…。
個人的な話だが、今年地元に帰ってくるまでは恥ずかしながらその存在すら知らなかった伝承野菜。その歴史とこうして現在進行でつながり、例えば特段と意識していなかった芋煮文化というアイデンティティの芽生えを感じている。文化が紡がれていくふしぎに思い耽らざるを得ない午後のひととき。
14:30 徐々に参加者を送り出し、会場の撤収もゆるやかに進んでいく。一息ついたスタッフからは笑顔がこぼれ、ようやく久々の再会を懐かしむ面々。
この後は真室川の温泉旅館『梅里苑』のコテージにて打ち上げなので、みんな気もそぞろなよう。「祭のあと」ってのがスタッフとしての醍醐味でもあるのはほんとの話。
そんな楽しい楽しい打ち上げに関しては、また気が向いたら。ひとまずかんぱーい!!
まったらいねーん