今回のやまがたで働く人

庄司樹さん

東京で劇場映画の助監督を経験したのちに、2011年、山形県大江町の実家の林業を継ぐために帰郷。

THE・山村で育った幼少時代

ー僕の実家は山形県大江町という小さな町です。スーパーが無く、コンビニが一軒だけ、信号も両手で数えるほどしかない田舎の町です。

小学校の時は、あまりに生徒が少なかったので、複式学級でした。五年生と六年生が同じ教室で勉強してたんです。そのため、中学校に上がった時三クラスあったのには本当に驚きました。

そんな小学校時代、山里留学という制度があって、都会の子どもたちが夏休みと冬休み、または一学期や一年単位で僕たちの小学校に留学し生活をするんです。

都会の子供たちは自然の中で生き生きと遊んでいて感銘を受けました。そのとき友達になった人達とは今でも付き合いがあります。

 

小学校の先生の影響で映画好きに。そして映画製作の世界に

「今でも覚えているのですが、小学校の先生が映画の大好きな方で、授業時間に映画を見る機会が何度かありました。

そのときは「バックトゥーザフューチャー」「ターミネーター」「ロボコップ」なんかを見ました。その影響もあってか、次第に漫画やアニメ、映画などのフィクションの世界にのめり込んでいきました。自分で漫画や小説を書き始め、気がついたら映画のシナリオを書いていて、これを映画にしてみたいなと思うようになったんです。19歳の頃、テレビのニュースを見ていたら、山形で自主制作映画を作る若者たちの特集をしていて、思わず、これだ!と思い、連絡をとって仲間に入れてもらいました。それから撮影の度に手伝いをさせてもらって、色々勉強。

二十四歳のときに彼等から、山形で劇場映画の撮影をするらしく、ボランティアスタッフを募集してるから応募してみたら?と声をかけられ、スタッフの方に電話してプロの現場に飛び込んだんです。劇場映画の撮影現場はスタッフが沢山いて、機材なども規模がものすごく大きくて感動しました。そこで出会った助監督の方に師事することになり、撮影が終わった後、東京に来い、と誘われ、あれよあれよという間に東京で助監督として仕事を始めました。これまでのべ34本の映画に携わりました。

 

職業はゴールでなく、目標を叶えるための通過点でしかない

僕の実家では林業をしていましたが、最初は林業をやる気はありませんでした。でもある日、友人の一人が急に林業をやると言い出したんです。それから林業についていろいろ考え始めました。

それと、助監督をしているときは、邦画バブルの終わり頃だったんです。徐々に仕事に見合うギャラがなくなっていき、仕事の本数も減っていきました。そんな折に考えたのですが、果たして映画監督になることが自分にとっての最終目標なのか。

自分の目標は、あくまで自分の作りたい作品を作ることじゃないのか。それができれば職業にこだわる必要はない。

職業はゴールでなく、目標を叶えるための通過点でしかない、そう考えるようになりました。

仮に誰が観てもおもしろい脚本を書いたとしても、お金が集められなければ映画を作ることはできません。では、この伸び代が期待できる林業というのはビジネスとしてどうなんだろう。と思ったんです。林業はもしかすると、きつくて実入りも良くないと思っている方がいるのかも知れませんが、収入は一般企業と同じくらいだと思いますし、事業体によりますが、土日曜休みのところが多い印象です。

また、僕は実家が大好きで、家族と生活したかったし、祖父が立ち上げた会社を親父の代で絶やすわけにはいかないと責任感もありました。

そして、2011年に山形に戻り、家業の林業を継ぐことにしました。

 

林業の仕事

林業の仕事には大きく分けて二種類あります。一つは森を育てる仕事・造林。もう一つは木を切る素材生産です。

うちの会社で主に行っているのは木を切る仕事の方です。木を切って枝を落として丸太にします。木を切るとき、大きな木が地面にどすーんと叩きつけられる音は迫力があって凄いです。

