ごあいさつ

こんにちは、ヤマガタ住マイラボで「住まいのナビゲーター」を担当している五十嵐洋介と申します。私はこれまで設計デザインやインテリアコーディネーター、住宅雑誌のライターの仕事に携わり、この経験を活かしてUIターンを希望されている方に対してお住まい探しのアドバイスを行っています。

さて、2月~4月は「引越しの季節」ですね。

県外に進学する学生をはじめ、就職のために実家を出る方、会社で転勤を命じられた方、この時期に山形へのUターンを考える方も多いのではないでしょうか。
最近私も、山形である方のお住まい探しのお手伝いをする機会がありました。その際、その方が一番重点を置いていたのが「南向き」という条件でした。私は「なぜ南向きを重視するのですか?」と質問すると、その方は「だって南向きの住まいは明るいじゃないですか」と。本当にそれだけで南向きの家を選んでいいのでしょうか。

今回は南向きの家のメリットとデメリットをお伝えします。今後の住まい探しの参考にしていただけたらと思います。

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南向きの家はなぜ人気が高い?

皆さん、「南向き信仰」という言葉を知っていますか?

日本では住宅に求める条件として「南向き」が重要視され、価格設定にも反映されていること(北向きの家よりも南向きの家の方が高い)を指します。

なぜでしょうか?

それは、南向きの家は大きな開口部や窓を設けることにより、一年を通して明るく、風通しが良い住環境が実現できるからです。また、昼間に太陽の光が室内にたっぷり降り注ぐので冬は室内が暖かくなり、光熱費(暖房費)も軽減される場合もあります。さらに南向きのバルコニーに干す洗濯物は乾きやすい、カビの発生も抑えられ清潔感を持って暮らせるという利点も、南向きが支持される理由と言えます。

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南向きの家は「軒」が左右する!?

しかしながら、「南向きは良い家」という固定概念だけで家を決める方が多いようにも思います。果たして、すべての南向きの家が本当にいいことばかりなのでしょうか?

実は、夏は陽が当たりすぎてとても暑いです。盆地で夏暑い山形ならなおさらそう感じるはずです。また、フローリングや家具にも直射日光が当たりやすく、退色しやすいというデメリットもあります。

そこで、ぜひチェックしていただきたいのが、「屋根の軒(もしくは庇、シェード等)」があるかどうか。南向きの家と一口に言っても、軒がないと暑くて過ごせません。夏は太陽高度が高いため、深い軒のある家や、適切な庇、シェードを設ければ、強い直射日射を防ぐことができます。反対に冬はたとえ軒が深くても太陽の高度は低いため、日中は部屋の奥深くまで光が差し込み、明るく暖かく過ごせます。
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立地条件も大切な要素!

また、立地によってはたとえ南向きであっても陽が十分に入らない場合もあります。

例えば、南側に大きな建物があると陽が差し込まなかったり、プライバシーのためカーテンやブラインドを閉めっぱなしにするなど、立地条件によっては南向きの良さが発揮されません。さらに狭い敷地で無理に南向きの住まいを計画しようとすると生活に必要な面積を確保することができないということもあります。

敷地の性格をよく読み、近隣の建物の状況をよく調べ、将来周囲に大きな建物が建つ可能性がないかをきちんと確認してから住まいを決めることが大切です。
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ライフスタイルによっては、南向きは不向き!?

皆さんも経験があるのではないでしょうか?南向きの部屋で勉強をすると太陽の光が眩しすぎて逆に勉強がやりにくいですよね。学校でも窓際の席に座ると眩しくて黒板が見えなかったりしますよね。それと同様、南向きにアトリエを構える画家からは「刻々と光の向きが変わり、影もどんどん変化するので絵が描きにくい」という不満もよく聞きます。

南向きの部屋は作業をする方、家で仕事をする方には不向きとも言えるのです。

逆に南向きの部屋が向くのは・・・ズバリ、「普段長く家にいる家事をする主婦」。

明るいキッチンで料理は気持ちいいですし、洗濯もよく乾きます。清々しい空間で日中を過ごせたら、気分がいいですよね。

私がお住まい探しのお手伝いをした方は、一人暮らしで日中は家にいない仕事中心の生活。南向きの家にこだわるがために予算に合わずに悩んでいました。結果として私のアドバイスを受け入れ、予算内で実現した北向きの住まいに決めましたが、「平日は仕事が遅く、家には寝に帰るだけ。周囲に建物がないので、北向きの家でも快適に過ごせています」と満足の声をいただくことができました。

このように自分のライフスタイルを見返すと、必ずしも南向きにこだわる必要はないケースもあるので、よく考えてから決めましょう。
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海外の南向き事情

ヨーロッパの住まいは昔から石造りのものが多く、耐震的にも壁に大きな開口部を造りにくいせいか、あまり南向きにはこだわりません。一方、日本の伝統的な住まいは木造の柱・梁から構成される軸組工法を採用してきたため、窓などの開口部を大きく確保することができました。それが南向き信仰につながったという説もあります。日本では道路に面する部分が北向きの場合、南向きを重視するため、住まいの顔は南面の道路に面しない場所に創られる傾向があります。しかしヨーロッパでは南向きや北向きを気にしないので、道に面する部分をファサードとして美しくデザインしてきました。美しいと言われる西欧の街並みはこのように創られてきたわけです。
さらに、日本は農耕文化なので太陽を大切にし、その結果、南向きの住まいが多いという説、高温多湿の気候のため、陽光がたっぷり入る南向きになったという説など、さまざまな説があります。

いずれにせよ日本ではまだまだ「南向き信仰」が根付いているため、北向きの住戸の価格は安く設定されることが多いです。家を購入する際に「投資」も考えている方は、その点も踏まえて選ぶことをおススメします。

五十嵐 洋介

五十嵐 洋介

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五十嵐 洋介

1982年、山形県酒田市生まれ。
早稲田大学 法学部を卒業後、大和ハウス工業株式会社に入社し、同大学で建築学を学びながら、住宅・マンション・インテリアの設計、都市デザインに従事。その後、SUUMO(株式会社リクルート)をはじめとする住宅・不動産媒体のライターとして活躍し、今まで200社を超える企業や経営者を取材・執筆。
現在、「株式会社 ainak」を設立し、地域活性化、まちづくりに携わる。「酒田市を音楽のまちへプロジェクト」代表。ヤマガタ未来LAB.にて「住まいのナビゲーター」として活動し、山形県へのUIターン移住支援を行っている。