山形県鶴岡市に移り住んで4年。 移り住んだきっかけは単純でした。パートナーの鶴岡への引っ越しが決まり、友人のいない環境だと誘惑なく司法書士の勉強ができるのではないかと思い、軽い気持ちで移住を決断しました。

 

 今回のやまがたで働く人

加藤史子さん

鶴岡市で司法書士事務所を開業

移住は軽い気持ちで

秋田県潟上市に生まれた史子さんは旅行が好きだったこともあり、旅行系の専門学校に入学後、秋田の大手旅行会社に勤めます。しかし、勤め始めてから優秀な金太郎飴のように働く職場の人たちに違和感を感じ、退職。その後、法政大学法学部へ編入します。

旅行会社から法学部への進学は突然のように思えますが・・・

「トラベルの語源はトラブル。旅行がスケジュール通りに行くってのはいいパターン。トラブルが起きるのがふつう。会社時代にトラブルの対処の仕方とか毎週法律の勉強会に参加して、法律は身近でした。法律についてもっと知りたいと想いが募っていたこともあり、 だんだん大学に入ろうって意志につながっていったのかな。」

「司法書士を志したきっかけは、日本の社会では新卒が重視されがちなので、企業に入るのは無理だろうと思って、試験一発系でやっていかないとと考えていました。それに友人が司法書士を目指していたので私もできるんじゃないかと思って、大学を卒業してから本格的に勉強を始めました。」

そんな時パートナーの引っ越しが決まり、鶴岡に一緒に行こうと誘われました。

「友達のいない環境でやれば勉強するんじゃないかという気持ちがあったので。鶴岡に来てからの方がきつかったかもしれないです。周りに知らない人ばっかりだとか土地柄とか当初理解できないことがあったので。でも勉強するにはいい環境でした(笑)」

鶴岡に移住して、午前中は図書館で勉強、午後からはバイトの生活を続けて3年、司法書士試験に合格します。 そして資格取得後10か月の研修、修行を経て、昨年司法書士事務所を開業しました。

 

司法書士の仕事とは?

基本的なことですが、司法書士ってどんな仕事なんでしょう?

「弁護士、税理士、行政書士などの士業(サムライ業)の中で人数が最も少なく、身近な仕事ではないかもしれません(笑)。 業務内容としては、マイホームを購入した時の売買契約、会社設立、相続関係などの手続きをお手伝いします。 」

「鶴岡で開業した理由は、地域をもりあげて、地域が元気になるような仕組みづくりをしたい人たちに法律をアドバイスすることで支えていきたいと思ったから。
庄内地方には10万人以上の市(鶴岡、酒田)が2つもあり、産業や素材など基盤があるにも拘らず街が活気づいていない印象があります。日本は法治国家なので何をするにも法の壁がありますが、それに委縮することがないよう、応援していきたい。法律を知っていれば大胆に行動できることもあるかも。」

 

「クマ」と「山伏」

白いブラウスに黒いパンツ、そしてメガネの素敵な史子さんとは結びつかないけれど、大のクマさん好き。 クマさんといってもテディベアではないのです。史子さんが好きなのはツキノワグマ。
法律の説明をしてくださった凛々しいお顔とは異なり、一気に破顔、目じりを下げつつ、大好きなツキノワグマについて語ります。

好きな理由を尋ねると、

「好きなものに理由はないかも。とにかくやることがお茶目で無骨でかわいいんです。だって、食べかけのリンゴを爪に刺したまま寝ちゃうんですよ。かわいいでしょう?」

動物園のツキノワグマに会いに、年間パスポートをとって通うほどです。 クマの名前と特徴を覚えて、クマの個性を確認していくのがたまらないんだそう。
鶴岡にはクマを飼っているお宅があり、会いに行ったことがあるそうです。 その名はクロちゃん。ファンクラブの会員証まで見せていただきました。

そして、この8月には鶴岡市羽黒にある山伏修行を経験しました。 参加の決め手は、もともと民俗学に興味があったことと、先輩から修行経験談を聞いて強く関心をもったそうです。

「修行してとにかく楽しかった。私は多分「変」な部類なんです。日常生活で「普通」という枠に入りきらない窮屈さを感じていました。でも修行を通じて枠に入らなくてもいいんだと思うと気持ちが楽になりました。」

 

東北の女性のパワーとツキノワグマ

司法書士になった史子さんには2つの夢があります。

「一つ目は東北の女性のパワーを応援したい。 東北の女性は、おとなしい方が多い印象です。そして残念ながら、女性が事務所を切り盛りしていると言うと「生意気」な印象をもつ方も中にはいらっしゃるようです。実は私も言われたことがあるんです。 でも、私がこうやって鶴岡市で事務所を切り盛りしている姿をみて、自分も出来るかもしれない何かやってみようと思う女性が増えてくれればいいなと思っています。 特に、法律系の士業は、女性が少ないので、山形県に移住して開業するのはオススメですよ(笑)

二つ目は大好きなツキノワグマとの共存や保護について。
ツキノワグマの捕獲できる時期や捕獲できる頭数は、法律等で決まっているけれど、実際にはそれ以上殺されることもある。通常、ひっそりと山の中で暮らしているので、実際の生息数はまだ分かっていないんです。里での目撃数が増え、山では逆に減っているかもしれない。法の整備を通してツキノワグマと人との共存を考えていきたい。」

Profile

加藤史子さん

出身 秋田県潟上市
生年月日 1979年
URL http://profile.ameba.jp/hayatetokomachi/

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明石智代

ライター情報

明石 智代

広島県出身。2009年に山形県鶴岡市に移住。食べることが好き。おいしく食べるためなら、どんな手間もいといません。 地元の女性がリポーターに扮...