木を切るとき思うのは、人間と同じように木にも個性があるということですね。一本一本太さも枝の数も違うし、チェーンソーの抵抗感も違う。これはおもしろいですよ。

林業の魅力の1つは、体を存分に鍛えられることではないでしょうか?東京にいたころ暇を見つけてボクシングジムに通っていたのですが、その頃の体型に近づいてきましたね。とにかくしぼれます。それと林業の仕事は体力的にとても大変です。きつい、汚い、危険と昔から言われています。ですので、甘い気持ちでは長続きしません。

山が好きであるということは絶対条件のひとつなのではと考えています。

こだわり

僕にとって林業は人生を賭けた仕事なので良いもの、良い道具にお金をかけたいと考えています。例えば僕が仕事で着ているウェアは、finetrackという国産アウトドアメーカーを着ています。

少々値は張りますが、関節の曲げ伸ばしや汗と紫外線対策がばっちりなんです。やはりいいものを使うと仕事のパフォーマンスが上がるのを自分でも実感できますね。

 

伸び代が期待できる林業の分野

ここ、最近林業の業界に追い風が吹いているのは確かです。木材は新たな電力供給源として、木質バイオマス発電による電力化やボイラー、ストーブの燃料などの利用がなされていまして、いままで用途がなく山に残されていた木材に値段がつくようにもなりました。

また枝を切るときや、建材の元である丸太に切り出す際、以前はチェーンソーで一本一本切っていたのですが、「ハーベスタ」という立木を切り倒し、枝を一瞬で払い、測尺し丸太を切り出す、という作業を一連で行う高性能林業機械の導入が進んだことで、作業効率が良くなり、低コストで大量の木材を生産できるようになったんです。

これがハーベスタ

 

 

これからやってみたいこと

やりたいことは色々ありますが、山形に林業女子会を作ってみたいです。東京、岐阜、静岡、京都、栃木にはあるんですが、それを山形でもできないかと。もしやりたい女の子がいたらバックアップしたいです。女子ならではの発信力を武器に林業をPRしてもらいたいです。女性が華麗に木を切ってる姿は魅力的なんじゃないかなあ。

また、森林、林業、里山、エコをテーマにした手作りの野外音楽イベント「CBJ」を毎年開催してます。今から八年前ほどでしょうか、地元で音楽キャンプをしようと企画したのがきっかけで、参加者と規模は年々大きくなって、昨年の来場者は百五十人を超えました。参加者の半分は県外や海外出身または在住者ですね。今年ははるばる台湾出身の女の子が来日してくれることになりました。

ちなみに今年のCBJのタイムスケジュールは、10時~ 里山グリーンツーリズム(コースA 林業体験ワークショップ, コースB 初秋の里山散策ツアー)13時~ ネイチャーワークショップ、 ウッドバーニング(焼きごてを使った木のお絵かき)スラックライン(木と木の綱渡りゲーム)、チェーンソー体験(イス・松明づくり)、森の話・写真展示(CBJ森のブース)15時~ チェーンソーアート15時30 ~ ライブ演奏19時~  セレモニーイベント、22時 閉幕という流れで行いました。

その他に多数のDJやアーティストがゲストでいらっしゃってくださり、イベントを盛り上げてくれました。ちなみに私は林業体験ワークショップの講師を担当しましたよ。大江町の町おこしというわけではないのですが、ただいろんな方に遊びに来ていただきたいなと考えています。

 

林業で働く庄司さんが感じている、山形ならではの良いところ

僕は林業という仕事を通じて、東北特有の季節の移ろいを最前線で感じています。仕事中に例えば福寿草を見つけたり、ウグイスのさえずりを聞いたりして春の訪れを感じたり、5・6月の眩い新緑に目を細めたり、暑い夏は木陰でアイスカフェオレ飲んでみたり、秋には落葉の様をぼんやり眺めてみたり、冬も山に一番早く雪が降りますから、季節先取りなんです。山形の内陸の季節感は特にメリハリがあるから、厳しさも含め四季を五感で楽しめ味わえることは魅力的なところだと思います。仕事としてだけでなく、週末だけ山を借りて行う【週末林業】というのも面白いかも知れません。
そんな山形でもし林業をやりたいという方がいらっしゃいましたら、相談に乗りますのでぜひ是非ご連絡ください。

Profile

庄司樹さん

出身 大江町
生年月日 30歳
URL https://www.facebook.com/itkey.showz

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