今回のやまがたで働く人

清野真由美さん

月山志津温泉 仙台屋旅館 娘

清野真由美

西川町志津にある旅館仙台屋の娘として生まれ育つ。高校を卒業後、東京にある製菓専門学校に入学。卒業後は、菓子屋、カフェなどで働く。2006年、旅館の改築に伴い、実家に戻ってくる。旅館ロビー内にある「カフェ 雪あかり」担当。子どもの頃からモノ作りが好きで、現在は主に月山和紙を使ったあかり(ランプシェード)や髪留めなどを作っている。2009年頃より、和紙のあかりづくりのワークショップを開いている。 旅館仙台屋(ブログはこちら)

 

私が好きなモノ・好きなコト

旅館の改装に伴い、こちらに戻ってきて仕事をするようになって6年が経ちました。基本的な仕事の他に、「カフェ 雪あかり」(旅館ロビー内)の飲み物や器のアレンジを任されています。

そこで使う器やお菓子を見つけるためのアンテナは常に張っていて、色んな店を回ったりして探すんです。だから例えば東京に行った時には、「どんな器だといいかなぁ、どんなお菓子を添えればいいかなぁ」という考えで頭をいっぱいにしながらずーっとお店を回っているんですよ。自分が和紙のあかりを作る上でもヒントになりますしね。色んな場所にあるお店のショーウインドーとかディスプレイを見て回るのがほんとに楽しくて。だから周りからは言われるんです。「見てるとき、足浮いてるよ」って。(笑)意識せずとも体が弾んでしまうんですよ。

基本的に私が好きなのは、直感的に「いいな!かわいいな!」と思うモノ。そんなモノを同じように他の人にも直感的に「いいな」と思ってもらえたら、要は気持ちを共有できたらうれしいですよね。

そんな風に私が惹かれるモノの多くは、手で作られたモノ。何かあったかく感じるし、ほんわかしますよね。整然としすぎていないところもいいですし。だから、服や小物など日常的に使うものにも、手作りのモノを取り入れています。あとは、丸みのあるものもどうやら私の好みであるみたいです。

 

私のモノ作りの原点

そんな私のモノ作りの原点は、子どもの頃好きだったお菓子作りなんです―――。思い返せば、保育園の頃から、家の仕事が忙しい時に調理場で一人でクッキーを適当に作ったりしていたんですよね。適当に作っているから美味しくないんだけど、家族を含め周りの人たちはけっこう食べてくれていて。

でも、そんな思い込みのおかげでお菓子作りをずっと続けられたし、「パティシエになり、ゆくゆくはお菓子屋さんを開きたい」という漠然とした夢を私が抱くに至ったんでしょうね。親や業者さんも材料を提供してくれたりというように協力してくれていましたし。

 

理想と現実

調理科にいた高校を卒業後、晴れてずっと行きたかった製菓の専門学校に入ることができました。そして、専門学校を卒業後は、紹介してもらった新規開店のお菓子屋さんのオープニングスタッフとして就職したんです。

だけど、働く中で現実的に色々と考えた末に至ったのが、「店を開くことは難しい」という結論でした。体調を崩したのもあってお菓子屋さんを辞めた私は、好きだった料理のスキルを活かそうとカフェのキッチンで働き始めました。

働き始めてしばらく経ってから―――、専門学校の入学式の日に先生から告げられた「この中で独立してお店を開く人は1%にも満たないくらいだと思います」との言葉に嘘はなかったんだとわかりましたね。

 

成長した私

今、20歳頃から作り始めた「和紙のあかり」のワークショップを随時開いています。

町の商工会からの依頼があって、ワークショップで人に教え始めたのが2、3年前(2009年頃)のこと。でも教えることが楽しくなってきたのは教え始めて1年くらいが過ぎてからですね。

最初は、人前に出て教えることに自信がなくて断っていたくらいですから。それに、踏み切って教え始めても、前日あたりからずっと緊張のしっぱなしで、楽しめる余裕なんて全然なくて。だから、無理やりテンションを上げて教室に臨んでいました。「よし、いくぞー!」みたいな風に。(笑)

そんな私が少し変われたのは出張で一度教えた時のこと。午前と午後ぶっ通しで続いたそのワークショップは、私にとってかなりハードルが高いものでした。だけど、それを何とか乗り切ってからは、家(旅館)で教えるのはそう難しくはないと思えるようになったんですよね。

そんな過去の私から見れば、ワークショップを楽しめ、より良い教え方を考えるようになった今の私は成長したと感じています。

 

和紙への想い

私がそうやって和紙でモノ作りをしているのには理由があるんです。

というのも、岩根沢にある私のひいばあちゃんの実家は、西山和紙を作っていた飯野家でした。だから、昔から家には当時の月山和紙(西山和紙)がたくさんあったんですよね。だけど、せっかくあるのに使い道がないという、宝の持ち腐れ状態で。

でも、そのおかげで始まった私のあかりづくり。和紙があまり普段の生活に取り入れられていないというとてもさみしい現状だからこそ、先人が築き、これまで受け継いできた技術やものを絶やすことなく、時代にも合うような新しい形でもつないでいきたい。それから、「敷居が高い」和紙のイメージを少しでも払拭したい。和紙をもっと身近なものにしたいんですよ。最近制作している髪留めなんかは、そのための一つの表現なんです。

薄いようで、実はとてもコシがあり強い紙である和紙。そんな和紙の風合いが好きなのはもちろんのこと、その背景にあるものも大事にしていきたいですね。やっぱり、和紙は日本が誇る文化ですから。

 

編集後記

店を見て回るのが楽しいと話す真由美さんの体は、確かにひと時浮いていた。

Profile

清野真由美さん

出身 西川町志津
URL http://www.sendaiya.jp/

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この記事を書いた人

中道 達也

1987年生。高校卒業後、大学進学のため東京へ。大学時代、勉強をやる意義を全く見いだせず、留年。大学生活5年目の秋、旅をしたアジア(インドネ...

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